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実録・記念誌制作15 事実重視の文章

実録・記念誌制作15 事実重視の文章

しばらくブログから遠ざかっていた。原稿作成に集中せねばならない状況。それは今も変わっていない。この3連休のうち、2日間はひたすらパソコンに向かった。土曜日のみ、自宅庭の梅の収穫、帯広百年記念館のロビー展と常設展見学、そして帯広柏葉高校野遊会に参加した。

事実を確認する力

記念誌の制作で困難に思うのは「事実関係がよくわからない」という場面に遭遇することです。これが実は非常に多い。当然ながら、自信を持って書くことができるまで調べる。そうすると、途方もなく時間を費やすことになります。このあたりは「十勝・帯広 昭和の記憶」ですでに経験していること。一体どこまで調べればよいのか。締め切りまで残された時間をイメージしながら、ギリギリまで調べる。書くことに充てる時間を「1」とすれば、調べる時間は「10」くらいになっています(感覚的なものですが)。
 いくつもの文献を調べて比較してみると、たまに矛盾を発見することがあります。どちらかが正しく、どちらかが間違っている。そのようなことがあると、さらに別な文献で確かめてみなければなりません。結論を導き出すことができなかった場合は、「具体的には書かない」という残念な選択をすることになる。
 反対に、事実と断定できた場合は、可能な限り事実を詳細まで書き記すようにしています。これは本書が将来、資料として活用されることになったとき、誰かの役に立つようにしておくためのもの。
 情感たっぷりな文章表現よりも、記念誌では事実重視の文章が求められると僕は考えています。そこに主観が混じることはあっても、主観や情感が主役になるべきではない。むしろ、歴史的事実は書き手の文章表現力をはるかに上まわる力を持っているものです。事実を淡々と並べていくだけで、読み手の想像力がかき立てられる。歴史的事実だけで感銘を受けたり、不思議な感動が湧いてくる。僕自身、原稿を書きながら何度もそのような気持ちになりました。
 これはもしかすると、「記念誌だから」という側面があるのかもしれません。自分が3年間過ごしたこの場所で、過去にどのような出来事があったのか。そこに関心を持つ人、持たない人、両方いるとは思います。けれども、その事実が強烈なものであれば無関心ではおられない。締め切りが迫っているというのに、調べずにはおられないという状況に追い込まれることになるわけです。
 事実を確かめることに苦しみを感じながらも、それが楽しいと思い始めている自分がいる……。「昭和の記憶」、そして今制作中の「帯広柏葉高校全日制100年・定時制70年記念誌」はまさにそのような本作りとなっている。どちらの本も、調査能力が求められる。資料を探す力、資料の中から必要な情報を見つける力、見つかった情報を正確に読み解く力が必要。
 ときどき難解な文章に出くわすことがあり、そこでも時間を使うことがあります。前後のページと比較対照しなければ事実確認できない。やっかいなものです。したがって、僕の書く原稿では、とにかくわかりやすさを重視するようにしています。その分、文章は若干味気なくなっているかもしれません。素材の味だけで十分だもと思っています。

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