
おはようございます。
昨日は社内報の原稿作成。書きたいことはハッキリしている。こういう場合はスイスイ書くことができる。書く技術があるかどうかよりも、書くべき中身があるかどうか。ここが最大のポイントですね。ただ、他にもすべきことがいくつかあって、完成には至らず一日の業務を終了。
さて、新版・次世代幹部養成塾は、「社風考察」まで進みました。この後をどのように続けようか? 9年前とは講義の順番を変えています。社風は人間関係によって形成されるもの。やはり、「自分を知る」ことが大切ですね。というわけで、話はTAへ進めていくことにします。
自己成長を妨げるもの
人は皆素晴らしい可能性を持って生まれてきます。そして、みんな一人ひとり驚くほど豊かな才能・個性を持っています。自分の得意分野において日本一、世界一になれるかもしれないチャンスを秘めているのです。
ところがどうでしょう? みんな等しく自分の才能を伸ばしているか、豊かさを手にしているか、幸せを感じているか……。日本一かどうかは別として、そうした豊かさや充実感を手にしている人と手に入れていない人の両方がいるというのが現実でしょう。
こんな素晴らしい才能を持っているのに、どうしてそれを伸ばそうとしないのか? 我が社にもそう感じてしまう人が何人か見受けられます。才能が顔を出そうとしているのに、本人はまだ気づいていない。無自覚な人、あるいは気づいているのに知らんぷりをする人もいます。そして、せっかく伸びていこうとする芽に対して水をあげることもなく、枯れていくままに放置してしまう……。
そんなもったいない人生を歩んでいる人も少なくありません(我が社に多いという意味ではありません、念のため)。言い訳や不平不満を言ったり、ぼやいたり、消極的発言の多い人。こうした人はちょっと不本意な人生を歩んでいるタイプといえるでしょう。
その逆に、自信に満ちた人、いつも前向きで楽しそうな人、自分を成長させるのに熱心な人、まわりの人や組織の成長に貢献している人も大勢います。両者の違いはいったいどこにあるのでしょう?
生まれながら持っている才能に大差はないのに、まったく違った方向へ人生は進んでいってしまうものです。ある人は幸せになる方向へ、ある人は不幸になる方向へ……。10年、20年と年月を重ねるごとに天と地ほどの差がついてしまう。自分では気づかないうちにそうなるのです。無自覚に生きるというのは恐ろしいことです。
無限の可能性があるのに、なぜ自分の思い通りの人生にならないのか? それは頭が悪いとか、人間的に欠陥があるということではありません。自分の可能性を妨げている「何か」があるのです。
本当はできるはずなのに、いざというときに実力を発揮できない。あるいは、楽しいはずなのに楽しいという感情が湧いてこない。そして、自分の思いとは正反対の行動をとってしまう……。そんな経験はないでしょうか?
自分の心を縛り付けたり、自分の成長を阻んでいる要因は、おもに子供の頃につくられています。子供の頃に擦り込まれた「否定的観念」、あるいは「抑圧された感情」。これが自己実現を妨げている要因です。
過去の自分に対する解釈を改める。これまでとは違った行動、習慣を身につける。自分の中に潜むマイナス感情や否定的観念を取り除くには、こうしたプロセスが不可欠です。
ほとんどの人は何らかの形で否定的観念や抑圧された感情を持っています。それを未解決なまま放置すべきではありません。年をとってからでも不可能ではありませんが、できれば35歳くらいまでに行ったほうがよいでしょう。いったん慣れてしまったパターンを改めるには、やはり相当なエネルギー量を必要とします。本腰を入れて、過去の自分と対峙することが重要ではないかと僕は考えています。
6つの自我状態
今日の本題であるTA(Transactional Analysis)は、日本では「交流分析」と訳されています。トランザクショナルは社会的相互関係、アナリシスは分析という意味。1950年代、アメリカのエリック・バーン博士らによってまとめられた臨床心理学の分析システムです。
TAの目的は次の3つに集約されます。
1.自分の持つ本来の価値に気づく
2.自己分析を行い、自分はどんな人間なのかを知る
3.自分の成長を妨げている要因を取り除き、自律的人生を生きる
TAにはさまざまな分析があります。本稿でそのすべてを語るのは不可能。本格的に学びたい人はTAを扱ったセミナーを受講するか、詳しく解説された書籍を読むようにしてください。自分の人生を切り拓くヒントがいくつも隠されていることに気づくことでしょう。
TAでは、まずエゴグラムによって自分の自我状態を分析することから始めていきます。人間関係は「刺激」と「反応」を繰り返しています。自分が刺激を受けたときに、どのような反応をするのか? そのときの状態を自我状態といいます。
人間の自我状態は大きく3つに分かれます。親の自我状態、成人の自我状態、そして子供の自我状態です。それをさらに分類すると次の6つになります。
CP(批判的親) 親が叱ったり躾を行って影響を与えたもの
NP(保護的親) 思いやりや励ましといった母性愛
A(成人) 現実を見て適切な解決法を見いだそうとする自我
FC(自由の子) 天真爛漫で衝動的、本能的な子供の状態
AC(順応の子) 親の躾によって自己抑制的になった自我状態
RC(反抗の子) 親の躾に対し反抗したりふくれたりする自我
6つの自我状態のエネルギーを数値化し、グラフに表したものがエゴグラムです。我が社では、60項目の設問に答え、その合計点数によってエゴグラムを作成しています。
ネットで検索すると、簡単に診断できるサイトもいくつかあるようです。ただ、気をつけるべき点はRCのない5分類のエゴグラムが多いこと。RCは後から加えられた概念。エリック・バーン博士最後の著書「What do you say, after you say hello」(1972年)に掲載されたのが初めて。すでに5分類のエゴグラムが普及た後のことであり、日本ではRCのないエゴグラムのほうが主流となってしまったようです。
しかし、RCは企業経営者、経営幹部にとって欠かすことのできない自我状態といえます。RCを含めて、明日はエゴグラムの読み方について解説していこうと思います。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。