第15講 人材育成 5

第15講 人材育成 5

上ノ国町/2018.7.30

おはようございます。
 東京は北海道とは段違いの暑さでした。午前9時、五反田へ。15分くらいで済みそうな用事でしたが、1時間20分かかりました。どうなることかと思った。不可能と思っても可能になる。無事任務を果たし、11時35分発の便で帯広に戻る。予定通り午後1時50分帰社。慶應義塾大学植田ゼミの学生さんたちが来社していた。当社の事業活動や基本的考え方を伝える。十勝の企業をまわって何を感じたのか? このあたりをもっと聴きたかった。3時半、役員会。続いて幹部会議。いったん帰宅。6時40分、北の栖。7時から中小企業家同友会とかち支部の「人生大学」。10年ぶりくらいだろうか。発表者を務める。反省すべき点の多い半生だ。10年後にはもう少し立派な発表ができるよう精進したい。

家庭、学校教育では十分学べないもの

僕も30数年前に感じていたことですが、多くの若者は「自律的な生き方ができない」という悩みを持っているのではないでしょうか? あるいは、「自律的とはどういうことか」すらわからず、なんとなく生きにくいと感じているかもしれません。
 自律とは「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」と辞書には書かれています。社会人として自立するには、自律的な生き方ができるようにならねばなりません。これは家庭教育と学校教育では手薄になりがちな部分。仕事という実践活動を通じて磨かれていくものではないかと思います。
 家庭、学校に続く教育として、社会人になると職場教育が重要となってきます。どの職場にも何らかの形で職場教育というものがある。教育制度の整っている会社、そうではない会社、企業によってまちまちです。僕は制度そのものよりも、教育理念や基本的な考え方、そして社風が健全かどうかが決め手になるのではないかと考えています。
 たいていの会社では「態度教育」と「職能教育」が行われているでしょう。態度教育とは、あいさつの仕方、名刺交換、電話応対といったマナーや仕事姿勢に関するもの。職能教育は実際の仕事力を高めるための教育です。新入社員は態度教育から始まり、次第に職能教育に比重が置かれ、社会人として一人前になっていく……。これが一般的なパターン。
 けれども、態度教育と職能教育だけでは自律的になるには至らず、結果としてなかなか自立できない……。そんな若手社員が少なくないというのが実情です。それは僕の世代(1961年生まれ)あたりからそうなったのではないでしょうか。恵まれた環境の中で育ち、両親をはじめまわりの大人に依存しながら生きていた。その結果、社会に放り込まれると、何をどうしたらよいのか戸惑ってしまう。新入社員時代の僕がそうでした。
 今の若手社員は僕よりもはるかに賢い。したがって、みんなうまく役割を演じてはいますが、本質は僕の新入社員時代と大きな違いはありません。みんな悩みや迷いを感じているような気がします。
 態度教育、職能教育だけでは学べないもの。そこで、必要となるのが可能思考教育(価値観教育)ということになります。

可能思考力を伸ばす

「可能思考」という言葉は聞き慣れないかもしれません。単純に言えば「やればできる」「本気になればたいていのことはできる」という価値観のこと。
 「たったそれだけ?」と拍子抜けするかもしれませんが、僕らの思考の中には、簡単にできることであっても「できない」と思い込んでしまう否定的観念があるのです。
 たとえば、「人前で話すのが苦手」「自分は何をやっても長続きしない」「他人は信用できない」「私は人よりも劣っているのではないか」といった否定的感情や観念。多かれ少なかれ、誰しも何らかの形で持っているもの。これをゼロにすることは不可能ですし、その必要もないわけですが、否定的観念にとらわれて生きていくのは不自由なものです。自分の能力を正しく発揮する。そして自分を成長させ、自律的に生きていくためには否定的観念を打破し、可能思考力を高めていかねばなりません。
 自分の成長を阻むもの。その最大の問題は、実際にやってみる前に「できない」と思い込んでチャレンジしようとしないところにあります。仕事が手一杯で「できない」のではなく、「自分にはその能力がない」という意味でやろうとしないのです。これでは自己成長という果実を手にすることは不可能です。
 どうしてこのようになったのか? 子供の頃からの無数の経験を通じて、否定的観念が強化されたのだと考えるべきでしょう。子供はチャレンジャーです。不可能と思えることも試してみようとします。周囲の大人はそれに対し、「無理だ」「やめとけ」といったアドバイス(?)をするものです。その結果、「失敗しない生き方」が正しい人生のあり方だと思い込んでしまう……。頭では「失敗を恐れずチャレンジしよう」と思っても、潜在意識のほうでは常に失敗しない道を選んでしまっている。そのギャップに多くの人が苦しんでいるのです。
 自律的な生き方を手にすることなく社歴を積み重ねた人には、若手が何かにチャレンジしようとすると「無理」「やめとけ」といって、人のやる気を失わせようとする傾向が見られます。これは一種の心理的ゲーム。「NOT OKの証明」として行われるんですね。意欲旺盛な若手が実際にチャレンジし、成果を上げると、自分の存在が脅かされるように感じてしまうのです。横並びで、みんなほどほどの生き方をしてくれれば安心できる……。そんな現状維持的な人ばかりになると、企業は衰退への道をたどることになるでしょう。
 幹部となる人には、誰よりも行動的になり、自らチャレンジするという精神が求められます。行動する中で小さな成功体験を積み重ね、自分の中に存在する否定的観念を少しずつ払拭していかねばなりません。と同時に、部下や後輩には自律的な生き方ができるよう、可能思考力が高まるような声かけやアドバイスを行う必要があります。「あなたには能力がある。その能力をしっかり使いなさい」というメッセージを常に伝える必要があるのです。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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