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紙の本と電子書籍18 電子書籍の弱点

紙の本と電子書籍18 電子書籍の弱点

おはようございます。
 午前8時20分出社。8時半、O氏とともに釧路へ。11時からミーティング。午後1時50分帰社。S社、K社長とミーティング。3時半帰宅。原稿、事務的作業等。年内に仕事を完結できるだろうか。微妙な進み具合だ。

電子書籍の弱点

毎日ブログを書いていると、後になってからちょっとした間違いに気づくことがある。誤字、脱字、文章の不具合。あるいは、不適切な表現をしてしまうことも稀にある。こんなときは、当然ながら修正してから情報を更新する。それをいとも簡単にできるところが、ブログのありがたいところといえる。
 Gメールでも、設定によっては、送信した後でも30秒まで取り消し可能だ。僕はこの機能に救われたことが何度かある。30秒あれば、自分の書いたメールの文面をもう一度読み返すことができる。うっかりミスをする可能性は非常に低い。
 自社のWEBサイトでは情報が毎日更新される。当然といえる。間違いを発見すれば速やかに修正する。新情報は随時発信される。WEBメディアでは30年前には考えられなかったようなことが可能になっている。これは素晴らしいことだ。
 何を言いたいのかというと、電子書籍を含む電子媒体は随時変更することができ、ここに紙媒体との決定的な違いがあるということである。紙媒体の場合は、印刷・製本され、世に送り出されると、修正するのは不可能だ。我が社では経験がないが、最悪の場合は回収という事態もありうる。その分、紙媒体は慎重を期して制作されなければならない。
 このため、電子媒体に比べて、紙媒体のほうが校正作業は慎重に行われる。雑誌スロウでも3回くらい校正していると思う。僕の場合、原稿が仕上がった時点で校正し、デザイナーに渡した後に2回校正する。他の編集者のチェックも入る。自分では完璧と思っても、うっかりミスがけっこうあるものだ。大半は単純な入力ミス。ときどき、文章表現において、他の編集者と考えが食い違うことがある。慎重に検討して、変更に応じるかイキ(変更しない)にするかを決める。
 入稿した後にも手間暇のかかる作業が控えている。電子媒体にも校正作業はあるだろうが、紙媒体のほうが数倍手間をかけている。それゆえに、完成度という点では紙媒体に軍配が上がるだろう。
 ここ数ヵ月、精力的に電子書籍を読むようにしている。すると、ちょっとした発見があった。それは「紙の本をもとにつくられた電子書籍」と「紙の本が存在しない電子書籍」との間には、無視できないレベルの違いがあるのではないかということである。
 電子書籍の特徴のひとつは「気軽に出版できる」ことだ。そのこと自体、素晴らしいこと。生産コストがかからない。後から修正することも可能だ。だが、この気軽さ、便利さが足を引っ張るケースが目につく。そもそも本の構成がちゃんとしていないこともあれば、中身が薄すぎる本もある。文章表現に疑問を抱くこともある。プロの編集者が不在のまま出版されたと思われる電子書籍は少なくない。一方、「紙の本をもとにつくられた電子書籍」ではそのようなことはまずない。紙の本と電子書籍の中身、文章のクオリティは同一だ。
 紙の本と電子書籍には、それぞれ一長一短がある。僕個人としては、電子書籍であっても、紙の本の制作工程に近づけていき、クオリティや情報の正確性を高める努力が不可欠と考えている。「悪貨は良貨を駆逐する」があってはならないだろう。電子書籍の時代における編集者の役割は、案外重要になってくるのではなかろうか。

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