
おはようございます。
午前8時50分出社。9時、S社K社長が来社。打ち合わせ。午後3時からパソコンに向かう。写真選びと原稿の整理。
分業するか自己完結型か
社会人になって37年経過しましたが、いまだに写真や原稿の整理を苦手としています。
その昔、フィルムカメラの時代であれば、ポジフィルムから写真を選び、使用する写真をポジ袋に入れるところから作業が始まります。それから、ラフレイアウトを作成する。タイトル、見出し、リード、本文、写真、キャプションの位置をおおざっぱに書く。それぞれ番号を振って、原稿、写真と対応させていきます。1点こと写真(ポジ)の入っているポジ袋に、ダーマトグラフで番号を記入する。今の時代、ダーマトといっても通じない人が多いかもしれませんね。
この地味な作業がけっこう好きという人は、たぶん編集者・ライターに向いていることでしょう。僕らの場合は、ライターがこれら一連の作業を行っていました。ラフレイアウト、原稿、写真。この3点セットがなければ、デザイナーに渡すことができない。僕は原稿を書くことそのものよりも、ラフレイアウトを作成するところに苦手意識を持っていました。
1990年代半ば、自分でデザインまでやってしまおうと思ったのは、ひとえにラフの作成が面倒だったためです。ただ、イラストレーター(当時のバージョンは7.0)を使って自分でデザインすると、さらに面倒な作業を背負い込むこととなりました。操作がわからず、「調べる」から始まる。締め切りは迫っているのに、イラストレーターの操作法を勉強している自分がいる。2時間後には東西線の電車に乗って、データと写真を届けなければならない……。そんな追い詰められた状態を何度も繰り返し、一応は使えるようになっていきました。
今はどうか? 雑誌「スロウ」に関しては実にスムース。インデザインで8割方整えてデザイナーに渡す。原稿づくりでは悩みますが、デザイン面で考えることはありません。しかし、年1、2回だけつくるもの、あるいは単発の仕事の場合、30年前に戻ったような気持ちになることがあります。そうして、30年前のように手書きでラフレイアウトを書いている自分がいる。
手書きのラフレイアウト。これは今日のスロウ編集部、しゅん編集部、あるいは印刷物のさまざまな仕事の中でも行われています。たまに、それぞれの編集者のラフを見ることがあります。あまりにラフすぎるものもあれば、かなり緻密なものもある。個性的なものも見受けられます。デザイナーはさすがプロと思ってしまうことがあります。
僕の場合、デザイナー(または制作)が悩まなくて済むように、かなりていねいに作り込む傾向にあります。ラフなのにインデザインでつくったりする。これは効率性という点で問題がありそうなので、滅多なことではやらないようにしています。
このあたり、複数(たぶん2、3名)の編集者が僕と同じような葛藤を抱えているようです。手書きのラフがよいのか、インデザインでつくるほうがよいのか。はたまた、自分でデザインするというレベルまで目指すのか。
スロウでは、ここ数号、編集者自ら撮影しているページが増えてきました。クオリティに問題はない。というより、僕が撮るよりもよかったりする。技術が伴えば、分業するより自己完結型のほうが思い通りの記事をつくりやすい。そのことを承知しているからこその悩み、葛藤といえます。写真は劇的に簡単になりましたが、デザインはまだまだプロの世界かもしれません。インデザインでラフがサクサクつくれるようになる。ここがひとつの目指すところ。
編集者(ライター)、フォトグラファー、デザイナー。三者の職域はファジーなものとなっています。本業に徹するか、他の職域に進出するか。どちらが業務改善につながるのかは、僕には何とも言えないというのが正直なところです。
