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第10講 アイデンティティ

第10講 アイデンティティ

おはようございます。
 いくつか気に掛かっていた案件が前に進んだ日でした。スピードの高低はあっても、着実に進めていくことが重要ですね。夕方、5人乗り合わせて本別のM社へ。経営指針研究会Aグループ第5講。2名の研究生から経営理念検討シートの発表がありました。どちらもおもしろい。深く考えた跡を読み取ることができる。ディスカッションも自然と盛り上がる。9時半、研究会終了。さらにM社工場設備の見学。ふだんの僕ならもう眠っている時間帯なのに工場見学している……。経営指針委員会、研究会ともに向上心旺盛な人たちの集まりだ。改めてそう感じました。

自分史を作る

「世の中の動き」の次は、自分個人に目を向けていくことにしましょう。自分は本当のところ、何をどうしたいのか? どうあるべきなのか? どのような使命を持っているのか? このあたりを解明していくにはどのようにしたらよいのか、考えてみたいと思います。ただし、これから述べる方法が正しいとは限りません。あくまでも僕の体験に基づくもの。数多くあるうちの手法のひとつに過ぎません。
 世の中の動きを知るには、歴史を知ることが重要なポイントでした。同じように、自分を知るには「自分史を知ること」が鍵を握ることになります。方法はいたって簡単。自分史年表を作ることです。
 方法は簡単なのに、実際に作っているという人は非常に少ない。それはなぜかというと、「自分史を作ることに深い意味を見いだしていない」からに他なりません。これが自分のアイデンティティを発見する重要なプロセスであると気づいていないからでしょう。必然性を感じなければ作る気にならない。あるいは、作ったとしても形ばかりのものとなってしまいます。第1期次世代幹部養成塾(2009~2010年)では自分史作成を課題のひとつにしました。けれども、これは本来、自らの意思で作成すべきものですね。
 自分史を作るには、自分史年表を活用します。「激訳・キャリアデザイン」や「激訳・自分史作成講座」の中でも説明されています。我が社の人であれば詳しい話は不要でしょう。誕生から今日まで、「自分史(起こった出来事)」「そのとき感じたこと・当時の価値観」「社会の出来事」を記入していきます。作っているうちに項目がどんどん増えていきますから、エクセルを使ってまとめていくのがよいでしょう。
 実際に作る人が少ない理由は、実はここにあります。本気で作成すると、やけに大変な作業となるのです。思い出すのに時間がかかったり、曖昧な記憶を検証するのに苦労する。一気に完成させようと考える必要はありません。年に1回見直していき、数年後には詳細な自分史ができあがっているという状態を目指せばよいのではないかと思います。僕の自分史もまだまだ未完成です。
 不完全ながらも自分史ができあがると、いくつかの発見があるのではないかと思います。自分は何を大切にしてきたのか? あるいは今の自分に大きな影響を及ぼすことになった体験などが浮かび上がってきます。自分史を眺めているうちに、「自分とはこういう人間ではないか」と思えてくる……。
 アイデンティティは「自我同一性」「自己同一性」と訳されますが、これでは何のことだかよくわかりませんね。ここでは「自分は何者なのかという問いに対する自分なりの解答」をアイデンティティの定義にしたいと思います。

自分は何者なのか?

自分とは何者なのか?  誰かからそのように質問されて、明確に返答できるでしょうか? シンプルな問いではありますが、それゆえに返答に窮するかもしれません。
 自分のアイデンティティを簡潔な言葉でまとめてみる。これは幹部としてだけではなく、ひとりの社会人としてチャレンジすべき活動ではないかと僕は考えています。
 「私は○○○○である!」と言い切ることのできるもの。この「○○○○」に入る言葉が見つかったら、どれほど自信につながることでしょう? もちろん「○○○○」は数文字とは限りません。1文字であってもよいし、数10文字の人もいるでしょう。できれば、頭の中ですぐに唱えることのできるような文字数がおすすめです。アイデンティティは人生の中で何度も自分を救ってくれるもの。とっさのときにパッと出てくる言葉のほうが使い勝手がよいのです。
 自分のアイデンティティを簡潔な言葉にまとめることができると、どのような変化が起こってくるのか? 僕の場合は「自信」につながりました。自信満々といった意味での自信ではなく、自己信頼といった意味合いです。アイデンティティは「他の誰にもない自分ならではのもの」であり、「自分が持って生まれた本質的な価値」でもあります。自分の価値を自覚することができれば、自分の人生に意味を見いだすことができるようになるものです。
 自分にはそんな大層なものはない……。自分はこれまで誇れるような人生を歩んできたわけではない……。そう思う人もいるかもしれません。しかし、自分のこれからの人生を意義深いものとしていくためのヒントが、自分史の中に隠れています。過去に起こったさまざまな出来事と過去に行った無数の意思決定が今の自分を形成しているわけですから、ヒントは自分史の中にあると考えてよいでしょう。
 もしかすると、自分史には記入しなかったささいな出来事が今の自分に大きな影響を及ぼしているのかもしれません。自分史年表は教科書に載っている歴史年表とは異なります。大きな出来事より、案外ささいな出来事のほうが自分にとって重要な意味を持つことがあります。したがって、できる限り詳細な年表を作成することがアイデンティティを見いだす上では重要となってくるのです。
 年表を作成してもピッタリの言葉が見つからない人は、毎日「自分は何者なのか?」と自問することです。問いを持ち、自問しながら、目の前の仕事に打ち込む。それによってアイデンティティを見つける人も多いのではないかと思います。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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