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リフレーミング97 自分の味覚を頼りに

リフレーミング97 自分の味覚を頼りに

おはようございます。
 午前8時、SLOW livingへ。水出しコーヒーの準備等。この作業はさほど難しいものではない。店が落ち着いたら、誰かに任せたいところ。朝の静かな時間、SLOW livingのテーブル席で30分ほど作業をする。インスタを再開することにした。以前よりも簡単に、パソコンから投稿できるようになっていた。SLOW livingの営業時間中は、店と自宅を行ったり来たり。自宅ですべきことがいくつか溜まっているが、滞り気味となる。夕方、買い物へ。

「説明書通り」という罠

僕の人生の中でこれほど頻繁に水出しコーヒーを作ったことはありません。ほぼ毎日水出しコーヒーづくり。1日に2回作ることもあります。12~16時間で抽出しているため、2日に3回程度つくることができる。僕の好みとしては、やや抽出時間を長めにしたいところ。ほんのわずかな差なので、もちろん12時間抽出でもちゃんと味わい深いものとなります。
 初めて水出しコーヒー器を購入したのは、今から30年近く前のこと。何がきっかけだったのか? 当時住んでいた東京・西荻窪にはいい感じの喫茶店(カフェではない)がいくつもありました。その中にとてもコーヒーに凝った店があった。その店から影響を受けたためと記憶しています。思い切って、オージの水出しコーヒー器WD-150を購入。自宅でいまだに現役で活躍している優れものです。
 実に重宝している水出しコーヒー器なのですが、僕の場合、安定して抽出できるようになるまで数年かかりました。説明書通りに行っているつもりなのに、そのたびに抽出具合が異なる。水がまんべんなく行き渡っていないことがあるのです。そんな失敗を何度も繰り返しました。2、3回失敗したところで気づけばよいのに、数年も繰り返した。うまくいくこともありましたから、自分の技術の至らなさだと思い込んでいました。
 水出しコーヒーを淹れるのに、本当は技術などないに等しいのです。正しい知識と味覚があればよい。当時の僕には1枚の説明書しかありませんでした。インターネットが普及する前の話です。
 水出しコーヒー器のロートにコーヒーを入れ、湿らせる。今でもネットでそのような説明が多く見られるのですが、この方法では失敗確率が高い。あらかじめ計量カップ等を使って、コーヒーを十分に湿らせてからロートにセットする。こうすることで、ほぼ100%失敗することはありません。単純なことなのに、このやり方にたどり着くまで、数年かかってしまいました。
 それはなぜか? 説明書に書いてあるとおりにしなければいけない、という固定観念があったからに他なりません。
 店用にもう一台、水出しコーヒー器を購入しようと思い、ネットであれこれ調べてみると、僕のやり方に近い方法が紹介されていました。1990年代の僕には知るよしもなかった。なあんだ、という感じですね。
 使用する豆は深煎り。これは当然のことですが、どの程度の挽き方がよいのか、僕にはわかりませんでした。薄いように感じることが多かったので、細挽きがよいと考えていました。ところが、たまに「中挽きがよい」と言う人もいたりします。人の言葉に惑わされてはいけない。結局たどり着いたのは、3番。極細挽きとされ、エスプレッソマシンに使われる挽き方。苦味が強く出て、僕にはピッタリ。これ以上細かいと、粉っぽい味になるようです。
 SLOW livingではカリタの水出し器15人用を使っています。これに珈琲専科ヨシダのスペシャルアイスコーヒーをセット。挽き目はやはり3番。カリタは布フィルターではなく、セラミックが使われています。ですが、オージ同様、3番でよさそうです。
 結局のところ、自分の味覚を頼りに試行錯誤し、理想に近づけていくしかありません。説明書通りとか、ネットに書いてあるから……という、他人任せなやり方をしていたら、理想の味の数歩手前で足踏みすることになるでしょう。これはどんな仕事にも当てはまるような気がします。

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