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取材記録35 手に職

取材記録35 手に職

朝、旭川市内で「ゆったりある記」の取材。以前にも訪れたことのある場所だが、こんなエリアがあったとは。雨上がり。蚊に悩まされる。虫除けスプレーも少しは効いていると思うが、2ヵ所ほど刺された。次の取材は10時。車で10分ほどの距離。仕事人生について考えさせられる取材だった。12時過ぎ、取材終了。帰路、美瑛のあたりから晴れてきた。前日同様、撮影しながら車を走らせる。5時45分帰宅。

超ベテランの取材

「手に職」がキーワードとなるような取材でした。僕の聞き間違えでなければ、御年86歳。ものづくりの取材。とても癖のある素材を使って作品がつくられていく。工房がユニークというか、かなり薄暗い場所。体が覚えているため、見えても見えなくても関係ないのだそうです。反対に「写真が撮れないのでは?」と心配してくれるほど。気が遠くなるほど長い年月をかけて積み重ねてきた技術。これは教えようにも教えられない、教わろうにも教わることのできない領域。実際、インタビュー中も手元を見ていないことが多いように思われました。指先の感覚ですべてがわかるのでしょう。
 方や、取材するM氏もこの道50年以上というベテラン。時折、ノートに目をやりながらペンを走らせているのですが、暗い場所なので文字が見えているとは思えません。「あとでノートを見るのが楽しみ」と話していました。超ベテラン同士の取材風景は見応えがあるものです。話に深みと味わいがある。できれば、若手編集者に居合わせてほしいところ。
 僕はどうかというと、雑誌の撮影をするようになってから36年。しかし、両巨頭には及ばないことを思い知らされます。取材場所は天井が極端に低くて頭がぶつかる。ずっと立っていると腰が痛くなるなぁ、と思いながら撮影していました。この点、両者の仕事姿勢からずいぶん後れを取っている。
 幸い、デジカメの性能向上のおかげで、暗い場所でも難なく撮影することができました。ISO16000。ふだん使わない感度に設定。ただし、オートフォーカスで撮影すれば赤い補助光が出てしまいます。マニュアルでピント合わせながら撮影。ミラーレス一眼は便利ですね。どんなに暗い場所でもファインダーの中は明るい。
 僕は技術の進歩に助けられながらの取材でしたが、テクノロジーとは無関係な普遍的価値を持つ仕事もある。時代が変わっても価値が目減りしない確かな技術。これをひとつ持っていると心豊かな人生を送ることができるのではないかと感じた取材でした。

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