
本を読んでいていつも思うのは、「わかりやすい文体が一番」ということである。中身は込み入っていても構わないが、文章としては可能な限りやさしくあるべきだ。昨日はそのようなわかりやすい本を読んだ。世の中は複雑化している。複雑なことをやさしく伝える能力が書き手には求められる。
第6章 完成とその後
印刷から製本まで
最後の校正作業を終え校了すると、もう後戻りはできません。編纂部の手を離れ、ここからは印刷会社の作業となります。あとは周年記念誌が完成するのを待つだけです。
印刷会社にとっては、ここからが本番。作業工程はやや複雑なので、アウトラインのみ述べることにします。
校了した各ページのデータは、「インデザイン」などDTPソフトを使って制作されています。通常、1枚の印刷用紙には4ページとか8ページ同時に印刷します。冊子類では両面に印刷しますから、倍の8ページ、16ページが1枚の紙に印刷されるようになっています。
これを正しいページ順となるよう、面付けと呼ばれる作業が行われます。そして、面付けされたデータを刷版に出力します。刷版とは印刷機にセットするアルミ製の板のこと。表面に親油性の感光剤が塗ってあり、感光させて現像すると、文字や画像にだけインキが付く。そして、水と油が反発する特性を利用し、インキの乗った画像だけを紙に転写。これがオフセット印刷の原理です。
表紙は本文ページとは別に印刷されます。表紙が本文ページと異なるのは、用紙の種類、厚さの違いだけではありません。表面の耐久性を高めるため、ニス加工やPP加工が施されます。どちらも表面の保護が目的ですが、耐久性の点ではPP加工のほうが優れています。表面にポリプロピレンを貼り付ける加工であるため、キズや汚れに強いのです。
印刷の次は製本の工程に移ります。製本は「折り」「丁合」「綴じ」「断ち」の作業に分かれています。複数のページが1枚に印刷されたものを折り、正しいページ順となるよう束にします(丁合)。これを綴じてから、背表紙以外の3方を断裁して仕上げていきます。
綴じ方にはいくつか種類があります。「無線綴じ」「中綴じ」「平綴じ」「ミシン綴じ」など。よく見かけるのは無線綴じと中綴じでしょう。中綴じは背を針金で綴じたもので、週刊誌やパンフレットなどに見られる製本方法。無線綴じは本文を表紙でくるみ、背表紙部分に接着糊を付けて綴じる方法。周年記念誌では無線綴じが一般的と言えます。
ここでは上製本(ハードカバー)の説明は割愛しました。上製本は高級感と耐久性という点で優れた製本方法。ただし、その分コストと時間ががかかります。
※写真は1970年代のソーゴー印刷。製本はほぼすべて手作業で行われていた。