第17講 商品開発 1

第17講 商品開発 1

おはようございます。
 午前10時頃、手術。マダニとはこれでお別れだ。切除は痛くなく、気づいたら終わっていた。午後、東京と札幌からお客様。これから始まる仕事についての打ち合わせ等。おもしろいことになってきた。4時から帯広市産業振興会議。第1回目ということで、中小企業振興基本条例と産業振興会議の歴史についての話。講師は東洋農機相談役の渡辺純夫氏。あっという間の10年。そんな気がする。6時、「香酒 鞘」へ。昼間の打ち合わせの続き。M社の社員食堂は無料という耳寄り情報を得た。

商品開発こそ仕事の醍醐味

新版・次世代幹部養成塾は、これから実務的な話が増えていくことになります。まずは「商品」について考えてみることにしましょう。
 そもそも商品とは何か? なかなか即答しにくい質問ではないかと思います。一般には「経済活動において生産、流通、交換される物財」というように説明されています。この「物財」は目に見えるものばかりではなく、サービスや権利、情報なども含まれます。我が社を例に考えると、写真貸し出しやイベント開催、アンケートの設計・実施といったものも「商品」の範疇にあります。つまり、販売してお金に交換できるものを商品と呼んでいるわけです。
 これで商品について、半分はわかりました。次はもう半分の説明です。
 商品とはそもそも、どのようにして生まれてくるのでしょうか? 「儲かりそうだから」「今流行っているから」「簡単に真似できそうだから」……。そんな理由で生み出される商品もあるでしょう。けれども、本当の理由はもっと違ったところにあるのです。
 企業はなぜ誕生したのか? 創業時までさかのぼると、多くの企業は「自分の持っている強みや価値を世の中に役立てよう」「みんなの暮らしをもっと豊かにしよう」というところに原点があるはずです。商品とはそんな創業時の精神、あるいは理念を具体的な形にしたものなのです。
 印刷物を製造することによって、手書きの煩わしさから人々を解放してあげたい、チラシやパンフレットを作ってお客様の商売を繁盛させたい……。そんな思いから我が社の印刷事業は始まったのだと思います。商品とは「経営理念が具現化したもの」であるといえるのです。
 したがって、理念(または理念に対する思い)が弱ければ、魅力的な商品は生まれてきません。「商品が売れない」という現象の根底には、理念が弱まっている、力を失いつつあるという問題が横たわっているのです。
 企業は自社の製品を開発、製造し、販売することによって、自社の経営理念を世の中に広く伝えています。「売上・利益を生む」という経済的側面は当然ありますが、本質的価値はここにあるはずです。したがって、「理念が本物であれば、商品は世の中に受け入れられる。商品は売れる」ということになります。現実にはそう簡単なものではありませんが、原則的にはこのようにいえるのです。

技術、用途、市場の開発

僕が日頃からみんなに伝えたいと思っているのは、「人から与えられた仕事に満足しているような人間であってはいけない」ということなんですね。もちろん、現実には与えられた仕事、指示された仕事があって、自分の自由になるものではありません。けれども、与えられた仕事に終始するだけでよいのか? 本当に自己成長、自己実現につながる仕事なのか? この点を考えてほしいと思っています。
 これは僕の個人的な考えに過ぎないのかもしれませんが、仕事の楽しさは「自分の手で新しいものを生み出す」というところにあるはずです。自分の能力をフルに使って、自社の理念を形にすることができる……。志や使命感に基づいた自己表現。それができれば最高ですね。自社のもっとも中核的な仕事に携わることに、喜びややりがいを感じないはずはありません。
 自社の商品開発に携わる。我が社の場合は、どんな職種の人でもそれが可能です。商品開発にタッチしたことのない人は、まだ仕事の本当の楽しさを知らない人といえるのかもしれません(僕の狭い見方かもしれませんが)。
 大企業の場合、その楽しさを味わうことのできる人はほんの一握り。99%の人は「作るだけ」「売るだけ」「管理するだけ」といった働き方になるでしょう。
 その点、中小企業に勤めている人にはチャンスがいっぱいあります。要はやる気とそれに見合う能力があるかどうか? 課題はそれだけです。
 商品開発というと、特別な仕事であるかのように考える人もいます。でも、僕はぜんぜん特別な仕事だとは思っていないんですね。むしろ、誰もが当然やるべき仕事である。そう考えています。僕の理想とするところは、昔の「一村一品」にならって「一人一品」という状態なのです。もちろん、二品でも十品でも構いません。みんなが自分で考えた商品をつくっている。そんな会社になっていったら、とてもモチベーションが上がることでしょう。
 さて、商品開発は大きく分けると次の3つになると思います。
1.技術開発
2.用途開発
3.市場開発
 世の中の商品を広く見渡すと、たいていこの3つに属しているのではないでしょうか?
 ハイブリッドや電気自動車などは、技術開発によって生まれた商品の代表格といえます。ハイテク製品はたいていの場合、これに当てはまります。
 用途開発の例としては、3Mのポストイットがおもしろいでしょう。強力な接着剤を開発中、たまたま研究者が非常に弱い接着剤を作り出してしまった。普通なら実験失敗として片付けられるのですが、これを本のしおりとして応用できないだろうか……。そのようにポストいったが誕生したというんですね。我が社の中にも、そんな大化けするような「失敗」が眠っているかもしれません。
 市場開発とは、見え方やシステムを手直しして、異なる市場、異なる販路に自社商品を投入することです。そして、これまでになかった新たな市場を生み出し、拡大していく。ヤマト運輸の宅急便が好事例ですね。「荷物を運んで届ける」というのは新しいことではありませんが、1970年代後半に登場したときには画期的新商品でした。それまでは郵便小包か鉄道小荷物しかなく、高くて不便だったのです。
 商品開発を考えるには「技術」「用途」「市場」の3つを押さえておくとよいでしょう。そして、販売しようとする商品には必ず買い手がいます。顧客ニーズを無視することはできません。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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高原淳写真的業務日誌