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紙の本と電子書籍49 ブックトークイベント

紙の本と電子書籍49 ブックトークイベント

おはようございます。
 午前9時50分、いったん出社してからザ・本屋さん白樺コロニー店へ。すでに我が社のスタッフがイベントの準備作業を行っていた。開会まで3時間。時間はたっぷりあると思っていたのだが、そうでもないようだ。午後1時過ぎ、ブックトークイベント「本屋と出版社が考える、本の楽しみの広げ方」が始まった。最初は絵本専門士の水野有子さんによる「えほんマイクロライブラリー」絵本の時間。2時からはスペシャルトーク。「十勝ひとりぼっち農園」の漫画家、横山裕二さんと一般社団法人おかあさんのがっこうpeace village代表理事でとかちの八百屋おもや店主、道見里美さんの対談。3時からはブックトーク。ザ・本屋さんの高橋智信社長と僕のトーク。一出演者として僕は楽しく参加した。イベントを設営したスタッフは大変だっただろうな……。5時帰宅。夕食後、原稿を書く。

ブックトークイベント

当初は事前に用意したパワーポイントのスライドを映し出しながら話を展開していこうと考えていた。が、用意したスライドが日の目を見ることはなく、純粋なトークとなった。5月6日、発売されたばかりの電子書籍新刊についても話だけ。それでも「サクッと2万字書けるようになる」というところに興味を持ってくれる参加者がいてありがたかった。本当にサクッと書けるようになることは、僕自身が経験している。
 僕の話はかなり脱線していた。ザ・本屋さんの高橋さんの話はブックトーク半分、書店の発展系といった話題が半分。書店経営も業態変革の真っ只中にあることが伝わってきた。
 今回のイベントでは各自、自分の好きな本を一冊持ち寄っていた。僕は「写真芸術」(金丸重嶺著、朝日選書)を持参。本論から逸脱することを覚悟の上、この本から学んだことを力説した。この本は写真について語られているだけではなく、人生そのものについて、あるいは企業経営に通じる原則について述べられているのだ。僕は1982年頃、この本に出合って衝撃を受けた。しかし、人生及び企業経営との関わりに気づいたのは、それから25年も経った頃だった。
 写真家の使命は「混沌とした現実に秩序を与えること」であるならば、それは自分の人生にも、企業経営にも、まったく同じことが当てはまる。事業活動という点でいえば、今日の経営環境は過去に例がないほど混沌としている。リスクもチャンスもある。複雑でもあり、部分的には高度化している。その一方で、異業種への参入は困難ではない。逆に言うと、参入されやすくなっている。
 ボーダーレスになっていて、誰が何をやっても自由。つまり、自分の意志によって、自分の理想とするビジネスに近づけていくことができるのだ。印刷会社だから印刷物の製造だけ、書店だから本の販売だけしなければならないという時代ではない。
 個人においても同様。編集者だから雑誌の編集だけ、デザイナーだからデザインだけ、と自分の活動に境界線を引くという考え方は時代遅れなものとなりつつある。もちろん、ひとつの道を究めることは大切だが、道=職種ではない。何を形にしたいのか、どのようになりたいのか、社会をどう変えていきたいのか。ここが重要ではないかと思う。
 本は人生を学んだり、考えを深めてくれるものである。そう考えると、僕の脱線気味の話も、一応はブックトークという趣旨に沿ったものと言えなくもない。コーディネーターの田中良治氏は話をまとめるのに苦労したと思うが、これもひとつの現実である。混沌の中には秩序が内包されている。それを雑誌や書籍の編集によって秩序を見いだし、形にしていくのが出版社の仕事である。あらゆるビジネスは、混沌→秩序というプロセスを経て商品となる。
 このテーマについても、いずれサクッと2万字で著してみたい。

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