
下川町/2018.7.22
おはようございます。
下川町での取材。天気予報では雨でしたが、奇跡的に晴れました。ときどき日が陰ることはあったものの、素晴らしい青空。きっといいカットが撮れたに違いない。昼からは打ち合わせ。3時頃帰途につく。7時頃帰宅。出張準備。今日は猛暑日が続く東京へ……。
それにしても、第14講「TA」がずっと続いています。幹部にとって必要な知識ですから、もう少しお付き合いください。今日は困ったやりとりがパターン化してしまう「心理的ゲーム」について考えていきます。
心理的ゲーム
これから述べる「ゲーム」は、残念ながら楽しいゲームではありません。ゲームとはもともと「繰り返し行動」という意味。これに「心理的」がつきますから、「心の歪みが原因で起こるパターン化された問題行動」ということになります。
このように書くと、問題行動をとる一部の人だけのもの……と思われるかもしれません。しかし、心理的ゲームはよく見られる現象です。たとえば、「あの人と話すと、いつも言い合いになってしまう」といったことはないでしょうか? あるいは、「話が堂々めぐりしてしまい、もやもやした気持ちだけが残る」「いつも重箱の隅を突くように注意される」「聞いてもいないのに親切すぎるほど教えられ時間を浪費する」……。どの職場でも見られそうな心理的ゲームです。
心理的ゲームが頻発すると人間関係が損なわれると同時に、生産性が大きく低下することにつながります。幹部となる人には重要な仕事が山ほどありますから、心理的ゲームで時間を空費する暇はありません。ゲームの構造を知って、困った状況を打開する。それ以前に、自分がゲームを仕掛ける人間であったなら、自分のパターンを変える必要があります。
まずは、どんなゲームがあるのか例を挙げてみましょう。
1.「はい、でも」(イエスバット)
このゲームはゲームを仕掛ける側が「相談を持ちかける」ことからスタートします。困っていることとを上司や同僚に相談し、相手はアドバイスする。ここまではよくある光景。しかし、ゲームの仕掛け人は「はい、でもそれは……」と言ってアドバイスを受け入れないのです。解決法を提案する→断る→別な提案→断る……。これが延々続くことになります。「はい、でも」ゲームでは、相談を受けた側が「勝手にしろ!」と言ってキレるか、疲労感を感じるという結果に終わります。
仕掛け人は「相手に無力感を味わわせた」という「報酬」を手にします。これがゲームを仕掛ける目的。「立場が上の人の思い通りにはならないぞ」という気持ちが無意識のうちにゲームという歪んだ形で現れるのです。このような場合、相談された人はアドバイスをするのではなく、じっくり相手の話を聴くほうがよいでしょう。
2.世話焼き
聞いていないことまであれこれ親切に教えてあげるというタイプの人。我が社にもいそうなタイプ。単に心優しく親切なタイプの人もいますから、両者の区別はちょっと難しいかもしれません。けれども、執拗なまでに熱心に教えるような人は、ゲームの仕掛け人といえそうです。世話を焼く目的が「会社のため」「後輩が一人前になるため」ではないのです。
真の目的は後輩に対して、「自分のほうが上だと見せつける」こと。相手を支配しようとするコミュニケーションといえます。ゲームの仕掛け人は自分の心の中に隠されている本当の目的に気づいていません。仕掛けられた人は相手の「親切」に、「ありがとう」と応え、適度に距離感を取ることが求められます。
3.仲間割れ
このゲームが蔓延すると社風は破壊的影響を受けるでしょう。仲間割れゲームは、悪口によって他人同士を対立させようという目的で始められます。困ったことにゲーム仕掛け人に悪意やゲームであるという自覚はありません。悪口ではなくとも、複数の他人に矛盾する情報を与えるといった形で仲間割れゲームが進められることもあります。
このゲームで得られるのは「私OK、あなたNOT OK」という心理的ポジションの強化。他人が争う姿を見て、「あなたNOT OK」を証明しようとするのです。人間には弱い部分がありますから、悪意を持っていなくとも、仲間割れゲームに走ってしまう人もいるでしょう。問題行動に走る前に、上司が気づいて悩みを聴くことが大切です。
心理的ゲームのない会社に
心理的ゲームには他にもさまざまなものがあります。そのどれもが、知らず知らずのうちに演じてしまっているもの。本人には自覚がない。それだけに繰り返し行われることになります。いずれも、人格の歪みが表面化した行動パターンですから、本人が気づいてゲームを断ち切らなければなりません。
また、本人はうすうす気がついていても、認めたくない、知られたくない、傷つきたくないといった思いから、問題にフタをしてしまうこともあるでしょう。その結果、人間関係のトラブルが多発したり、社風が損なわれてしまうことがあるものです。
高度成長期、上下関係によって会社が成り立っていた頃であれば、会社規則や上司の鶴の一声で問題が大きくならずに済むことが多かったかもしれません。今の会社組織は上下関係ではなく、フラットなものになりつつあります。誰でも自由に発言できる。それはもちろんよいことではありますが、一方ではわがままな人や横柄な人、問題行動を起こす人を野放しにすることにもつながりかねません。
幹部に求められるのは、心理的ゲームの構造を知り、「仕掛け人にならない」ことと「ゲームが起こるのを防ぐ」「起こったゲームを終わらせる」ことです。ゲームを仕掛けなくとも済むような社風をつくる。これが我が社の目指すところです。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。
