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門外漢の原稿作成技法第53回 情報過多

門外漢の原稿作成技法第53回 情報過多

おはようございます。
 午前中は帯広経営研究会2022年度要覧の校正作業。赤を入れた校正紙をPDF化し担当者に送る。続いて、同窓会報の原稿手配その他。午後2時からは原稿の執筆。ようやくスピードが上がってきた。6時、本文がほぼ完成。もう少し詰めたいところだが、これでよしとする。

情報を取捨選択する力

ある程度予感はあったのですが、今回の原稿作成には時間がかかりました。M氏から「まだ書いていたの?」と言われる有様。やはり、取材は早めに行っておくべきですね。僕の場合、どうしても熟成期間が必要なようです。取材した後、いったん取材時のやりとりを忘れてしまうくらい時間をおく。何のために熟成が必要なのか、言葉ではちょっと説明できません。ただ、取材後いきなり書こうとするとピント外れな原稿になったり、表面をなぞるだけになりやすい。取材後すぐに書き始められるプロの編集者、ライターとはちょっと違うような気がするのです。
 今回の反省点としては、書く前に資料をたくさん用意しすぎたこと。情報過多になったようです。情報は多ければ多いほどよい。そう思ってしまいがちですが、案外そうとは言えない。個人差はあるものの、情報が集まりすぎるとどのような切り口で書いていこうか、迷ってしまうものです。今回のように重要な情報がたくさんあると、「これも書かなきゃ」という気持ちになりやすい。情報を詰め込みすぎた結果、文章がうまく流れていかない。今日最初の仕事は、うまく流れるように言葉を少し削っていく作業になりそうです。
 以前にも書いたような気がしますが、情報不足、少し飢餓状態にあるほうが原稿は書きやすい。取材ノートや音声データから情報を引き出そうとしても十分に出てこない。そんなとき、僕は取材時に目撃したものや感じ取った雰囲気、商品や活動から伝わってくるメッセージに耳を傾けます。そして、それらを自分の価値観や考えと照合していく。そのようにすると、ほどよいバランスで文章を書いていくことができると思うのです。
 今回、情報過多になることがわかっていて、それでもこのテーマで書こうと思ったのには、何か理由があるに違いありません。僕の場合、スロウの原稿は「読者に読んでもらうための原稿」であると同時に、「自分の考えを深めるための原稿」でもあります。5ページの文章量は5200字前後。通常、4時間かかって書いていきます。ただ、書き始めるまでの時間がやけに長い。調べたり、取材ノートやテキスト化した音声データを読み返したり、音声を聞き直したりする。そして考える。
 考えることに集中できればよいのですが、そこに雑念が入ったり、急ぎの仕事が飛び込んだりすると、また最初から考え直さなければなりません。このロスタイムが自分を苦しめる。そんな理由から、僕にとって原稿を書くのは日曜日がベストという結論に至ります。もちろん、この方法は我が社の編集者には勧められません。そもそも、プロの編集者なのですから、平日、会社にいても原稿を書くことができるというくらい、集中力を鍛える必要があるでしょう。
 情報過多に話を戻します。僕らは情報過多の時代を生きています。要らないといっても、勝手に情報が飛び込んでくる。そして、一喜一憂したり、ソワソワしたり、集中できなくなったりする。若手の人たちは自分のほしい情報をつまみ食いする傾向にあります。反対に、上の世代の人たちは物事の全体像を知ろうとして、広く情報を集めようとする。その結果の情報過多。世間知らずな若者と不安感に襲われがちな中高年者。今、僕らに必要な能力は、余計な情報に惑わされない、情報を取捨選択する力であると言えるでしょう。
 文章を書くという活動は、情報を取捨選択しながら進めていくものです。情報過多の時代、誰にとっても有用な活動と言えるのではないでしょうか。

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