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取材記録36 食べ物系の取材

取材記録36 食べ物系の取材

午前7時SLOW living。7時半出社。急遽、阿寒湖へ行くことにした。少しだけ会社で仕事。10時15分出発。12時半、阿寒湖着。半分取材ではあるが、ほぼレジャー気分。目的の料理を食べてから、遊覧船に乗る。下船後、目的の食材を購入。今回はプレ取材といったところ。うまくいけば、スロウ次々号に載ることとなる。5時半帯広着。

視覚体験と味覚体験

僕の取材は雲をつかむようなところから始まることがあります。昨日の取材は食べ物系でした。つまり、自分の私的欲求が出発点。だから、何の問題もなくすいすいいきそうな気もするのですが、そう簡単にはいきません。それは「初めて食べる食材」だったから。ふだん記事にしている「記憶の中の味覚」ではないのです。
 僕の食べ物系の記事では、必ず子供の頃、あるいは20代前半までに味わったことのある食材、料理が登場します。いきなり未知の食べ物が出てくることはない。けれども、今回は未知の食べ物なんですね。どうしてこのテーマを選んだのかというと、それは「視覚的になじみがある」ことと「ある程度味を想像することができる」ため。未知とはいえ、接点がまったくないというわけではない。ここが僕の取材では非常に重要なポイントとなります。
 若手編集者の場合は未知の世界に興味・関心を抱き、取材テーマにすることがあるでしょう。どんどん関心領域を広げ、自分の視野を拡大するほうがよいと思います。ただ、一方では過去の自分の経験(間接的なものも含め)と照らし合わせながらテーマを深めていくことが重要となる。経験を積めば積むほど、自分の過去と照合しながら取材・執筆するようになっていく。
 そうなると、自分の関心領域は際限なく広がっていくのではなく、ある時点から方向性や範囲が絞られてくるのではないかと思います。限られた範囲の中でどれだけ深めることができるのか。ここに仕事のおもしろみを感じるようになっていく。そして、深めれば深めるほど、同時に広がりが出てくるものです。それはむやみに範囲を広げたものとは異なり、ある程度の深さを保ちながら広がっていく。そういうタイプの人の書く原稿には味わい深いものがあります。取材相手の言葉をなぞるのではなく、そこに自分の経験に基づく独自の視点が書き加えられているからです。
 僕の場合、単に食い意地が張っているから食べ物系の取材をしているわけではありません。人生はその人の視覚体験と味覚体験から大きな影響を受ける。そんな確信から風景写真を撮り、食べ物の記事をつくっています。僕の写真も文章も過去に意識が向けられています。過去志向ということではありません。今とこれからについて考えるために過去を思い起こす必要がある。過去を掘り起こすほど、これからが見えてくる(錯覚もありますが)。そして、こういう取材の仕方をしていると、自分の子供時代の記憶が少しずつよみがえってくる。ここもおもしろいポイントです。

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