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取材記録21 ひたすら撮影

取材記録21 ひたすら撮影

おはようございます。
 午前8時半、出発。スロウ次号のための取材ではあるが、取材対象は人ではない。ひたすらある被写体を撮影するというもの。最終目的地は江別。撮影しながら西へ向かう。車を運転し、被写体を見つけては撮影し、再び車を走らせる。これを何度となく繰り返す。湿度も気温も高めだった。それでも午後5時頃まで休まず撮影。7時45分帰宅。

写真主体の記事づくり

このような取材は数年に一度あるかないか。ひたすら、「あるもの」を探して撮影する。これはおもしろくもあり、大変でもあります。見つからないと、何のために車を走らせているのかわからなくなる。もちろん下調べを済ませています。事前調査が欠かせない。それがないと、本当に運任せの撮影となってしまいます。
 ネットで調べる限りでは、あまり情報がありませんでした。調べたらいくらでも情報が出てくるだろう……と僕は軽く考えていました。なかなか手強い。書籍も取り寄せましたが、参考になりそうな本は1冊のみ。
 それでも、見つけた資料とさまざまな情報をとりまとめ、Googleマップに記録したため、昨日は比較的効率的にまわることができたのではないかと思います。僕はGoogleマップをさほど使いこなしているわけではありませんが、撮影の目的地を保存しておくと、けっこう便利なものですね。この使い方、別テーマでも活用しようと思います。
 さて、雑誌の取材はたいていの場合「インタビュー」と「撮影」によって構成されていると思います。スロウの場合は編集者がインタビューし、フォトグラファーが撮影する。たまに自己完結型の取材をするケースもありますが、一人二役というだけで行っていることはまったく同じ。
 しかし、ごく稀にインタビューせずに記事をつくることがあります。そのようにして記事をまとめるのはスロウ編集部では僕くらいかな? この手法で最初につくった記事はスロウ第9号の「鴻之舞、静止した時を訪ねて」です。厳密に言うと、この記事では2人に取材しているのですが、記事の主要部分はインタビューなし。事前に調べたものと現地を訪れたときの印象をもとに原稿を書いています。
 その後もこのような取材スタイルでまとめた記事が何年かに一度、スロウに掲載されているはずです。僕の写真力とイメージ力、そして文章力が噛み合えばおもしろい記事となるはず。ただ、この手法は簡単そうでいて想像以上に難しい。写真9・文章1という比率で記事を構成したときは、最高潮に難しいと感じました。「記憶の中の風景」のようにはいきません。
 「記憶の中の風景」の場合は読者それぞれのイメージ力に働きかけるだけでいい。一人ひとりが持っている原風景、原体験と照合しながら何かを感じ取ってもらえれば御の字というページです。
 一方、特集記事、あるいは単独企画における写真主体のページの場合は、ある特定のメッセージを伝えようと試みる。これをほとんど写真だけで行おうとすると、よほど写真にメッセージ性がなければならない。僕の写真は「解釈自由」なものが多いため、写真だけでは記事として成り立ちにくい。そこで短い文章を添えるわけですが、短い言葉でメッセージを伝えることに慣れていない。この葛藤の中で記事をまとめていく。
 編集者の多くは、ドラマチックな写真、あるいは完璧に説明されている写真を求める傾向にあります。もちろん、そうした写真も必要ではあるのですが、僕としては「何かを考えるきっかけとなる写真」を掲載したいという思いが強い。昨日1日撮影しながら、何となくモヤモヤするものを感じていました。
 今日予定されていた取材は中止になったという連絡が入りました。今日は1日の半分くらいを使って、記事の構成を考えてみようと思います。

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