おはようございます。
昨日は東川、旭川での取材でした。何度も通っているのに知らないことは山ほどある。初めて見る野菜にも出合いました。何度訪れても、興味が尽きることはありません。
そんなわけで取材そのものは楽しいわけですが、このところ出張と取材旅行が続いているためか、夕方になると眠くなる。ところが、少し早めに眠ると、朝3時過ぎに目が覚める。もう1時間睡眠を確保したいのですが、どうもうまくいきませんね……。
Pにとらわれすぎない
さて、社内でうまくいかないことといえば「PDCAをまわすこと」が筆頭に挙げられるかもしれません。なぜなのか? これは「学校教育で10年くらい英語を学んでも英語がしゃべれない」というのと同じくらい不思議な現象。みんなPDCAについてよく知っているのに、十分活用できていないのです。
諸外国の企業と日本企業を単純に比較することはできませんが、日本の企業では合理性よりも情緒性が優先される傾向にあるでしょう。とりわけ、大企業より中小企業のほうが情緒性優先が顕著。ここでいう情緒性とは「みんな頑張っているのだから、結果よりも努力を認めてほしい、認めてあげたい」といった類いのもの。個人の成績や能力に優劣をつけるのははばかられるため、数値管理をオープンにしないといった配慮(?)が行われることもあります。
その結果、的確なC(評価)ができず、A(改善)の精度が低下することになる。この点、大企業は中小企業に比べるとシビアですね。中小企業の中にもPDCAを厳密にまわしている会社は数多く存在しますから、規模ではなく企業文化の問題といえるでしょう。良好な人間関係を保ちながらPDCAの精度を高め、業績を上げることができれば理想的。いったい、どのようにすればよいのでしょう?
スロウである人を取材した際、「Pにとらわれすぎてはいけない」という話が出てきました。「頭のいい人はPに時間をかけ、なかなか行動しようとしない」というのです。確かに、計画を練っているうちにタイミングを逸してしまうことがあるもの。Pよりも、成果につながるD(実行)のほうが本当は大切なはずです。
僕らが身につけるべき習慣は、PDCAの概念を理解しつつも、Dを最大化していくということです。そのために必要な能力は直感力かもしれません。いいと思ったら、まずはやってみる。考えと行動のタイムラグを短縮することです。直感力を発揮するには、自分や自社の業務について好奇心を持ち、さまざまな情報をインプットしておくことです。情報、知識が不足しているとピント外れな行動になる可能性が高い。新入社員であっても、知識、経験を積み重ね、小さなDを繰り返し行うことが求められます。
綿密に計画を立てても、計画通り物事が進むことはほとんどないでしょう。目の前の状況は刻々と変化していく。連続的に行動する(Dを最大化する)ことで有機的に状況が変化し、計画とは異なっていても、結果として目標を達成する、目標以上の成果を収めるということがあるものです。変化の激しい時代です。Pにとらわれていると、期待する成果は得られません。
D中心のPDCAに
大事なことは、行動しながら考え、行動しながらC(評価)とA(改善)を行っていくということ。そして、行動しながら次のP(計画)を立てていくのです。
つまり、すべての段階にDが伴っているという考え方。このような企業文化を創造することができれば、無敵の企業になるのではないでしょうか? 従来は「P→D→C→A」というサイクルをまわすというのがPDCAの概念でした。これからの時代に求められるのはD中心のマネジメント。あるいは大きなDの中にP、C、Aが含まれていると説明するほうがわかりやすいかもしれません。
ひとつの会社にはいろいろなタイプの人が集まっています。計画通りに物事が進まないと気に入らない人、計画を立てても気分によって行動が変わってしまう人、計画があることすら忘れてしまい日々何となく動いている人、計画そのものにとらわれて行動することが目的になってしまう人……。それぞれ長所と短所があるもの。これをD中心のPDCAに変えていくことができれば、状況は激変することになるでしょう。
環境変化の激しい今日、目立った成果を生み出している企業には共通項があります。それは「先例にとらわれず、新しいことにチャレンジしている」ということ。「時代の先を行く行動」や「周囲から不思議がられるほどの継続力」によって、他社には真似できないレベルに到達しているのです。
自分が長年慣れ親しんでいる仕事のパターン。これがちゃんと機能していればよいのですが、うまくいっていないとすれば、行動を変えていかねばなりません。
これまで試していなかった行動、つまり実験してみることが重要です。無数の実験を繰り返す中で、小さな成功事例が生まれるもの。これをスケールアップすれば、大きな成功に結びつく可能性が高まる。これは企業としても取り組むべきことですが、何よりも一人ひとりの小さな実験(D)が鍵を握っているといえるでしょう。
迷ったら、まずはやってみる。我が社の理念やビジョンに沿った行動であれば、ほとんどの場合、とがめられることはありません。行動によって想定されるリスクよりも、行動しなかったことによって生じるリスクのほうがはるかに大きいのです。
経営幹部となる人は、誰よりも行動的、実験的になるべきです。そんなD中心のリーダーを見ながら、部下や新入社員は成長していくことになります。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。