
執筆と来客応対の一日。優先度の高い仕事から進めているが、時間が足りない。当社にとっての最重要行事まで3日と迫ってきた。
調査範囲を広げる
周年記念誌づくりには最初から最後まで「調べる」という活動がついて回ると考えるべきでしょう。インタビューも座談会もその一環。そして、インタビューや座談会を実施した後も、確認の意味でさらに文献等をあたって調べることになります。
史料や文献がふんだんに揃っていることはまずありません。必然的に調査する範囲を広げていくことになるでしょう。
学校の周年記念誌の場合、参考になるのは学校新聞です。現役の学生・生徒が制作した学校新聞には、貴重な情報が記録されている可能性が高い。情報の信憑性も高いと考えてよいでしょう。別な角度から母校の歴史を記録しているのは、同窓会の会報です。ただ、同窓会報に載っている記事は同窓会活動がメインであり、学校の出来事には触れられていないことが多いもの。求めている情報が得られる可能性は学校新聞に比べると低いと考えねばなりません。
僕が学校の周年記念誌をつくる上で参考になったのは、地元の新聞社2社が発行した冊子(いずれも40年前のもの)と同期会が自主的に制作した記念誌。とりわけ、同期会が発行する記念誌はノーマークでした。戦時中あるいは終戦直後の混乱期、卒業アルバムが発行されない年がありました。こうした卒業生たちの中には、「卒業○周年」というタイミングで記念誌を発行しているケースが見られます。自主制作なのに、上製本(ハードカバー)でつくられた立派な記念誌もあって驚かされます。
会社の周年記念誌では、社内報が一番参考になるでしょう。とはいえ、すべての会社が社内報を発行しているわけではありません。社内報のない会社の場合、それに代わる情報源がないか、古い記録を調べる必要があります。手がかりがほとんど見つからず、途方に暮れることになるかもしれません。
次善の策として、社外に情報を求めてみてください。業界組合に長く所属しているのであれば組合の記念誌に手がかりがあるかもしれません。また、付き合いの古い取引先が写真・史料を保存しているというケースもあるでしょう。可能性として高いと思われるのは、自社の古参社員や定年退職したOBが個人的に持っている記念写真。その中に社内行事、会社の人たちのスナップ写真、自社商品や業務中の写真が含まれていたりします。提供を呼びかけてみるとよいでしょう。
あらゆる周年記念誌づくりに当てはまる情報源として、地元の新聞記事があります。僕も大いに活用させてもらいました。比較的最近の記事については電子化されており、検索も容易。古い記事は縮刷版またはマイクロフィルムから探すことになるでしょう。新聞記事を探す場合は、いつ、どのような出来事があったのかをあらかじめ知っていなければなりません。時期を特定してから探すことが重要です。
※写真は1969年、日邦社高原印刷前でのラジオ体操。