第9講 世の中の動き 3

第9講 世の中の動き 3

おはようございます。
 豊富、猿払を取材の後、帯広に戻ってきました。道北はおおむね晴れていたのですが、十勝は雨。心配です。今回の大雨による災害。特に西日本は大変なことになっています。ここ数年(10数年?)、異常気象が常態化している。もしかすると、これから人々は住む場所も含め、暮らし方、仕事の仕方を大幅に変えていく必要があるのかもしれません。
 世の中の動きを考える際には、気候や自然環境の動きも併せて考えるべきですね。

「力の時代」のバリエーション

昨日は「力の時代」について書きました。今も野蛮な時代は続いていますが、先進国を中心に見え方はずいぶん違ってきています。
 その変化は17世紀の科学革命と18世紀末から始まった産業革命がきっかけでしょう。これにより、人々の価値観が「力」から「論理」へと移行していった。科学革命以降は「何が正しくて、なにが間違っているのか」が重視される時代となったのです。論理的正当性(本当は不当なのですが)と旧来の「力」が結びついて、西洋列強諸国が世界を席巻していきます。
 資本主義によって貧富の格差が拡大していくと、共産主義思想が生まれるようになりました。資本主義と共産主義の間には、どちらが「善」なのかという対立が起こります。資本主義は「富を追求する自由」を善と考え、共産主義は「平等であること」を善と考えた。そして、いずれも自分が善であり、反対の考えは悪だと思っているわけです。こうした善悪の対立は大昔からありましたが、それが地球規模になったのは、おそらく資本主義対共産主義の対立からでしょう。
 それと並んで、民主主義対帝国主義、キリスト教(またはユダヤ教)対イスラム教、先進国対新興国(または発展途上国)といった形で対立は今日まで続いています。
 結局のところ、21世紀に入った今も、人類は平和を手にしていないという状況が続いています。民主主義も「力の時代」のバリエーションのひとつに過ぎないと考えるべきでしょう。
 ただ、ここに来て少しずつ変化の兆候が見えるようになってきました。
 その前に、これまでの話を整理してみましょう。

600万年前~1万年前 原始共産制
 1万年前~ 力の時代
 17世紀~ 論理の時代
 19世紀~ 善悪対立の時代

農耕・牧畜生活が始まってから今日まで、形を変えながら「力の時代」は続いています。

「力」から「美」へ

人生を振り返ってみると、絶体絶命のピンチに出合ったおかげで自分の考え方、行動の仕方が変わり、その後、よい方向へ向かっていった……という経験が何度かあるものです。人類にも、疫病が流行ったために医学が進歩したとか、災害が頻発したため土木技術が発達したといった歴史がある。
 20世紀から今日にかけては、地球環境が急速に悪化していった時代といえるでしょう。この急激な動きを食い止めることができるのかどうか、僕には何ともわかりません。けれども、多くの人が「変えなければならない」と考えるようになってきています。
 美しい景観や豊かな自然環境が失われるようになって、世界の人々は「美」という価値観を重視するようになってきています。「強いかどうか」「正しいかどうか」「善いことかどうか」という価値観に続いて、「美しいかどうか」が物事の判断基準として上位にランクインするようになったのです。企業の経済活動においても、次第に「美」をキーワードとして扱うようになってきました。
 物質的な豊かさを追い求めるよりも、心豊かな人生を送りたい。儲け第一主義ではなく、事業活動を通じて社会貢献したい。コストパフォーマンスではなく、理念的に共感できる会社の商品を購入したい……。
 これらには「美」という価値観が根底に横たわっています。美しい人生とは何なのか? 美しい企業経営とは何なのか? 世界中の人々の価値観が「美」という方向へ向かっていくと、必然的に人類は対立を乗り越えることが可能となるでしょう。なぜなら、対立(その極限は戦争)の対極にあるのが「美」であるからです。
 「美しいかどうか」という価値観が重視されるようになったのは、おそらくバブル崩壊後からではないかと思います。そして、その方向性がほぼ決定的になったのが2011年の東日本大震災。多くの日本人が「精神的豊かさとは何か」について考えるようになっていきました。
 これは日本人ばかりではないでしょう。異常気象がもたらす災害。これが地球規模で起こっています。また、資本主義が健全なレベルを超え、強欲な資本主義へと変貌していき、異常なマネーゲームの様相を呈している。著しくバランスを欠いた世界の中で、「本来のあるべき姿を取り戻したい」という欲求が人々の間に芽生えているのではないか、と僕は捉えています。
 長期的に見ると、人類は好ましい方向へ向かっていくのではないかと思います。けれども、まだ「美の時代」には至っていません。グローバリズムがいびつな形で進んでしまっていて、今は「美」と「対立」が混在しているという、矛盾に満ちた時代にあるのです。
 今は次の時代への大きな変わり目。それも一歩手前という状況にあるのではないでしょうか?

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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