
おはようございます。
午前9時半、東京からお客様。当社の海外展開についてヒアリングを受ける。この2年間、ほとんど動けずにいるが、来年はアクションを起こしてもよさそうだ。午後1時半にも東京からお客様が来社。オンライン上では何度も会っている。リアル対面は初めて。こういうパターンが今後増えていきそうだ。3時帰宅。パソコンに向かう。6時40分、とかち館へ。7時、中小企業家同友会とかち支部12月例会。講師は「とみおかクリーニング」を展開する(株)ハッピーツリー代表取締役の富岡裕喜氏。「来たるべき未来を見つめた業態変革 ~3代目の苦労と挑戦~」というテーマ。例会終了後、「とみおかクリーニングの本」が販売された。よく売れていたようだった。9時半、「旬菜広間びさん」で講師を囲む会。例会後に囲む会を開催するのはほぼ2年ぶり。11時半帰宅。
考え方と考える方法
実に中身の濃い講演でした。同友会の例会ですから、多種多様な業種の人が参加しています。異業種でありながらも、決して他人事ではない。自社あるいは自分たちの業界と照らし合わせながら聴いていたに違いありません。グループ討論の中、あるいは例会後の囲む会の中でも、「自分たちの業界はこんなに変わった」という話が出てきました。業界そのものが縮小したり、中身が大きく変わったりしています。同じように見えても、10年前と同じということはあり得ない。印刷、出版、広告の業界も同じ。どんどん変わっている。だから、自社もどんどん変わっていかねばなりません。
クリーニングは市場規模がピーク時の半分以下に減少しているという業界。富岡氏が継いだときには、厳しい現実が目の前にあったといいます。「市場縮小」「安売り店との違いが伝わらない」「募集しても人が集まらない」「いい立地に出店できない」。市場縮小とレッドオーシャンという点では、印刷業界とまったく同じ。話を聴きながら、僕はこの厳しい現状認識がビジョンにつながっているのではないかと感じました。
富岡氏は自問自答したといいます。「自社は何者なのか」「何を目指すのか」「誰に好かれたいのか」「どんな見栄えであるべきか」。ここから、とみおかクリーニングのリブランディングが始まったのでしょう。「世界一かわいいクリーニング店」というキーワードが誕生しました。
おもしろいと思ったのは、誰に好かれたいか、どんな見栄えか、というあたりですね。これは同友会の経営指針成文化には出てこない言葉。なるほどと思いました。「誰に売りたいのか」ではなく「誰から好かれたいのか」。ここが重要。このような発想があるから、「世界一かわいい」という言葉が出てくるのでしょう。見栄えという点では、ナチュラル感と手作り感が挙げられていました。確かに、その通りの店づくりと商品構成です。
そうしたビジョンを形にしていくためのプロセスが非常に参考になります。これは取材時にもあった話。業態変革のために、新しい会社を興し、新しい人材を採用し、新しい取り組みを行っていく。新しい発想は古い組織からは出にくいもの。新会社であれば、過去にとらわれることはありません。そのようにして新しい取り組みを形にし、既存の組織と同調するようになったタイミングで合併して今に至っている。このやり方、果たして我が社にも当てはまるのだろうか……。頭の中であれこれイメージしながら聴いていました。
講演の中では富岡氏あるいはとみおかクリーニングの考え方が述べられていましたが、それ以上に、僕は「考える方法」についていくつものヒントがあったと感じています。クリーニング業界を外食業界と比較してみたり、カフェの収益構造から物販の売上比率を設定するといったやり方。
加えて、言葉に対するセンスが並ではない。「世界一かわいいクリーニング店」もすごいが、講演終盤、2040年に向け「脱いだ、その後に」というテーマについて語られていました。人は2040年にも服を着ているだろうが、服装は変わっているだろうし、家事の自動化は進んでいく。「脱いだ後」についてイメージし、自社の商品・サービスを変えていかねばなりません。インパクトのある言葉によって、人は考えを深めたり、イメージを広げていく。業態変革を進めるには、社内にどんな言葉を伝えるのかが鍵を握るに違いありません。わかりやすさ、納得性、インパクトが求められます。