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紙の本と電子書籍04 デジタルアーカイブと電子書籍

紙の本と電子書籍04 デジタルアーカイブと電子書籍

おはようございます。
 午前はおもに帯広ロータリークラブ例会の準備と経営指針づくり。午後は経営指針に集中。他の部屋は快適なのだが、書斎のみ気温が高い。26度もあって驚いた。僕の頭部が発熱しているのだろうか?

デジタルアーカイブと電子書籍

昨日、訳あってデジタルアーカイブについて調べていた。専門的になりすぎると僕の手には負えない。調べていくと、「デジタル化」と「DX」のような構図になっていることがわかった。単純に紙の書類をデジタル化するだけでは、デジタルアーカイブとは呼ばないらしい。整理され、検索しやすい状態になっていることがデジタルアーカイブの条件である。
 本の編集に近いところがあると思った。雑多な情報を羅列するだけでは本とは呼べない。検索性はともかく、情報が整理され、編集され、統一感、あるいはストーリー性のあるメッセージを伝えていることが重要だ。
 デジタルアーカイブのたどり着く先は、地域文化を伝える自費出版物に近いものがある。実際、自費出版文化賞の審査のために数多くの自費出版物に目を通すと、アーカイブ(デジタルではない)そのものと思える本がある。アーカイブの本来の意味は「古文書」「公文書館」といったもの。公共性の高い情報を記録・保存することであり、さらにその保存場所や保存機関を指す。一部の自費出版物には確かにそうした目的でつくられている。
 そのように考えていくと、今後需要拡大が見込まれるのは、デジタルアーカイブ化された電子書籍による自費出版なのかもしれない。紙の本でいえば、百科事典。あるいは、もう20年くらい読んでいないが、「現代用語の基礎知識」のようなものだろうか。
 地域には記録しておきたい、後世に伝えたいと思うような情報が無尽蔵にある。テーマを絞るにしても、これを一冊の本にまとめるのは難作業といえる。それでも、この難題に挑む著者が全国に大勢いる。読みやすさよりも記録性を重視しているところがあるため、こうした冊子を一冊読み通すという人は少ないだろう。地域史の記録は貴重なものだ。誰かが本にまとめてくれているから、後世の人が当時の出来事や背景について知ることができる。「読むための本」も大切だが、「調べるための本」というのも出版物の重要な役割のひとつである。
 「調べるため」という機能を重視するのであれば、紙の本よりも電子書籍のほうが利便性が高いことは言うまでもない。検索性を最優先させるのであれば、書籍という体裁をとる必要はなく、デジタルアーカイブが適しているに違いない。「デジタルアーカイブ」と「デジタルアーカイブ化された電子書籍」。両者にはどのような違いがあるのだろうか。
 無理に線引きする必要はないのだが、僕は「完結しているかどうか」が重要だと考えている。デジタルアーカイブに終わりはない。また、一人の手で行うものでもない。情報はどんどん集積されていくし、誰かがやめたとしても、他の人たちによって業務は進んでいく。常に情報は更新されていく。
 一方、電子書籍の場合は出版した時点で完成、あるいは完結したことになる(続編を出すことがあるが)。そして、著者は一人であることが多い。それだけに、著者の価値観やメッセージ性がどこからか伝わってくる。ひたすら記録に徹していると思われるアーカイブのようなものであっても、書籍(紙でも電子でも)にすると著者の伝えたい何かが伝わってくるものである。そのあたりに、デジタルアーカイブにはない書籍の魅力があるような気がする。
 電子書籍は紙の本よりも自由度が高い。数分で読み終えてしまうような文章であっても「本」として名乗ることができる。逆に、紙の本に換算すると数千ページに及ぶ膨大な分量であっても、一冊の本として出版することができる。製本という概念がない。これは強みでも弱みでもあるのだが、電子書籍ならではの特徴といえる。それだけに、紙の本では困難な新たな表現が試みられることになるだろう。

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