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取材記録27 熟成期間の違い

取材記録27 熟成期間の違い

おはようございます。
 午前9時半出発。目的地は美瑛。通常であれば3時間弱。ナビでは2時間33分と表示されていた。ナビの指示に従ったら、不思議なルートを走ることとなった。3時間半かかったが、気になる店を2軒発見した。いつも通りのルートならこうした発見はなかっただろう。取材は午後1時半から。素晴らしいロケーション。つくられているものも素晴らしい。熟成期間の異なるチーズ2種類を試食。人間にたとえれば、若さか円熟味か。好みにもよるが、円熟味のある熟成度合いのほうが人気という。3時半、取材終了。帯広に向かう途中、気になる店に立ち寄り、買い物をする。
 7時帰宅。取材先で購入したチーズを撮影。これで安心して食べることができる。クリスマスイブだからなのかどうかわからないが、チーズフォンデュをつくることとなった。つくるといっても、チーズと白ワインを温めるだけ。自宅でお酒を飲むことはほとんどないが、昨夜は赤ワインを飲む。先月、「これが一番のおすすめ」と教えられたワインを偶然見つけたのだった。残念なことに、僕はワインに対しての味覚は鈍い。それでも、深みのある味を感じることができた。

将来をイメージして味わう

取材活動のおもしろいところは、取材しながら新しいことを知ったり、取材相手の人生の一部を聴いたりするところにあります。今行っている仕事や活動には、そこに至るまでの理由や背景がある。取材ではそのあたりを質問していくことになります。
 若い編集者と熟達した編集者とでは、同じような質問をしているように見えても、質問の仕方に違いがある。これはスロウ創刊から17年間、さまざまな編集者に同行して、つくづく感じることです。新人に近い編集者の場合は何をどのように質問したらよいのか、頭で考える。だから型どおりの話の展開になっていく。取材センスのある人の場合は、その場の状況や相手によって臨機応変に取材に仕方を変えていく。取材現場を見ると、どのような記事になるのか、おおよそわかることがあります。深みのある取材はやはり深みのある記事となっていく。
 昨日は、「熟成期間が違うだけでこれほど味に違いがあるのか」とちょっとビックリしました。これまでチーズの取材は何回くらい行ってきただろう? たぶん、30回くらいでしょうか? そのたびに、試食することになりますが、同じチーズを熟成期間で食べ比べた記憶はありません。これはおもしろい。
 若いチーズには若いなりの味わいがある。僕はチーズについて詳しくはありません。むしろ、ワインと同じくらい味覚が鈍い。けれども、この若いチーズは熟成していくとこんな味になっていくのだろうな……などと想像しながら食べると、これまでとは違った味わい方ができるというものです。。
 若手の人たちを見ていても、「将来、このように成長していくに違いない」とイメージしながら仕事ぶりを観察することがあります。若手の多くは「今」しか見ていません。これは経験が少ないためでしょう。自分の未熟さを知識や技術でカバーしようとする。もちろん、知識、技術は大切。若い頃の蓄積が仕事人生を左右することになります。ただ、時間を積み重ねなければ実感できないものがあるわけです。知識、技術に偏重しすぎると、時間から生み出されるものを見失ってしまうことがあります。
 熟成庫に並んでいるチーズは単に保管されているわけではない。静かに味わいを増していっている。人間の場合、ただ眠っているだけで味わいが増すことはありませんが、ひとつの会社の中で必要な経験を積み重ねていくことで、深みや円熟味を感じさせるような仕事ができるようになっていく。そのような仕事人生はひとつの理想形といってよいのではないでしょうか。

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