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周年記念誌のつくり方29 知見の蓄積

周年記念誌のつくり方29 知見の蓄積

9月24日から「周年記念誌のつくり方」というテーマで書き進めてきた。今回が最終回。これにまえがき、あとがき、図版、補足資料を加えて、一冊の小冊子にまとめる予定だ。ブログ記事をまとめての本作りはこれで6回目(たぶん)。次は何をテーマに書こうか……。

知見の蓄積

プロジェクトのスタートから周年記念誌の完成、そして配布や販売まで。ゴールにたどり着くまでには、通常は1~2年、場合によっては3年以上かかることもあるでしょう。
 周年記念誌の編纂には膨大な時間と労力、そして編纂部メンバーのアイデアや創意工夫が欠かせません。
 それだけに、周年記念誌が完成して「よかった」「ホッとした」だけで終わらせるべきではないと考えます。10年後には同様のプロジェクトが立ち上がり、再び周年記念誌の制作に携わることになるかもしれません。10年近く経つと、苦労して覚えたことであっても、ところどころ忘れてしまうものです。集積された知見を次回に活用することができるよう、手順書のような形で記録しておくことが重要です。
 編纂部の組織化、企画、情報・資料収集、執筆・制作、校正、そして完成後にすべきこと。これらをわかりやすい形で文書化しておきましょう。周年記念誌編纂の経験がない人でも理解することができるよう工夫してください。具体的に記録を残すこと。手順を箇条書きにまとめると同時に、写真、場合によっては動画マニュアルも作っておくとよいと思います。
 また、同じ組織が次に周年記念誌を制作する場合、今回使用した写真・図版が再び使われることも想定されます。今回使わなかった写真であっても同様。できるだけ多くの写真をデータ化しておきましょう。これらを年代別、あるはテーマ別にフォルダをつくり、見つけやすくしておくことです。写真にタグやコメントを埋め込んでもよいでしょう。手間はかかりますが、撮影時期、場所、内容等の情報とともに、写真を整理・保管すること。これを怠ると、次の周年記念誌の編纂部が苦労することになります。
 周年記念誌完成後には式典や祝賀会だけではなく、編纂部で慰労会が行われることでしょう。さまざまな苦労話やうまく言ったこと、失敗したことなどが話題に上ると思います。そこで見聞きした本音の話も知見の一部となるはずです。
 自社、所属団体、母校の周年記念誌は、自分の人生の足跡と複雑に重なり合うものです。そこに周年記念誌づくりのおもしろみと奥深さがあります。日常生活、日常業務では味わうことのできない驚き、そして感動。これらを自ら感じ取り、周年記念誌づくりを通じて、多くの人々に伝えていただきたいと思います。

※2023年5月23日、昭和から平成にかけて活躍した印刷機がその役割を終え運び出された。1階工場の風景はずいぶん変わった。

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