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門外漢の原稿作成技法第52回 経験と学習

門外漢の原稿作成技法第52回 経験と学習

おはようございます。
 朝からパソコンに向かう。「2022年の年頭にあたって」の執筆。例年に比べ1日遅れで進んでいる。執筆速度はやや遅い。それでも、後半になってスピードが上がってきた。5時半には仕事を終える。

文章作成のプロセス

どのような種類の原稿であっても、書き始める前、僕は「書けないような気がする」という気持ちに支配されます。もう35年も文章を書いてきているというのに、書く前にはまったくといってよいほど自信がない。かなりの時間を費やして書き出しの1段落目を書く。行数にすると3行くらい。3行書くとようやく、書けそうな気持ちになってきます。僕はこれを「3行革命」と呼んでいます。ネーミングはともかく、この気持ちに賛同してくれる人も何人かいます。
 我が社の多くの編集者は「取材して書く」ことを基本としています。僕のスロウの記事も、基本的に取材してから書くようにしています(例外もある)。しかし、社内報や「年頭にあたって」などは取材記事ではありません。自分の考えを書く。このブログにしても、取材ではなく、自分の考えや感じたことを書いています。
 「取材→考える→書く」ではなく、「学ぶ・経験する→考える→書く」。このようなプロセスの違いがあるため、最初の数行には特に苦労します。自分の考えをどこから伝えていったらよいのだろう……。少し迷ってしまうのです。
 ひとりの人間の経験というものはたかが知れたもの。特殊な経験や密度の濃い人生を送ってきた人は別ですが、僕は自分の経験から得た情報だけには依存しないようにしています。「学ぶ」が何よりも重要。そして、学ぶためには「調べる」という行動が欠かせません。
 文章を書く前にも、調べる→学ぶというプロセスを通過します。「年頭にあたって」は1万6000字書くことになりますから、ずいぶん調べ物をします。もちろん、調べるにあたって「仮説を立てる」ところからスタートします。仮説は問題意識と課題の認識が出発点となって立てられます。話を整理すると、このようになります。
 問題意識→課題の認識→仮説立案→調べ物→学ぶ→経験との照合→考える→書く。雑誌の取材では、これに「取材」が加わります。おそらく、「調べる」の前後に取材することが多いでしょう。
 「年頭にあたって」の文章の場合、「仮説→調べ物」を何度も繰り返します。仮説に合致した情報を調べようとすることもありますが、自分の仮説に情報を合わせようとするのは危険なもの。仮説に合わない情報を排除することになりやすいからです。合わない場合は、仮説が間違っていたか、どこか強引な仮説だったのかのどちらか。さらに調べる場合もあれば、いったん振り出しに戻って考え直すこともあります。
 ただ、コロナ禍になってからの2年間は、かなりハッキリ方向性が見えていますから、仮説そのものが大幅に狂っていることはあり得ません。この仮説をどのように文章化するのか、説得力と納得性を高めたものにしていくのか。ここに最大限、エネルギーを費やさなければなりません。
 「長い文章を書いても伝わらない」と言われることがあります。スロウの記事は1記事3000~7000字くらいでしょうか。けっこう長い。文庫1冊の文字数は6万字前後(クナウこぞう文庫の場合)。
 人は学ぶことで自分を高めようとしていますから、成長意欲の高い人はたいてい本を読んでいます。長い文章を自ら進んで読んでいる。長いから伝わらないのではなく、意味の薄い文章だと伝わらない。中身のある文章であれば、文章量はさほど関係ないでしょう。価値ある情報が詰まっていれば、ある程度長い文章になるのは必然といえます。
 調べて学んで、自分の経験と照合しながら、自分の考えをまとめていく。学びは自分の経験不足を補完するものでもあります。経験と学習、どちらも欠かせません。

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