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第13講 社風考察(後半)

第13講 社風考察(後半)

洞爺湖町/2018.7.16

おはようございます。
 洞爺湖付近の天気予報は曇りでしたが、よく晴れてくれました。気温も上がり、夏らしい天候に。午前中は「ゆったり歩き」の取材。こんな場所があったことを初めて知りました。午後からはプレ取材……というよりも休日的活動。両者の境界はほとんどありません。ボーダーレスであることを楽しいと感じるかどうか。それによって、この仕事に対する適性を自己診断することができる。ONの中にOFFがあり、OFFの中にONがある。それが雑誌の仕事。この事実は働き方改革をいくら進めても変えようがありません。
 さて、社風考察の後半は、社風と個人との関係について考えてみたいと思います。

人は何に従って行動するのか?

ほとんどの会社員は「会社のルール」や「上司の指示・命令」に従って行動している……。そう考えている人が多いのではないかと思います。
 実際のところはどうでしょう? そうではないことも多いのではないでしょうか。表面上はルールや指示・命令に従っていても、実際にはその反対の行動をしているという人もいます。これは会社として、経営者として困った現象です。けれども、実際にこのようなことが起こり得る。我が社にもそうした事例がいくつもあるのではないかと思います。
 本当のところ、人は何に従うのか? 突き詰めて考えていくと、「社風に従っている」という結論にたどり着きます。
 勤勉で仕事熱心なタイプの人であっても、仕事に不熱心な社風の中で働き続けるといつの間にか影響を受けてしまい、上司や顧客から仕事を与えられても、「ギリギリまでやらない」という仕事スタイルになってしまうことがあります。
 どんな環境にあっても自分を律することのできる人もいれば、容易に影響を受けてしまう人もいる。好ましくない社風がはびこってしまうと、能力、将来性のある人がダメになってしまうかもしれません。
 もちろん、その逆もあります。やる気があって、みんなが楽しそうに働いている会社。そんな社風の中に身を置くと、消極的だったり不真面目なタイプの人でも仕事熱心になる可能性があります。この場合は、影響を受けやすいタイプのほうが好ましい。
 僕の見るところ、多くの人は真面目で誠実です。しかし、職場全体が醸し出す社風となると話は別。先頭を走る車がちょっとブレーキを踏んだことで渋滞が発生する。それと同じようなメカニズムで、チャレンジすることに後ろ向きな雰囲気ができたり、消極的な意思決定をする人が増えてしまったりする。これは先頭車両に問題があるのではなく、メカニズムの問題といえるでしょう。
 自分の勤めている会社の社風が自分にはどうしても合わない。そう感じたときに人は辞職を考えるようになります。社風が変化すると、一時的に離職率が高まることがあります。たとえば、「勉強熱心な社風」になると、「のんびり仕事をしてほどほどの給料がもらえればいい」と考える人にとっては、居心地の悪い会社に感じるようになっていく。「以前は楽しくていい会社だったのに」と不満を言うようになるんですね。
 社風が変わるとはそういうことです。ある人にとっては喜ばしい変化ですが、別なある人にとっては都合の悪い変化となる。万人にとって望ましい社風というものは存在しません。
 社風とは一筋縄ではいかないもの。表の社風と水面下の社風がせめぎ合っている。僕はそのように捉えています。

会社の成長段階と社風の関係

会社には成長カーブがあります。創業期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分かれている。創業期の会社には、なりふり構わず成果を作り出すことが求められる。みな若く、やる気に満ちている。そうでなければ成長期にたどり着く前に会社は消えてしまうでしょう。
 成長期には会社がどんどん発展していきますから、「ハードだが仕事はおもしろい」と感じる人が増えていきます。創業期同様、やる気のある社風が形成される。ただ、エネルギーが高いため、一部には反発する人も出てきやすい。トラブルが発生しやすい段階でもあります。
 ほとんどの会社は、永遠に右肩上がりということにはなりません。どこかで成熟期がやってきます。成熟期になると、努力してもそれに見合った成果が得られないことが増えていく。その結果、「このままでいい」「ほどほどにしよう」という空気が広がっていく。成熟期には社風が淀みやすい。
 いったん淀んでしまった社風をどのように変えていくか? 経営者と心ある幹部は社風変革に心血を注いでいかねばなりません。このまま何もせずにいると、必然的に成熟期から衰退期へ向かっていくことになります。我が社が2000年頃に直面していた問題でもありました。
 ここで注目したいのは、個人の能力、性格、やる気とはさほど関係がないという点です。成熟期の会社で「ほどほどでいい」と考えている人も、やる気がないわけではない。社風に影響されてそうなっているという人が多い。
 僕はどんな人にも成長意欲があり、「人の役に立ちたい」と誰もが思っているはずだと信じています。新入社員から経営者まで、誰ひとり例外なく求めているもの。それは自己成長感と自己重要感といえるでしょう。
 人間として誰もが持っているはずの良質な部分を引き出すことができるかどうか? それがよい社風かどうかの分かれ目ではないかと思います。
 企業の成長段階によって、経営環境や時代背景によって、求められる社風は異なったものとなるでしょう。けれども、基本は「人を育てる(人が育つ)社風」「その人の豊かさや幸せにつながる社風」であるはずです。
 社風は人為的には変えられない、または変えにくいものです。それでも、社風によりよい変化がもたらされるよう、経営者と幹部は一丸となって社風改革に取り組んでいかねばなりません。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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