
おはようございます。
苫小牧に来ています。昨日は休養と移動。今日の取材のために体力を温存。久しぶりに8時間くらい眠りました。ただ、眠りすぎると調子が出ない。やはり6時間睡眠が自分には合っているようです。
自分に合った生活スタイルがあるように、自分に合った会社の社風、企業文化があるものです。今朝は社風について考えてみようと思います。
その会社独特の雰囲気
先日、ある若手の人から「社風って何ですか?」と質問されました。就職活動の際には必ず社風を研究するもの、と僕は思っていました。意外な感じがします。もしかしたら、知っているのにあえて質問したのかな? 答えるのは簡単だが、深く考えさせられる質問でもあります。
僕の考える社風とは、「その会社に入った瞬間に感じる独特の雰囲気」のこと。だから、企業文化とはちょっと意味合いが異なります。直感的に感じるのが社風、理性的に説明できるものが企業文化。そんな違いでしょうか。
単純に「会社に流れている風」だと考えてもよいと思います。風が淀んでいる会社もあれば、さわやかな風が吹き抜けている会社もある。全体的にはさわやかだが、一部奥まった部屋だけ風通しが悪い……といった会社もあります。
社風は創業期から今日まで、長い年月をかけて形成されたもの。社歴の浅い会社であれば、比較的変えやすいでしょう。我が社の場合、創業から60年以上経過していますから、そう簡単に変えられるものではありません。
2002年、社内に社風改善委員会を設け、社風の変革を試みました。社風改善委員会があったのは数年間。その後はコア・コンピタンス委員会となり、今に至っています。ですから、コア・コンピタンス委員会の中には社風改善活動が盛り込まれていることに気づくでしょう。
明るいかどうか、元気かどうか。大切なことではありますが、僕はそれだけで社風の良し悪しを見ることはありません。世の中には、明るいけれど健全とはいえない社風もある。逆に、全体の雰囲気は暗いけれども、誠実さのようなものを感じさせる会社も存在します。
社員にとっても、明るく元気な会社がよいとは限りません。明るすぎて居心地が悪い。そう感じる人もいるかもしれません。我が社の場合、2002年から数年間のうちに、表面上は社風が明るく元気なものに変わっていきました。このため居心地が悪く感じた人もいたのではないかと思います。「電話しているときくらい静かにして!」といった会話がときどき交わされていたのを覚えています。
今「表面上は」と書きましたが、ここが実は社風考察する上で重要なポイントなのです。表面的に変えていくのは比較的に簡単。朝礼で声出しや笑顔の体操をする。これだけでも、ずいぶん明るく元気なものとなる。お客様が来社したら大きな声で「いらっしゃいませ」と言う。これをルール化し、幹部が率先して声を上げれば、みんな同じ行動をするようになる。
しかし、それは心から従っているというわけではありません。幹部やリーダーが暗くなると、部下も暗い雰囲気を醸し出すようになる。そこには心から明るくなりきることのできない「水面下の社風」といったものが存在している。僕はそのように考えています。
社風を変えるには
結局のところ、社風は人為的には変えられない(または変えにくい)ものなのではないか? 社風改善委員会ができて数年たった頃、そんなふうに感じていました。しかし、現実には2002年から数年間のうちに、我が社の社風が大きく変わっていくのを実感していました。いっぺんに変えることはできないが、少しずつなら変えられる。そして、自分の思い通りには変えられないものの、会社のどこかが必ずよくなっていく。
それは「よりよい会社に変えていこう」と経営者、幹部、リーダーが努力し続けているからに他なりません。油断して力を抜いてしまうと、「水面下の社風」が顔を出すようになってくるのです。
成長したい、立派な社会人になりたい、世の中に貢献したい……。ほとんどの人はそう考えている。我が社の社員は誰ひとり例外なく、成長意欲を持っている人たちです。しかし、一方では「今のままのほうが楽でよい」と考えてしまう自分もいます。僕自身、そんな考えにとらわれることがあります。「変わりたい自分」と「変わりたくない自分」が共存している。それが人間の自然な姿といえるでしょう。
社風というものは、思い通りにはならないもの。けれども、好ましい社風に変えていきたいという意志を経営者、幹部が共有し、若手リーダーと一緒になって働きかけを続けていけば、5年、10年で目に見えて変わっていくものではないかと思います。水面下には困った社風があることを認めながら、よい部分を徹底して伸ばしていく。好ましい社風が浸透していけば、水面下にある淀んだ社風は目立たなくなる……。
では、好ましい社風とは何なのか? それはほとんどの人が感じていることです。風通しのよい社風。やはり「風」なんですね。
我が社の社屋は旧社屋を取り囲むように、コの字型に新社屋が建っています。このため、窓を開けてもどうも風が通りにくい。僕は実際の風と社風との間に何か関係があるような気がしています。事実、しゅん編集部は風通しのよい部屋に引っ越したら、編集部内の風通しもよくなった。今はサーキュレーターを使うなどしていますが、もっと空気の質を高める必要がありそうです。
企業文化も社風に大きな影響を及ぼします。「風」という曖昧なものではなく、目に見える活動や制度づくりによって新たな文化をつくり出す。部署の新設(または統廃合)、新事業・新商品、若手の抜擢、イベントの開催……。これらはその気になれば実行できること。企業文化をよりよいものに変えていけば、社風もより好ましいものになっていくわけです。
社風はつかみどころのないもののように思えますが、必要なのは社風改善目標ではないでしょうか? これを経営ビジョンの中に盛り込むこと。イメージの共有を図ることができれば、具体的行動(企業文化づくり)につながっていくに違いありません。
(続く)