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第2講 経営理念(後半)

第2講 経営理念(後半)

おはようございます。
 梅雨っぽい天気が続きますね。この時期、僕の周囲の人は「寒い」と感じる人が多いようです。僕は逆なんですね。湿度が高いと、ほぼ自動的にホットに感じてしまう……。
 そんな中、帯広柏葉高校同窓生がキャリア教育の講師を務める「柏葉塾」が行われました。僕は毎年「経営者とは」というテーマで1クラス受け持っています。今年は「激訳・キャリアデザイン」と「わくらす」を配布。僕の話よりも、この2冊を読んでもらえたら本望です。とにかく、本講座の50分だけではなく、常に自分の人生テーマについて考えてほしい。そう願っています。

創業の精神を受け継ぐ

経営理念にも、そうした願いのようなものが込められています。我が社の理想+信念。経営理念は高らかに、力強く掲げられているものですが、そこには「願い」とか「祈り」といったものが含まれている。僕はそう思っています。
 願い、祈りはいったい誰のものなのか? 静かに考えてみると、それは創業者だったり、すでに引退した古参幹部のものだったりする。それを自分が受け継いでいるということに気づきます。
 なぜそう思うのかというと、自分でも不思議に思うほど、先代の発した言葉が頭の中に浮かんでくるのです。そして、自分でもたまに引用していることに気づく。創業者の願いや祈り。もしかしたら、誤って解釈しているところもあるかもしれませんが、2代目である僕が、それを無意識のうちに受け継いでいるのです。
 たぶん、多くの企業の後継者は、僕と同じような体験をしているのではないかと思います。
 先代から受け継いだのは、土地、建物、設備、資産、負債ばかりではないはず。理念、ビジョンも継ぐこととなる。ですから、良くも悪くも受け継いだ会社の社風や企業文化に戸惑うことになる。それが後継者の宿命といえます。
 先代と異なる価値観、考えを持っていたとしても、願いや祈りはしっかり受け止めなければならない。僕はそんな考えを持っています。
 特に大切にすべきものは「創業の精神」ですね。なぜ起業したのか。ここに願い、祈りの原点がある。
 残念なことに、我が社の場合は創業期の記録が決定的に不足しています。僕が子供の頃に聞いた創業の頃の話が記憶に残っている程度。非常に頼りない「創業の精神」。ですが、DNAは受け継いでいますから、体のどこかには情報が残っているはず。創業の精神を美しい文章に表すことのできる日も、そう遠いことではないでしょう。
 経営理念の背景には、創業の精神が存在します。文言の中にしっかり刻まれていることもあれば、暗示させるような言葉が使われていることもある。我が社の場合は比較的わかりやすい言葉が使われていますね。
 「価値ある情報」という部分。これは創業者が生前に何度も口にしていた言葉から考えました。
「我々の仕事は紙にインキを乗せているだけじゃないんだよ」
 このセリフには実は続きがあるのですが、それは別な機会に詳しく述べることにしましょう。いずれにせよ、もう何10年も前から、おそらく創業期の頃から、創業者は情報の価値、紙媒体の価値について考え続けていた。僕はそう想像しています。

理想に向かっていく道筋を明かにする

経営理念は簡潔な言葉で表現できるのが好ましいわけですが、なかなか思い通りにはいかないものです。どの会社も「湧きだしてくる願い、祈り、理想、信念」をどんな言葉にまとめるのか、苦労しながら明文化しています。まとめ上げたとしても、「まだ十分に表現できていないのではないか?」と思ってしまう。ですから、経営者はほぼ毎日自社の経営理念について考え続けることになる。
 簡潔にまとめるのは困難、というよりほぼ不可能。そう考えて、経営理念だけではなく、理念体系をまとめようと考える経営者も多いはずです。
 我が社の場合は「我が社の価値観」「経営目的」「経営理念」「行動指針」「我が社の使命」という形でまとめ上げています。5つの項目に分けたことで、ようやく「理想+信念」を言葉で表すことができたのではないか? そう考えています。
 しかし、経営理念はこれで完成というものではありません。僕も毎日考え続けていますが、後継者となる人(次期社長だけではありません)は、僕以上に考え続けることになるでしょう。
 それはなぜか?
 経営理念及び理念体系の中には、「経営目的をどのような形で実現させていくのか」という道筋が表現されていなければならないのです。それがあるから、社員は経営理念を自身の意思決定の基準にすることができる。この道筋は時代が変わっても不変なものもあれば、時代とともに変化していくものもある。したがって、経営者は「変わるもの」という前提で、常に理念体系の見直しを試みる必要があるのです。
 もちろん、自社の経営理念はコロコロ変えるようなものではありません。けれども、10年後も同じ経営理念のままでよいのか……と、常に考え続けることが重要です。
 21世紀に入ってからの世の中の変化には驚かされるばかりです。人々の価値観も大きく変化している。自社の理念が未来永劫このままでよいはずはありません。特に、重要なのは「事業の方向性」と「事業領域」。この部分は度々見直すことになるでしょう。
 経営理念というものは「創業の精神」が基点になっていますから、本来は過去志向なものです。ですが、同時に、将来の理想の姿が表現されている。今の時代を生きている僕らがすべきことは、「創業の精神」と「将来の理想の姿」をつなぎ合わせるような言葉を考えること。それが理念体系の中で表現できたなら、本当に価値ある事業活動を行っていくことができるに違いありません。

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