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第4講 幹部の役割(前半)

第4講 幹部の役割(前半)

おはようございます。
 昨日は次世代幹部養成塾の日でした。第18講。多少の日程変更はあったものの、今期はこれまで順調に進んでいます。
 今回のテーマは「職場環境改善」。まず、これまで行ってきた職場環境改善の取り組みをひと通り話していきました。続いて、現状把握と今後の課題。さらに我が社の目指すべき方向性。最後はアンケート用紙への記入。
 実は、昨日の養成塾には、明日行われる中小企業家同友会とかち支部6月例会に必要なデータを集めるという狙いもありました。「声にならない問題を浮き彫りにする」という点で、アンケートは有効な手法といえるかもしれません。

提言能力

幹部の役割はいくつか挙げられると思いますが、その最大のものは「経営に参画すること」でしょう。
 経営に参画しない幹部は、代わりに「目を三角に」することがあるものです。「そんな話、自分は聞いていない!」といって三角にするのです。
 どうしてこういうことが起こるのか? それは簡単なこと。自分、あるいは自分の部署のことしか考えていないときに「目が三角」事件が発生します。つまり、会社全体のことをに無関心だったり、積極的に参加していないというのが最大の理由といえます。
 経営に参画するとはどういうことか? それは自分の得意分野を生かして、社長を補佐するということです。
 資本主義が複雑な形で発展を遂げた今日では、ビジネスの形態も複雑になっています。市場環境も複雑、個々のお客様のマインドも複雑です。社長の持っている情報だけで企業経営を行うのは、非常にリスクが高いことなのです。社長の持っていないアイデアを提供する。それが幹部の大きな役割のひとつといえます。
 幹部に求められるのは、まず第一に提言能力。それも、単なる思いつきではなく、具体的な裏付けや仮説立案能力の伴ったものである必要があります。
 僕の目から見て有能な幹部か、少し劣った幹部かを簡単に見分ける方法があります。たとえば、それはこんな言動となって現れます。
「実は今、このような問題が発生しています。この原因は****です。このまま放置すると、このような結果になることが予想されます。どのように対処しましょうか?」
 こういう相談を持ちかけてくる幹部は有能でしょうか、イマイチでしょうか? 現状を正確に報告するという点では能力が高いかもしれません。しかし、この幹部は問題解決のための道筋を提言していません。現状をもっとも把握している立場にありながら、解決策を示さない。つまり、自分で責任を負うことを回避している人ということになるのです。
 有能な幹部であれば、このように話すはずです。
「起こっている問題の原因は****です。このための解決法としては、A案****、B案****が考えられます。(それぞれメリット、デメリットを述べた上で)私としては****の理由からA案の採用が望ましいと思います」
 自分の考えを述べ、オプションを用意する。こういう幹部ばかりになると、社長は本来の仕事(後述します)に専念できるようになるでしょう。

翻訳能力

次に重要な幹部の役割。それは社長の代弁者となり、翻訳者となることです。
 社長の話はわかりにくい、理解しがたいと思ったことはありませんか? 僕自身はここ数年、できるだけわかりやすく伝えるよう努力しています。けれども、本当に伝えたいことを話すときには、きっとわかりにくくなるはず。
 僕も先代社長の話が理解しにくい、謎めいていると思ったことが度々あります。そうした謎のいくつかは解明できましたが、謎はまだまだ残ったまま。一生かけて謎解きをすることになるのでしょう。社長の話は後継者にとっても難しいもの。当然、社員の中には理解不能となる人が続出するはずです。
 それはどういうことなのか? 僕はこう考えているのです。
 社長の考えていることは、目の前の現実からちょっとかけ離れたところにあることが多い。自社の事業の歴史的整合性であったり、天命についてだったり、不条理な出来事に対する超肯定的な解釈だったり、偶然を必然的に起こす方法だったり……。
 これらを整理しないまま口にするものですから、日々の厳しい現実と向き合っている人にとっては、非常にわかりにくい話になってしまうのです。
 したがって、幹部には「翻訳能力」という高いスキルが求められます。わかりにくい話を翻訳し、要約して部下に伝えること。
 僕はこうした翻訳能力の高い人を何人か知っています。彼らは見事なまでにその能力を発揮し、放っておくと乱れがちになる社員一人ひとりのベクトルを整えています。
 社長のわかりにくい話は、理念、ビジョンに関係することが大部分を占めているはず。これをわかりやすく伝えることによって、共通の目的が明確になり、協働の自発性が高まっていくことになるでしょう。幹部の果たすべき役割は非常に大きいと言わざるを得ません。
 さきほどは「代弁者」と書きましたが、正確には理念の「伝道者」というべきでしょう。社長も自社の理念の伝道者のひとり。ですが、幹部の場合はよりわかりやすい表現の仕方で、社員に理念を伝えていく必要があります。
 高い翻訳能力を生かして伝道者の役割を果たしていくと、どういうことになっていくのでしょう? その人自身が、やがて社長の分身のようになっていくのです。あるいはどんどん経営者的な人間になっていく。経営者としての哲学、価値観、パラダイムを我がものとして取り入れることができるのです。
(続く)

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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