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第16回 潜在能力と潜在資源

第16回 潜在能力と潜在資源

おはようございます。
 釧路に来ています。昨夜は釧路商工会議所青年部(YEG)の5月例会。「モテる企業の経営論」というテーマで話をさせていただきました。演題はちょっと変わっていますが、経営指針を中心とした話。中身のほうは理念、ビジョン、当社の事例など。僕の話を聞くのは3回目という参加者もいるようなので、できるだけ話が重ならないよう、切り口を変えてデータを作成しました。
 参加者の方々もYEGのメンバーだけではなく、行政、金融機関、報道、フリーランスの方、学生さん……、バラエティに富んでいました。例会、交流会、二次会。気づくと、11時。ふだんなら眠っている時間ですが、たまにはよしとしましょう。

地域や自社には「何があるのか」

さて、釧路にも十勝にも地域の持つ潜在能力があるわけです。民間企業にもそれぞれ潜在能力がある。潜在能力は「潜在」ですから、能力のありかを発見し、それを磨いていかなければ顕在能力とはなっていかない。経営指針を作成するのは、自社の能力を潜在から顕在へ変えていく活動の第一歩ともいえるでしょう。顕在化する活動に熱心な会社は成長、発展していく。
 つまり、どの企業にももともと能力が備わっているというのに、顕在化の活動量に温度差があるため、企業力に大きな差がついてしまうことになるのです。
 さすがに21世紀に入ってから18年目もたつと、「うちの会社はダメだ」みたいな話をする経営者はほぼ消え去りました。まだどこかにいるかもしれませんが、そういう人と会話する機会はこの先ないと思います。
 どの会社にも潜在能力がある。そのことに気づいていない経営者はいないはず。ただ、能力を特定することができていないという人は多いのではないかと想像します。我が社もハッキリ特定できているかと問われると、ちょっと怪しい部分がある。自分では「これだ」と思う強みや潜在能力があるのですが、案外社外の人から思わぬ強みを指摘されることがある。自分のこと、自社のことはわかっているようで、案外わからないことがあるものだと思います。
 異業種の人たちと交流すると、自社の意外な強み、意外な潜在能力を伝えられる機会が増える。これは自社を成長させる上ではとても有効なことです。企業だけではなく、「地域」にも同じことが当てはまりそうですね。
 ずっと以前から思っていることですが、釧路の人は釧路の潜在能力について十分認識していない部分があるような気がします。じゃあ、それは何なのだ? そう言われると、僕もズバリとは答えられないのですが、地域の潜在能力とか魅力というものは、そうしたものではないでしょうか?
 ひと言では答えにくいようなもの。釧路にやって来たときには釧路独特のよさ、居心地のよさを僕は感じます。帯広に戻ると十勝のよさを実感する。そのものズバリとは答えにくいが、断片的にはいくつも挙げることができるはず。ただ、挙げられるのは「断片」なので、断片を磨いても顕在能力になるかどうかは何ともいえないところ。

今朝起きてから思ったのですが、潜在能力の前に潜在資源というものがあり、地域においても企業においても、資源の存在を認識することがまず重要なのではないかと考えました。
 釧路には実に数多くの資源がある。すぐに使える資源もあれば、手を入れたり環境整備しなければ使えない資源もある。昨夜、釧路YEGのある方がおもしろいことを言っていました。
 「十勝の人は十勝でまとまるけれども、ここでは釧路と弟子屈では違うといった話になる」
 この話、どこかで聞いた……。留萌で取材したときも同じ話を聞きました。留萌と増毛は違う、といった話。振興局の名称が釧路、留萌という都市名と同じであることがひとつの原因なのでしょう。オホーツク総合振興局は網走支庁から名称が変わってよかったですね。ひとつにまとまりやすいネーミング。ここがひとつネックになっていると思います。
 そんなわけで、釧路総合振興局の中に数多く潜在資源が隠されているものの、十分発掘されておらず、連携も不十分なままになっている。それが現状ではないか。僕が言うまでもなく、釧路の経営者の方々も同じようなことを考えていると、昨夜は話ながら気づきました。
 当然行っているとは思いますが、自社でSWOT分析を行うのと同じようなことを地域(市町村単位ではなく広域で)で詳細に行うとおもしろのではなかろうか? 僕も帯広に住んでいて感じることですが、案外、地元の隠れた魅力に気づいていないことがあるものです。旅行者や移住者から教えられたりする。あるいは、存在を知っていても、その価値に気づいていないということもありますね。
 資源というものは価値に気づかなければ、ただそこに存在しているだけということになる。能力の場合は、磨いたり、活用しようと考えるわけですが、資源のほうは「見つかっても放っておかれる」可能性が高い。釧路湿原ななどは、その最たる例といえるでしょう。

有用か無用か、簡単に判断してしまう前に、まず「地域に何があるのか」を洗い出してみることが大切ではないか? 昨日は釧路と十勝について考えていましたが、自社についてもまったく同じように考える必要がありますね。そうすると、一見価値がないように見えて放置したままになっている資源というものが、確かにあるような気がするのです。
 クロッシング(育てる・攻める・守る・捨てる)の「捨てる」に位置していた商品が、時代環境の変化とともに「育てる」にチェンジすることがあります。自社の資源についても、無価値に思われていたものが、一転して価値に気づくことがある。また、自社に留まらず、自分個人の潜在資源の中に価値を見いだすこともあるでしょう。
 僕らは「すぐに使えるもの」を探す傾向がありますが、すぐ使えるものはすでに使っているか、磨かれている途中であることが多いんですね。その前の段階にあるもの、潜在資源に目を向ける必要がある。今朝になって、ようやくもやもや考えていたことがわかってきました。

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