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取材記録40 2つのインテル

取材記録40 2つのインテル

午前8時SLOW living。8時半出社。午前中に行ったのはテープ起こし。といっても音声データをすべてテキスト化するわけではない。オートメモを使って自動的にテキスト化されたものをもっと理解するために、音声を聞き直す。そして、不明な箇所を明らかにしていった。少しずつ原稿が書けそうな気持ちになっていく。12時半、昼食のために帰宅。そのまま午後は休日として過ごすことにした。日曜に備えて、体を休める必要があった。

集積と行間

音声データを聞いて、活版印刷に関する理解が少しずつ深まっていった。加えて、ネットで調べてみた。なるほど、確かに取材で聴いた通りのことが書かれている。もしかしたら、子供の頃、僕も耳にしていたかもしれない。きっと、当時に我が社では日常的に使われていたであろう言葉。
 その言葉とは「インテル」。今日、インテルと言えば、アメリカの半導体素子メーカのインテルを思い浮かべる。社名の由来はIntegrated Electronics(集積されたエレクトロニクス)。したがって、活版印刷の取材で聴いたインテルは別物である。
 活版印刷におけるインテルはIinterlinear Leads(行間を埋める鉛)のこと。2つのインテルの間には何の関係もない。けれども、一方が「集積」で、もう一方が「行間」。無理矢理かもしれないが、僕はここに関係性のようなものを感じてしまう。
 パソコンが誕生し、1990年代にインターネットが普及。その後、スマホやタブレットが生活に欠かせないツールとなって今日に至っている。インターネットとスマホ。これにより、僕らはほんのわずかな隙間時間にもスマホ画面をのぞき込むような生活となった。寝ている時間以外は常に何かをしている。久々に電車に乗ると、年配の人以外はほぼ例がなくスマホを見ていた。時間が集積されているかのようである。
 たぶん、1970年か80年代半ばくらいまでは、何もしていない時間があった。電車に乗ると本や雑誌を読むこともあったが、半分くらいの時間はただぼーっとしていた。予定と予定との間に活版印刷のインテルのような時間があったはずだ。
 この対比がおもしろいと僕は思った。と同時に、一部の若手の人が活版印刷に興味を持つ理由が少しわかったような気持ちになってきた。
 活版印刷では、「インテル入ってる」などと思うことはまずない。刷り上がった印刷物からインテルの存在を感じるものはない。だが、インテルが入ってることで適切な行間が得られ、美しい、または読みやすい印刷物となる。
 集積させるか、あえて隙間をつくるか。生身の人間である僕らには、どちらかではなく、どちらも必要であることは言うまでもない。

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