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門外漢の原稿作成技法第54回 執筆速度が上がるタイミング

門外漢の原稿作成技法第54回 執筆速度が上がるタイミング

おはようございます。
 「北海道 来たるべき未来を見つめて」の仕上げに集中する。本文はできている。キャプションと見出しを入れる。全体を見渡し、一部の写真を差し替えることにした。いったん出力し、校正する。午後2時頃、担当デザイナーに送る。2時45分、買い物へ。4時帰宅。次は「記憶の中の風景」のための写真選び。画質調整は日曜日の作業とする。

書きたい中身+ビジュアルイメージ+タイムリミット

今回は原稿作成にずいぶん時間をかけることとなりました。書き手として僕がいつも門外漢であるように思ってしまうのは、追い詰められるまで筆が進まない(実際はキーボード)ところにあります。いつも「余裕があるときに書けばいいのに」と言われるのですが、締め切りに余裕があるときは別な何かに追われていて、ほとんど余裕のない日々を送っている。常に何かに追われているような気持ちになる。これは僕のエニアグラムのタイプと関係あるのだろうか? いつも同じペースで仕事ができるのは写真関連の業務に限られます。
 したがって、僕が「原稿を書くには熟成期間が必要」と言っているのは、少し怪しいところがありそうです。単に締め切りまでの期間なのかもしれません。締め切り、デッドラインをハッキリ意識すると、そこからスピードが上がるのです。先週末、僕は自分で電子書籍発売のスケジュールを決定しました。これから本の執筆が速まることでしょう。
 もう一つ、門外漢だと思う理由があります。それは、雑誌記事の場合、先割り(原稿を書く前にレイアウトをすること)でなければ書きにくいと思ってしまうこと。このため、僕は自分でインデザインを使って、写真を配置し、テキストの分量を決め、原稿を流し込めばいいような状態を整える。そして、半完成状態にしてからデザイナーにデータを渡す。2006年以降、ずっとこのやり方。本当のライターならこのようなことはしないでしょう。
 ただ、時代は大きく変わりつつあります。1980年代後半、ワープロによってライターになるためのハードルが下がりました。1990年代はDTPによってデザイナーになりやすくなり、2000年代はデジタルカメラによって一気に写真の裾野が広がった。僕はデザイナーではありませんが、デザインもどきのデータを作成でき、ワープロソフトで原稿を書く。自己完結型の仕事ができるようになりました。これは大変でもありますが、自分の思い通りにできるメリットがある。僕はこれ以外のやり方だと窮屈に感じてしまいます。
 原稿の書き方にはたぶん何通りもあるでしょう。大別すると「書きたいことが明確なとき」と「書きながら考えよう」と思うときとで書き方が異なる。書くことが明確な場合は、たぶん後割りでも書けるような気がします。僕は先割り派なので、だいたい書くことを決めておくものの、「書きながら考える」ことが多い。その際、レイアウトができあがっていると比較的書きやすいんですね。書きたい中身+ビジュアルイメージ+タイムリミット。この3つのバランスがとれたとき、一気に書き進めることができるのです。
 追い詰められる前にスピードアップできないものか? 僕が30年くらい前から考え続けていること。さまざま試行錯誤してもほぼ不可能。ただし、「偶然、締め切りを勘違いしていて早く仕上がった」ということがあります。そのためか、本当の締め切りではなく、ダミーの締め切りを僕に伝えるという巧妙な編集者も現れます。スロウの入稿順で今回も僕がビリか……と思ったら、ごく稀に2番手につけていた、ということもある(一番はいつもM氏)。これは締め切りを勘違いした賜物といえます。
 前半主義。やろうと思っても、僕にはできた試しがほとんどありません。前半主義は、僕にとってカカオ100%のチョコレートのようなほろ苦い言葉。だが、できる方法はきっとありますね。「勘違い力」を発揮して、「前半がすでに終盤」と考えるようにすればよいのだ、と気づきました。有能かつ巧妙な編集者が使った手法。これを自分で自分に対してできるようにする。ただ、自分ひとりではやりにくい。ほどよく僕をだましてくれるようなAIがあるといいですね。

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