第9講 世の中の動き 5

第9講 世の中の動き 5

幌延町/2018.7.6

おはようございます。
 昨日は物事が一歩前に進んだ日でした。効率性はさておき、一つひとつ進めるほうが重要なこともある。夕方は中小企業家同友会とかち支部幹事会。会議に参加すると、重要なことがいくつもあることに改めて気づきました。
 第9講がずいぶん長くなりました。なんと言っても600万年前からの動き。本当はもっと長大なものとなるわけですが、「世の中の動き」は今日で終わりにします。次世代幹部の方々には、大きな流れだけつかんでもらえればOKです。

大競争時代へ

インターネットは、言葉、文字、印刷に続く第4次情報革命と位置づけられています。第3次情報革命だった15世紀の印刷の場合は、「50年かかってヨーロッパ中に活版印刷が普及した」というスピード感でした。インターネットはどうか? 感覚的には「数年のうちに普及していた」といえるのではないでしょうか。1990年代のうちには普及が完了し、「2000年問題」で騒いでいたという記憶が残っています。
 インターネット社会がグローバル化を強力に押し進めることになりました。この結果、世界的な分業体制ができていくと同時に、大競争時代を迎えることとなりました。
 歴史の中で今の時代がどのように呼ばれることになるのかわかりませんが、僕は500年前の「大航海時代」と対比させて「大競争時代」と呼んでいます。
 大競争時代の特徴は、新興国の台頭、寡占化、格差社会、マネーゲームといったものが挙げられます。誰にでも世界中の情報を入手することができる……。これがインターネットのよいところではあるのですが、残念ながら情報の面で世界の人々が平等、対等になったとはいえません。一部の企業に情報が集積されていき、さらなる寡占化(独占化?)へ向かっています。
 これは長い目で見ると、激変期の中の過渡的な動きと考えてよいのではないか? この点、僕は断言するまでの確証はありません。けれども、寡占化、格差社会、マネーゲームといったものとは真逆な動きが、大都市から離れた場所で起こっている。
 この感覚は東京や札幌に住んでいる人にはわかりにくいのではないかと思います。だから、大ニュースになることも少ない。我が社の雑誌「スロウ」では毎号のようにこの動きを記事にしています。伝わる人には伝わりますが、影響力はまだまだ限定的ですね。
 今、地方で起こっている動きのひとつは、「ヨコ型社会への変化」でしょう。
 新聞(全国紙)等でときどき見かけるのは、「日本の産業構造が変化している」といった話。日本の特徴であるピラミッド型の「系列」は崩壊しつつあります。グローバル化によって企業の物資調達が流動的になったことと、イノベーションが急速に進んだため従来の系列では調達できないものが増えたという理由もあります。
 その結果、これまで下請け、孫請けだった企業は苦境に立たされることになった。その中から、親会社に依存しない自立型の中小企業が生まれ始めているんですね。親会社向けの部品製造ではなく、エンドユーザー向けの製品に切り替えた会社、オンリーワン商品を開発し取引先を増やした会社、ネット通販にシフトしていった会社……。手法はさまざまですが、共通項はタテ型からヨコ型に変化したこと。業態変革に成功した中小企業は、大企業にはない魅力を獲得しています。

やがてはヨコ型社会へ

我が社に関連する話として、情報発信がヨコ型に変化している点に注目すべきでしょう。
 僕個人の捉え方に過ぎませんが、たぶんこれは紙媒体から始まりました。バブル崩壊後、出版業界はずっと右肩下がりの状態が続いています。その中で、一部の編集者、デザイナー、フォトグラファーらは、UIターンという道を選んだことでしょう。2000年前後を境に、地方都市の紙媒体がずいぶん洗練されたものになったという印象があります。
 もっとも顕著なのはフリーペーパーやフリーマガジン。部数が落ちていく雑誌とは反対に、1990年代から大きく伸びていき、2000年代半ばにピークを迎えます。
 つまり、紙媒体においては中央集権的だった情報発信が地域主権的になっているということ。東京の出版社が発行する北海道の観光情報と道内出版社が発行する北海道の観光情報。どちらを手にするか? 20年前なら前者でしたが、今は後者に移行しつつあるのです。
 紙媒体以上にヨコ型へ向かっているのがインターネットです。もともと、ヨコ型のメディアですから当然ですね。これにSNSやスマホの普及が拍車をかけることとなりました。
 マスメディアがなくなることはないものの、マスメディアと同等、あるいはそれ以上に大きな影響を及ぼすものとしてパーソナルメディアが台頭してきました。これからの世の中はマスメディア、地域メディア、パーソナルメディアの3タイプが併存することになるでしょう。そういえば、マスメディアのパーソナルメディア化も近年目立ちますね。
 ここ数年「つながり」という言葉をよく耳にすると思います。タテのつながりもあるでしょうが、つながるとき、たいていの人はヨコをイメージするはず。ただ、組織が巨大化するとつながりにくいことが多い。一番つながりやすいのは個人であり、次は中小企業ということになります。地域でいえば、地方の市町村のほうが、大都市よりもつながりやすい。
 僕のイメージでは、地方都市から日本が変わっていくに違いない。ここ十勝も世の中を変えていく先駆けとなる場所のひとつかもしれないと思っています。世界はまだまだ「力の時代」の中にありますが、地域社会を観察すると、個人や中小企業がヨコにつながっていく動きが活発化していることに気づくはずです。
 地域が自立し、相互依存社会へとなったとき、グローバリズムは好ましい形で地域の人々から受け入れられることになるでしょう。
 今日の大競争時代の中には機会と脅威の両方があり、どちらかというと脅威に感じることのほうが多いものです。幹部は先見力を持って、機会と脅威を見分けながら、ビジネスプランを立てていかねばなりません。そのためには時代の大きな流れ(潮流)を把握することが大切です。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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