
写真集「十勝・帯広 昭和の記憶」の制作も中盤から後半といった段階。本当は最終盤と言いたいところだが、ギリギリの進行状況である。
昨日、サニーデパートの写真を見ながら思い出したことがあった。
僕は小学生の頃は藤丸に行きたいという気持ちが強かった。多くの子供はエスカレーターに乗りたいとか、最上階の食堂でランチを食べたいとか、階段の踊り場にあった噴水式ジュース自販機で買いたいといった願望を持っていたはずだ。
小学校高学年ともなると、欲求は変化していく。僕の記憶では小学4年か5年から切手収集を始めた。本格的にやろうと思って日本郵趣協会に入会した。大人に混じって帯広で開催されていた例会にも参加した。同級生の中に同協会の会員が僕の他に2人いた。それぞれ自分はフィラテリストだと自認していたと思う。
そんなフィラテリストたちの聖地(?)とも言える場所がかつてのサニーデパート4階にあった。「クイーンズスタンプ」という店である。小学生の頃か中学生になってからだったのか忘れたが、僕は頻繁に通い、店主からいろいろ教えてもらった。単に切手を集めるのではなく、それを切手専用のアルバムに整理する。日本でもっともよく使われていたのは「ボストーク」というアルバムだ。「マーキュリー」という4穴のアルバムもあった。僕は3穴のボストークでテーマ別に切手を整理していった。
中学まではフィラテリスト。高校に入ると僕はフォトグラファーを目指すようになっていた。クイーンズスタンプが昭和何年まで営業していたのか、僕にはわからない。だが、高校生になった僕はクイーンズスタンプではなく、同じサニーデパート4階にオープンした田村書店に通うようになっていた。
たぶん当時の帯広でもっとも豊富な品揃えの書店だったと思う。といっても、写真に関する本は非常に限られていて、カメラ雑誌6~7誌が置かれている程度だった。他には写真に関する専門書や写真集が若干あったと記憶している。
写真に関して入手できる情報が非常に限られていたため、僕はカメラ雑誌を暗記できるくらい入念に読んだ。対象となったのは、カメラ毎日、アサヒカメラ、日本カメラの3誌。他にフォトコンテスト、コマーシャルフォト、カメラマン。これ以外にもあったような気がするが記憶にない。カメラ誌を全誌購入することはできなかったので、最初の3誌の中から一番おもしろそうなものを毎月1誌だけ購入。他は立ち読みした。後半の3誌はパラパラめくる程度だった。
いずれにせよ、サニーデパートは中学・高校の6年間、よく通った。ただし、常に4階直行だった。他の階のことはまったくわからない。4階以外に足を踏み入れたのは「坂本ビル」になってからのことである。
※サニーデパートの写真は出てこなかった。写真は1978年頃。高校時代の地学の実習。よく知る顔が写っている。