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偶然とその前後27 イノベーションと偶然

偶然とその前後27 イノベーションと偶然

おはようございます。
 ほぼ一日、経営発表大会の準備。作業スピードはまだ鈍い。わかりやすい図で伝えたいと思っているのだが、できるだろうか? あれこれ考えている時間が長い。午後5時半、仕事を終える。

イノベーションと偶然

ほとんどの印刷会社にとって、技術開発は縁遠いものといえる。印刷機から生み出されるものは印刷物であり、同じ印刷機であれば同じような印刷物が刷り上がる。技術力による品質の違いがあるという程度だろう。印刷のデジタル化が進めば、品質差はさほどなくなってくる。
 電子レンジ、ポテトチップス、ポストイット、サッカリン、コカコーラ、ペニシリン。これらの共通項は何か? そう、偶然から誕生した発明品。何か別なものを生み出そうと研究しているうちに、偶然別なもの、それも素晴らしいものが誕生する。こうしたイノベーションの事例を読むと、自社にそのような可能性はないものか、つい探してみたくなる。印刷機、製本機を眺めてみても、画期的アイデアは生まれてきそうにない(現場で働く人なら僕の知らないアイデアを持っているかもしれない)。
 印刷業界で働く人間は、発想の仕方を変えなければならない。イノベーション=技術革新という狭い考えから自由になる必要がある。そもそも、イノベーションという言葉を定義づけたのは、経済学者のジョセフ・シュンペーターである。「新機軸」「新結合」といった概念だ。ところが、このような翻訳では伝わりにくいと考えたのか、1958年の経済白書でイノベーションを「技術革新」と訳したらしい。そこがちょっとした誤解の元となったようだ。
 シュンペーターはイノベーションを5つに分類した。
1.プロダクト・イノベーション(新しいモノやサービス)
2.プロセス・イノベーション(新しい生産方針)
3.マーケット・イノベーション(新しい販路)
4.サプライチェーン・イノベーション(新しい供給源の獲得)
5.組織イノベーション(新しい組織の実現)
 プロダクト・イノベーションを除けば、自社でも実現できそうに思えてくる。そして、さらに考えていくと、組織イノベーションを実現させることで、プロダクト・イノベーションを起こすことも不可能ではないような気がしてくる。
 今は自社単独でイノベーションを起こす時代ではない。自社にない技術、知識、ノウハウを持った他社と組んで、新しいものを生み出す。我が社に画期的技術がなかったとしても、我が社の持つコンテンツを他社の技術と組み合わせることで何かが生み出せるかもしれない。たぶん、我が社にとってのイノベーションとはそのようなものに違いない。
 自社単独で画期的新商品を生み出すとしたら、それは用途開発から誕生することになるだろう。すでに商品化されているもの。たとえば、雑誌やフリーマガジンを別な用途に活用する。過去の例でいえば、雑誌「スロウ」の取材で移住者があまりにも多いことから、再編集し、「北海道移住の本」を出したことがあった。さらに、ここから発展して「りくらす」が誕生した。用途開発例といってよさそうだ。
 イノベーションと偶然は関連深いものではあるが、ぼんやり偶然を待っていても偶然が見つかることはほぼない。5種類のイノベーションについてとことん考え抜くうちに、偶然と出合う。懸命に探しているから見つかるものなのではなかろうか。
 おそらく、偶然はしょっちゅうやってくるものである。必死で求めている人であれば、かすかな違いであっても見逃さない。偶然から何かを発見する。ぼんやりしていると、幸運が目の前にあっても気づかない。この違いは大きい。幸運な偶然は単なる幸運というよりも、努力の賜物というべきなのだろう。

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