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第10回 記念写真と記録写真

第10回 記念写真と記録写真

おはようございます。
 今朝メールを開いたら、「西武信用金庫西荻窪支店に強盗が入った」との知らせ。日経電子版にも記事が載っていました。同支店は「平成信用金庫」時代からずっとお世話になってきたところ。今年1月にも、遊文館ビルの件で訪ねたばかり。支店長が怪我をされたようです。気になります。
 そんな西荻窪の喧噪をよそに、僕は自宅でパソコンに向かっていました。成果としては帯広ロータリークラブの会報と数回分の写真セレクト作業。会報についてはすんなり完成しましたが、写真セレクトは単調すぎる作業ゆえに消耗します。撮影枚数が多すぎたようです。担当編集者へはドロップボックスでデータを渡すのですが、同期が完了するのに10時間くらいかかってしまいました。

「時間」が付加価値になる

写真を撮るようになって40年以上たちますが、今思うのは記念写真や記録写真がいかに重要かということ。今さら何を……と言われそうですね。僕はずっとアーティスティックな写真を志してきましたし、仕事では雑誌等の誌面を飾るにふさわしい写真を撮ろうとしてきました。しかし、年月を重ねるにつれて重要度が増していくのは、やはり記念写真や記録写真。仕事で使った写真の中にも変わらぬ価値を持ち続けるものがありますし、個展用の作品は今見てもいい写真ばかり(自画自賛になりますが)ですが、記念写真、記録写真には作品とは異なる特別な価値がありますね。
 「時間の経過」がそのまま付加価値になる。ここがおもしろいところ。撮影した時点では価値が低くても、10年、30年、50年と年月を経過することで、貴重な写真となることが多いのです。
 そうした記念写真、記録写真の中でも、とりわけ価値の高いものにはどんな傾向があるのか、考えてみました。
 考えるまでもないかもしれません。撮影した日付や場所がハッキリわかるもの。そして、なぜ撮影したのか、その理由がわかっていて、撮影する必然性があったようなもの。
 個人であれば記念日に撮ったものや、特別な出来事があったような場面。会社の場合、最強の記念写真となるものは「創業の頃」とか「社屋落成記念」といったものでしょう。
 我が社では、さまざまな企業の周年記念誌づくりをお手伝いするという仕事があります。社歴の長い会社になればなるほど、創業期の写真や記録が残っているかどうかが重要となる。理想的なのは、創業期の会社の前に全社員が並んで写っているような写真。こんな写真が残っていると、老舗感が増すものです。古びて退色していても十分存在感がある。
 我が社には残念ながら、これが一番という写真は残っていないようです。もしかしたら今週末発見されるかもしれませんが、可能性としては低いだろうな……。

僕にとってのもうひとつの会社、西荻窪の遊文館のほうはどうだったのかというと、こちらも残念ながら残っていない。というよりも、そうした写真を撮ろうという気持ちになったことがない。まったくもって不覚でした。写真のもっとも重要な機能である「記録」というものを見落としていました。作品志向が強すぎたことと、あまりにもハードに働き過ぎたためでしょう。
 そもそも僕には、自分のカメラにネガカラーのフィルムを装填するという習慣がありませんでした。仕事ではポジ(リバーサルフィルム)、作品用はモノクロ。記念写真専用としてコンパクトカメラも購入したのですが、それにもリバーサルを入れていました。
 だから、今残っているのは当時の社員が撮った社員旅行のときの写真が多い。仮に遊文館が30周年記念誌を作ったとしても、あまり使えそうにない写真でしょう。あ、そういえば今年は創業30年目を迎えることになりますね。間もなく使命を終えることになりますが。
 そう考えていくと、「記念写真の撮影に熱心な会社のほうが繁栄するのではないか?」という仮説が成り立ちそうです。いつでもどこでも記念写真ばかり撮っている人がいます。そういう経営者の会社は、もしかすると発展する可能性が高いのかもしれません。
 10月に開かれる我が社の経営発表大会でも、数年前から活動記録のムービー(動画だったりスライドショーだったりする)が上映されるようになりました。直近1年間の記録。これをコンスタントに積み重ねていけば、100周年の頃には貴重な映像資料となっていることでしょう。

僕は写真よりも文章によって記録を残したいと考えている人間です。本業が写真であるため、それ以外のことがしたいと思っているのかもしれません。
 幸いなことに、我が社には写真好きな人が多い。重要な場面では集合写真を撮ってくれています。
 たとえば、入社式や経営発表大会といった特別な日には必ず全社員で集合写真を撮っています。同じような写真が毎年撮られることになる。しかし、写っている人物は少しずつ顔ぶれが異なってくる。同一人物であっても、少しずつ年齢を重ねた顔つきになる。このあたりが記念写真(特に集合写真)の興味深いところですね。
 一方、記録写真のほうはどうかというと、僕は案外重要だと思っているのは、社屋や会社内の写真。そして、自社商品の写真です。僕も、気づいたときに印刷機の写真を撮るようにしています。特に引退間近の印刷機にはちょっと名残惜しい気持ちになることがあって、写真を撮っておきたいと考える。できれば、現役で活躍している姿も撮っておくべきですね。このあたりは、我が社のカメラチームが撮っていると思います。
 何かの記事で「若手社員の中には終身雇用を望んでいる人が多い」というのを見たことがあります。働き方が変わり、日本企業の特徴である終身雇用は消えていくのか……と思っていましたが、そうでもないようです。人生100年時代。従来通りの終身雇用というのはなくなっていくでしょうが、ひとつの会社で何10年も勤め、意味と価値のある仕事人生を送ることができるのであれば、終身雇用はよいことに違いありません。
 記念写真や記録写真は、何10年も長く勤める人にとって特別な価値を持つ写真といえるでしょう。過去の写真を撮ることはできませんが、「今」を確実に記録し続けることを心がけようと思います。

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