
おはようございます。
午前8時半から2つのミーティング。終了後、社内報の原稿を仕上げ、担当者に送る。午後は帯広ロータリークラブ第1回情報集会の準備。メールと電話。3時、スロウ関係のミーティング。相当時間がかかるものと思ったが、思ったよりも進んだ。6時、ある編集者の送別会を開催する。実に、2年ぶりとなる我が家での食事会。いろいろな意味で感慨深いものがあった。永遠に続くかと思われた送別会は10時頃にお開きとなった。
送別会で披露された秘蔵写真
数々の伝説とエピソードを我が社にもたらした編集者がまたひとり去ることとなりました。同期のS氏がレアな写真を披露。あまりにもインパクトのある写真が次々登場したため、会の趣旨から何度も逸脱しそうになる。不思議な送別会。これも編集者I氏の人徳というべきものでしょう。
最大の山場は、あるアウトドア系の取材時の写真。実際に誌面で使われたのはわずか2カット。それも小さな扱い。だが、その撮影を敢行するにあたって、相当な労力とチャレンジがあったようです。僕は今回初めてその事実を知りました。ここでその写真を掲載できないのが残念です。おそらく、スロウ編集部の中で長く語り継がれることになるのでしょう。
スロウ編集部に新しい文化をもたらした人物でもありました。編集部に……というよりも、おもに僕に対してでしょうか? 「締め切り」という概念をより厳格な意味で捉えている人物。スロウ創刊から数年間、締め切りは「動かせるもの」でした。実際、自由自在に動かしている編集者がいた(これは驚愕の事実でもある)。その後、比較的締め切りが守られる編集部となっていく。I氏がスロウ編集部に異動となってからは、以前よりも1週間くらい入稿時期が早まったような気がします。I氏ひとりというわけではありませんが、スロウ編集部の組織文化に変化をもたらしたキーパーソンのひとりに違いありません。
スロウという雑誌は、かなりユニークなプロセスを経てつくられています。一人ひとりに自由な裁量権があり、コンセプトから大きく外れない限り、自分の好きな対象を取材することができる。このため、熱の入り方が違うことが多い。エピソードが誕生するのは、きっとそのようなときなのでしょう。
何度も話題に上るのは、I氏のブレークスルー体験。あるとき、急に「味わい深い文章」を書くことができるようになった。僕はそのときの状況をよくわかっていません。一夜にして有能な書き手が誕生した。そんな印象です。
「写真家的文章作成技法」を著した僕からすると、非常に興味深い事例。いかにしてブレイクスルーが起こったのか。ここを解明すれば、文章力アップのための方法を広く伝えることができるかもしれません。
我が社に在籍したのは10年間。エピソードの数、そしてインパクトという点では、10年以上のスケールを感じます。本人は「退職したという気がしない」と語っていましたが、僕らも同じような感覚。距離的には数千キロ離れた場所へ引っ越すことになります。しかし、何らかの形で今後も我が社の仕事を続けることになるかもしれません(本人の都合もあるが)。
会社と個人との関係は大きく変わりつつあります。2年にわたるコロナ禍によって、そのことが鮮明になってきました。「ワークライフバランス」から「ライフワークバランス」に変わってきた。「ライフ」を先に考える人が今後も増えていく。その中で会社と個人とを結びつけるものは何なのか? それはおそらく、理念やビジョンということになるでしょう。
共有することのできる理念・ビジョンがあれば、フリーな立場になっても組織とつながり続けることができる。自立した個人がゆるやかにつながっている状態。会社組織は将来的に、そのように変化していくのではなかろうか? 個人にとっても会社にとっても好ましい形態となっていくに違いありません。