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実録・記念誌制作12 生の証言を聴く

実録・記念誌制作12 生の証言を聴く

朝は原稿執筆準備とプレゼン準備。11時、個人面談。午後1時、柏葉1期の方々から話を伺う。場をセットしてくれたのは編纂部のT氏。事前に当時の時代背景を調べてくれていたようだ。見事な取材ぶり。僕は話を聴きながら、時折写真を撮るだけだった。3時帰社。4時、成蹊大学の学生、教授、帯広市の方々が来社。我が社の考え方や事業内容について。質疑応答がおもしろかった。6時半帰宅。

時代背景を知る

柏葉1期は戦中戦後の混乱期を経験された世代。断片的に話を聴いただけでは、僕にはなかなか理解できない。事前に勉強してから取材に臨んだT氏は、この点、1期の方々の話にちゃんとついていっている。僕は完全に準備不足でした。今からでもしっかり時代背景を学ぼうと思います。
 ただ、僕のように貧弱な知識しか持ち合わせていなくても、伝わってくるものがありました。それは歴史の教科書には載らないような当時の生活であったり、学校での学び、さらには当時の先生方のキャラクターといったようなもの。貴重な証言の数々です。時代背景を知れば、もっと深く理解できるようになるのかもしれません。
 学校の歴史の時間に学ぶようなことは、歴史の中のほんの表層的なところなのでしょう。歴史的事実だけをインプットしても歴史を知ることにはならない。教科書には記載されないようなストーリー、エピソード、人々の心の動きといったようなものがどれだけ後世の人に伝わるのか。時間がたてばたつほど記録も記憶も薄れていくものです。すべて遠い過去の出来事となり、記録されやすい歴史的事実だけが残り、ちょっとしたエピソードや人の感情は闇に葬られてしまうことになりかねません。生の証言が得られる間に、可能な限り記録しておくことが重要といえます。
 1995年、僕が入社する前の話ですが、我が社から「私の戦争体験記」(上下巻)という本が出版されました。僕は今頃になって、そのような体験記の価値を再認識しているところです。この種の本で商業出版物となるのはほんの一部。大半は自費出版物として出版されます。商業出版では記録されにくい歴史の証言。こうした自費出版の価値をもっと多くの人に知ってほしいところです。
 100年記念誌では事実を中心に記事が構成されることとなります。しかし、その中には当時の人々の心の動きやエピソードが盛り込まれていなければなりません。当時を知らない僕らがどれほど再現することができるのか。資料を読み解く力が必要ですし、可能な限り直接証言を聴くことが重要でしょう。限られた時間の中であっても生の声を聴く。昨日はこうした機会がいかに貴重なものであるか知ることとなりました。

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