おはようございます。
お盆休み。十勝ファーマーズマーケットで買い物と昼食。あとは料理づくりと読書。仕事をせねば……という気持ちを極力抑える。ほぼ完全休養日。おかげで睡眠不足は解消した。しかし、手つかずの仕事はそのまま残っている。さて、どこから着手すべきか?
ヨコ展開とタテ展開
世界経済も地域経済も複雑化、高度化しています。たとえ今売れている商品であっても、永遠に売れ続けるはずはありません。昔に比べると商品寿命は確実に短くなっています。
そんな中、我々が考えるべきことは商品の「パッケージ化」です。商品の単品販売では長続きしないのです。魅力的な商品を開発しても、すぐに類似商品、類似サービスが現れてきます。そうして価格競争に巻き込まれてしまう。単品では弱い。これまでとは異なる価値を提供しなければなりません。
パッケージ型商品とは、どのようなことなのか? それは、目に見える商品だけではなく、思想、情報、ノウハウ、運用までパッケージ化して販売するということ。
たとえば、月刊しゅんの広告は「単品売り」ですが、マーケティング商品と組み合わせればパッケージ化したことになります。顧客にとって大きな価値を提供でき、他社には真似しにくい商品群となる。組み合わせる商品には、印刷媒体、web、動画、イベントなど、さまざまなものがあるでしょう。単純に複数の商品を組み合わせるのではなく、相乗効果を生み出すような商品設計、提案であることが欠かせません。
顧客がほしいと思っているもの。それは「広告スペース」でも「印刷物」でもありません。広告による効果(販売促進、増客)だったり、不便さの解消だったり、顧客への効果的な情報提供だったりするのです。
我が社には、費用対効果のあるプランの提示が求められています。その期待に応えるようなパッケージを提案、提供していかねばなりません。
そのために我が社が行うべきことは、自社の持つ能力(コア・コンピタンス)と資産(コア商品)を見直すことです。総点検し、隠された魅力の再発見に努めるべきでしょう。その上で、「ヨコ展開」と「タテ展開」を考えていきます。
ヨコ展開とは、現在のコア商品と異なる用途、異なるエリア、異なる販路、異なるターゲットに広げていくことはできないだろうか……と考えること。今のコア商品をリメイクしたり、見せ方を工夫する必要があります。「チビスロウ」や「スロウアーカイブ」などはヨコ展開型の商品といえます。
タテ展開のほうはどうでしょう? 現在のコア商品の上流と下流をイメージし、商品開発を行っていく。そこにもさまざまな商品が誕生する可能性があります。「りくらす」「わくらす」と組み合わせた移住イベントや移住ツアーなどはタテ展開による商品です。
このように、ヨコやタテを意識していなくても、我が社にはすでにパッケージ化した商品がいくつもあることに気づくはず。重要なのは、これを最初から設計し、顧客に対してその価値を的確に提案していくことです。
商品開発は企業の永遠のテーマ
企業が商品開発を怠ると、どのようなことが起こるのでしょう? ほぼ確実に大変なことが起こります。
今現在、商品が売れているのだからそのまま販売し続けるだけでよいだろう……。経営者、幹部がそう考えてしまうと、時代の潮目が変わったとき、あっという間に失速してしまうことになるでしょう。
「まだいけるだろう」。そう考えるのは非常に危険。すでに赤信号が点灯しているのだと気づかなければなりません。
世の中には商品開発を怠ったために消えていった企業が無数にあります。企業ばかりではありません。業界そのものが消えていく例も実にたくさんあるのです。
その逆に、業界はなくなってしまっても、商品や業態を変えていくことによって、成長、発展し続ける企業があります。
たとえば、馬具の製造・販売という業界は、自動車や農業機械が普及する以前は大きな産業だったことでしょう。どの町にも馬具屋があったはずです。時代とともにニーズが消えていき、馬具屋さんを見かけることはなくなりました。しかし、馬具製造から皮革製品製造・販売に業態転換し、発展している企業が道内にはあります。馬具からバッグへ。自社の強みを別な用途に応用した見事な事例。ヨコ展開によって、新たな活路を見いだしたのです。
大きなイノベーションが起こると、新しい業界が誕生すると同時に古い業界がまるごと消えてしまうことがあります。馬車が消え、自動車が普及する。石炭ストーブが消え、石油や電気に置き換わる。自然エネルギーの時代になると、また新たな業界が誕生することになるでしょう。
企業の歴史を注意深く観察すると、このような業態変革の事例を数多く発見することができるでしょう。老舗企業の歴史は「業態変革の歴史」といっても過言ではありません。
東洋では「無常」(釈迦)、西洋では「万物は流転する」(ヘラクレイトス)といいますが、世の中は同じところには一瞬たりとも留まってはいません。常に変化の中にあるのです。1秒後には現在が過去になっている。常に、世の中の変化を見定めて、「どのような商品が世の中から求められているのだろう」と思いをめぐらせることです。と同時に、「自分はいったい何を生み出したいのか、どんな状態になりたいのか」熟考することが大切です。
世の中のニーズと自分のやりたいこと、そして我が社の経営理念とがピッタリ合ったとき、魅力的な商品が誕生し、我々に計り知れない価値と豊かさをもたらしてくれることになるのです。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。