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周年記念誌のつくり方21 著作物の利用

周年記念誌のつくり方21 著作物の利用

課題を与えられ、調べ物をする。調べると、今まで知らなかったことが少しわかるようになる。わかると興味が増す。「課題が与えられる」または「自分で問いを持つ」。人生を豊かにするポイントのひとつはここにあるな。自分で自分に与える「問い」は想定内のものだが、誰かから与えられる「課題」には意表を突いたものが多い。与えられることも重要だと思った。

著作物の利用

調べても調べてもよくわからないもののひとつに「著作権」があります。
 周年記念誌を制作する中で、昔の写真から最近撮られたものまで、大量の紙焼き写真またはデジタル写真が集められるはずです。それらの写真は紛れもなく著作物。勝手に使ってよいものかどうか。大いに頭を悩ませるのが写真の著作権の取り扱いでしょう。
 まず最初に調べるべきことは、著作物が保護期間内にあるかどうか。
 写真の著作物の保護期間は、旧著作権法(1899年)で発行後10年と規定され、その後、数度にわたって期間が延長されました。現在の著作権法では、著作権保護期間が「著作者の死後70年」となっています。
 ややこしいのは、1956年12月31日までに公開された写真の著作権が1966年12月31日までに消滅しているという点。著作権審議会は、いったん消滅した著作権は復活できないとしているため、1956年までの写真は、著作者が存命であってもパブリックドメイン(著作権が発生していない、または消滅した状態)とされています。これは著作者にとっては不満が残るところですが、利用する側にとっては助かります。1956年以前の写真については基本的に自由に使うことができるのです。
 1957年以降の写真については著作者(または著作権者)の了解が必要ということになります。著作権を持っている人が誰なのか。個人なのか、組織なのか。たとえば、会社員が勤務時間中に撮った写真であれば著作権は会社にあると考えられます。その会社の記念誌であれば著作権を気にする必要はありません。休日、個人的に撮った写真はその限りではありません。当然、判断に迷うような写真もたくさん出てきます。
 著作者、撮影(公開)年をすべて特定するのは到底不可能なことでしょう。迷ったら、写真の所有者、関係機関、専門家に相談するのが無難です。
 また、著作者の了解を得て掲載する際には、出典を明示する必要があります。「撮影/○○○○」「写真提供/○○○○」などと表示します。写真以外も同様に表示しましょう。
 周年記念誌の場合、著作者の使用許可を得るのは比較的容易でしょう。多くの場合は無償で掲載許可が得られるはずです。一方、新聞記事の掲載やプロ写真家の著作物には、基本的に料金が発生するものと考えてください。
 ここでは写真の著作権について書きましたが、文章、デザイン、音楽、芸術作品、建築、映画、プログラムなど、さまざまなものが著作権の対象となります。取り扱いにはくれぐれも注意しましょう。

※写真はたぶん1970年代のソーゴー印刷。業務内容は不明。

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