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仕事観について103 「とことん」という経験

仕事観について103 「とことん」という経験

おはようございます。
 午前8時半から経営指針づくりに取り組む。昼食休憩の時間を除き、午後5時まで。策定するというよりも、考える時間のほうが長い。いったん、おおよその中身を一太郎でまとめてから、エクセルで表にして、さらに発表用のパワーポイントでの完成を目指す。まだ、何かが足りない。

「夜バタンと……」の幸せ

社会人になって数ヵ月経った頃、父(創業者)が東京にやってきて一緒に飲むことがありました。1985年のこと。その後もたぶん年1回か数年に1回(記憶が定かではない)、東京で一緒に飲んだ記憶があります。
 1985年のときはいろいろな話をしたような気がするのですが、覚えているのはたった一言。「思い切り働いて、夜バタンと倒れ込むように眠るのがいいんだ」。20代半ばだった僕は、「今の自分の働き方もそのようなものだ」などと勝手なことを考えていました。
 僕が本当に思い切り働くようになったのは、それから数年経った頃。起きている時間の大半は働いていました。夕食をつくる余裕はなく、事務所の目の前にある居酒屋で食べる(ついでに飲む)。そして、事務所でみんな川の字になって眠る。今ならかなり問題となりそうな働き方。しかし、そのようにして働いていた数年間は、僕にとって一番ストレートに幸せを感じていた時期でした。
 とことん働く幸せ。それを感じ取るには、「この仕事なら自分の全時間を投入しても惜しくない」と思うことが第一。「この仕事」が「この仲間」であってもいい。このどちらか、できれば両方が揃っていれば、「夜バタンと倒れ込むように眠る」ことができる。
 父がわざわざ東京でこの話をしたのは、「夜バタンと……」ができない年代になっていたからかもしれません。今の僕も、一日パソコンに向かっただけで頭がクラクラして思考停止に陥る。年に数度、無理をすることもありますが、そのような翌日はほとんど使い物にならなくなる。全力を出し切り、翌朝にはスッキリ目覚めることができる。そんな年代は遙か遠いものとなってしまいました。
 このため、40代以降の人は別な形によって、仕事の充実感や働く幸せを感じ取ることができるようにならねばなりません。チームをまとめ上げることで成果をつくり出す。あるいは、量ではなく、仕事の質をとことん高める。体力を温存させながら、結果を出していくような働き方。
 それは口で言うほど簡単なものではないことを、多くの人は知っていることでしょう。チームをまとめるなど到底不可能、と思えるような出来事が次から次へと起こる。また、仕事の質を高めるにしても、新技術が次々誕生し、若手の人に有利な仕事環境となっていく。その中で自分の能力をいかに伸ばしていくか。若手の何倍も努力しなければなりません。
 僕は2000年5月、ソーゴー印刷に入社したときから、「うまくいかないものだな」という感覚を持ち続け、以来21年間、さほど心境に変化はありません。まだプラス思考になりきれていないのでしょう。よいことに目を向ければ、「うまくいっている」こともいくつか見つけることができる。だた、放っておくと大変なことになるような出来事がたくさんありますから、「うまくいかないこと」に意識の8割くらいは傾けなければなりません。「夜バタンと……」という日々は、今では叶わない夢。したがって、やっかいな問題への対処と若手が、のびのび働くことのできる環境の整備に力を注いでいくことが経営者、幹部の重要な仕事ということになります。そこに幸せを見いだす。微妙で複雑な幸せを感じ取るのが仕事人生後半の課題でしょう。
 今は働き方改革の時代ですから、「夜バタンと……」という話をすることはできません。ただし、時間に制約はあっても「とことん打ち込む」という仕事への取り組み姿勢が若手の人には不可欠でしょう。管理職になると、ひとつのことにとことん打ち込むという働き方はできなくなる。「とことん」という経験を30代までに持つことができるかどうか。それは仕事人生後半の充実度を大きく左右することになるのではないかと思います。

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