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第18話 チーズ世代

第18話 チーズ世代

おはようございます。
 昨日はだいぶ仕事が進みました。原稿も資料作成も順調。ただ、天候と生育状況によって、これから急な取材が入る可能性がある。できることは今のうちにすませておかねばなりません。
 今日も同じような仕事の仕方になるでしょう。

18年で変わったこと

我が社にはチーズ好きが多いようです。調査したわけではありませんが、僕よりも下の世代はほぼみんなチーズ好き。しかもナチュラルチーズを好む傾向にある。本当かどうかわかりませんが、僕よりも舌が肥えているような気がします。
 一方、僕のほうはというと、最初のチーズとの出合いは雪印のプロセスチーズでした。子供の頃、自宅で宴会が行われることがあり、食べ残されたつまみの中にチーズがあった。僕は12時間くらい放置されていたと思われる干からびたチーズを口にして、ちょっとだけおいしいと思ったんですね。これが初チーズ。干からびていたため、食感は古い輪ゴムのようだったと記憶しています。もっとも、輪ゴムを食べたことはありませんが。
 その後、夕食時にもチーズが食べられるようになりました。僕がチーズデビューしたことを親が知ったからでしょうか? 干からびていないチーズはすばらしい味。以来、チーズ=プロセスチーズという図式が僕の中にできあがったのです。
 ところが、大学進学で大阪へ行くと、まったく知らないチーズがそこにはありました。京都で何度も行った店。ここでは決まってチーズ盛り合わせが出てくるのです。僕のイメージするチーズはほぼ皆無。石鹸のようだったり、ぐにゃぐにゃしていたり、青かびで覆われていたり、臭かったり。とにかく食べ物とは思えない物体。これをありがたがって食べていました。ぐにゃぐにゃの正体はカマンベールチーズ。これだけはおいしいと感じました。
 その後、社会人になってからの15年間は、ほどほどにチーズ好きでした。好きだが、特別な思い入れはない食品。そんな位置づけ。
 ところが、帯広にUターンしてみると、何やら北海道、とりわけ十勝でチーズが盛り上がっているような気配を感じました。2000年当時はそんな時期でしたね、きっと。僕は自社をどうしたらよいのかで頭がいっぱいでしたから、チーズのことはまったく考えていません。ただ気配を感じていただけ。

2003年、スロウ創刊のための準備が始まりました。特集は「ナチュラルチーズ、ことはじめ」に決定。僕は「それもいいかも」と感じていた程度。思い入れがあったのは当時31歳の編集者3名。全員うし年。僕もうし年。だからチーズ好きなのかな……などとのんびり考えていました。
 実際に取材が始まってみると、北海道のナチュラルチーズには苦闘の歴史や興味深いエピソードが詰まっていました。先駆者を求めて瀬棚や共和で取材活動を行うと、十勝とはまた違った歴史や風土を感じることに。創刊号だけあって、編集者の取材の仕方は手探り状態といった感じでしたが、北海道のナチュラルチーズもきっと手探り状態で始まったのだと思います。
 十勝でももちろん取材活動が行われました。共働学舎の貯蔵庫を撮影。日本にもこんな場所があるんだ……と不思議な気持ちになりました。大袈裟にいえば、北海道とヨーロッパはつながっているという感覚。そうえば、半田ファームでも不思議な写真が撮れたな……。

スロウ創刊の2年ほど前(2002年)、東京の友人、といっても僕よりずっと年上の出版社社長に北海道のナチュラルチーズを送ってみたのです。当時、僕はチーズの味がよくわからず、「こんなもんだろう」と適当に見つくろって送ってみた。結果は、「イマイチだったね」との評。2002年頃のチーズは玉石混淆という状態だったのではないかと思います。
 今は好みの問題はあるとしても、おおむね品質が向上している。おおむねではないな。飛躍的においしくなっていると感じています。「ほどほどのチーズ好き」の僕が言ってもさほど説得力はないかもしれませんが。
 一方、若手の人たちのチーズ好きは並ではない。チーズによるジェネレーションギャップを感じることすらある。どう考えても、僕とはバージョンの異なる舌を持っているようなのです。
 味覚というものは経験を積むことによって変わっていくもの。僕も取材の機会をとらえて、さまざまなチーズを食べ比べていきました。僕も何度かバージョンアップしていると思います。好きなチーズと苦手なチーズに分類することができ、さらに自分の好きなチーズに共通する傾向のようなものがわかるようになってきました。
 このように書くと、僕がまだまだチーズ初心者であることがわかってしまいますね。僕の中にはやはり「好き嫌い」が歴然とあるのです。ちなみに、僕の中に「嫌いな日本酒」というものはない(ちゃんと作られたものに限りますが)。本当に好きな人、チーズに打ち込んでいる人であれば、きっと好き嫌いというレベルを超越しているに違いない。
 仕事というものを好き嫌いで行っている人は、まだまだ初心者レベルではないかと思うことがあります。好きか嫌いかを考えるのではなく、ひたすら無心に行っていたり、使命感に燃えて行動していたりするもの。苦手なものをも引き受けて「丸ごと好き」という状態をつくり出している。
 我が社の場合、チーズ好きな人の中から次世代のリーダーが台頭してくるような気がします。もちろん、チーズ限定ではなくジンギスカン好きでも餡子好きでもOKです。

ソーゴー印刷株式会社

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