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第5講 社長の役割(前半)

第5講 社長の役割(前半)

おはようございます。
 おもしろい一日でした。もちろん、単におもしろいということではなく、さまざまなことを考えさせられた、という意味です。自社の理念についても改めて考えたし、職場環境についても深く考えることになった。やはり、同業種、異業種の方々との交流はいい刺激となるものです。
 午前中は大阪、奈良、鳥取の同業種の方々が来社。当社の事業展開の話と意見交換。夕方は中小企業家同友会とかち支部6月例会。「社員がやりがいを持って働ける職場環境とは何か」というテーマ。(株)ネクサスの曽根一会長、花久正子常務に続いて、事例報告をさせていただきました。
 当然のことではありますが、当社がうまくいっているという事例ではありません。あるがままを伝えるようにしました。けれども、「美しくまとめてしまう」というフォトグラファー的な弱点が出たかもしれません。職場環境改善という点に限らず、我が社には悩みが多い。幹部とともに本気で改革、改善に取り組まなければなりません。

意識改革を促す

言うまでもなく、会社組織の中では代表取締役(おもに社長)がもっとも重い責任を背負っています。「自社を永続させる」「社会に貢献する」といった責任も重要ですが、ふだんもっとも考えていることは「社員をいかに豊かで幸せな方向へ導いていくか」ということでしょう。
 ですから、この方向に逆行するような出来事が起こると非常につらい気持ちになる。一番つらいのは当事者であるとしても、その次くらいにつらくなる。
 ただ、経営者は幹部以上に、「困っても困らない」というスキルを身につけていますから、外見上は涼しい顔で出来事を眺めたり、対応策を練ることが多い。起こった出来事をよいきっかけとして、本腰を入れて改革に取り組む……。困りつつも、頭の一部分では冷静さを保ち、合理的に対応する。自社を軌道修正したり、強靱な組織に変えていくという使命が、経営者、経営幹部にはあるのです。
 経営者の場合、企業規模にもよりますが、直接現場に指示、命令、介入する機会は少ないでしょう。直接的に関与しすぎると、幹部も社員も主体性を失ってしまいます。指示待ち人間になってしまう。
 経営者第一の役割。それは「意識改革を促す」ことではないかと僕は考えています。社員が成長軌道に乗るためのきっかけを与えるのです。会社の業績は社員全員の能力とコラボレーション力にかかっています。経営の最大テーマは「人材育成」と「社風改善」ということになる。
 経営課題の多くは、そして自社の抱える悩みの相当部分は「人」に関するものではないでしょうか? ものすごく単純に言うと、成長することと仲良くすること。この2つがうまくいっている企業は働きやすい職場環境といって差し支えないのです。
 自分という人間が成長軌道に乗るかどうか。それは「自分を変えたい、もっとよくなりたい」という強烈な欲求が自分の内側から湧いてくるかどうかにかかっています。年齢はほとんど関係ありませんね。僕の場合は40歳を過ぎてから、急に湧きだしてきました。たぶん、60歳でも70歳でも気づくことで自分を変えることができるでしょう。
 何がきっかけになるのかはわかりません。これがわかれば偉大な指導者、経営者になるのでしょう。僕の場合はさっぱりわかりませんから、とにかく回数と量にこだわっています。毎日ブログを書くのも、社内報も、年頭の長いレポートも、スロウの記事に紛れ込ませているメッセージも、「何かのきっかけになれば」という思いで書いています。もちろん、月2回の次世代幹部養成塾もきっかけづくりの場。
 上司が部下を変えることはほぼできないと考えるべきでしょう。自分を変えられるのは自分だけ。ただ、意識改革を促すための場づくりはできるのではないか。そう考えています。

美の追求

経営者の2つ目の役割は「美の追求」です。そう言い切ってよいのでしょうか? 異論はあると思いますが、僕と同じような考え方の経営者はきっと多いに違いありません。特に、地域企業の中に我が社と似たような価値観を見つけることがあります。「美しい会社をつくりたい」という意識が会社全体、とりわけ経営者から伝わってくる……。
 ここでいう「美」とは、存在の美しさ、立ち居振る舞いの美しさ、生き様の美しさといった意味合いです。
 美しい会社には美しい創業のストーリーがあり、美しい歴史があり、美しい伝統やエピソードで散りばめられています。誕生してから今日まで、一貫して美しいのです。
 もちろん、100%とはいかず、美しくない事件や出来事も長い社歴の中にはいくつもあるでしょう。それはある程度やむを得ないこと。けれども、経営者はひるむことなく、一貫して美を追い求めなければなりません。その志を捨ててしまっては、次世代の我が社の人たちに申し訳が立たないと思うのです。
 人はどのようなときに美を感じるか? 多少強引な解釈も加わりますが、僕は「善なる価値観に基づく生命力」を感じたときに、美しいと感じるのではないかと思っています。
 たとえば、植物に対しては多くの人が美しさを感じます。春、芽が出てきたときにも美を感じるし、花が咲き誇るときにも、花びらが散っていくときにも奥ゆかしい美を感じ取ることができる。それぞれの段階に美がある。それは生命力を感じるからに他なりません。
 植物を「人」に置き換えても、同じことが言えるのではないかと思います。人生の春夏秋冬、それぞれに美しさがある。善なる価値観を持ちながら、高い志を持って懸命に生きている人に対して、人は「人生の美」を感じるのではないでしょうか?
 会社も同様。善なる価値観に基づいて、ある目的に向かってエネルギッシュに事業活動を行っていったとき、美しい企業と感じるのではないか?
 僕はソーゴー印刷の中からある種の美を見いだしています。これを確固たる美しさ、誰もが認める美しさに進化させていきたいと思っています。そのための道筋、ストーリーを考えるのが社長の重要な役割であるといえるでしょう。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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