おはようございます。
昨日は旭川、東川方面取材。強い雨。宿泊は北見。気温がずいぶん低い。夕食に鍋物はないかと思ったが、入った居酒屋のメニューは夏仕様だった。今日は畑の写真を撮る予定。果たして、天気は大丈夫なのだろうか……。
PSM分析とは
僕らは深く考えることなしに「適正利益」という言葉を使うことがあります。いったい何が「適正」なのでしょうか?
当然ながら、価格に対して何%が適正だという決まりはありません。会社ごとに「だいたいこのくらいだろう」と定めている。ここにコスト・プラス法の弱点があります。
キーエンスという会社をご存知でしょうか? 自動制御機器や計測機器等の製造販売を行っている会社。ダントツの高収益企業として知られていますが、直近の数字を調べてビックリしました。2018年3月期の決算では、驚くなかれ営業利益率が55.6%もあるのです。限界利益率ではありません。2015年度からずっと営業利益率が50%超え。我々のイメージする適正利益とは根本的に考え方が違っている。そう認識すべきでしょう。
ユーザーの立場になってみると、不適正な利益が上乗せされた商品を買い続けるということはありません。したがって、毎年50%以上の営業利益を上げているということは、顧客が「価格に見合った価値を感じている」ということに他なりません。
顧客が商品に対して感じている価値。ここに僕らは着目しなければならないのです。自社視点だけではなく、顧客視点を考慮した価格設定をする必要があるということです。
では、顧客が感じている価値はどのようにすればわかるのでしょう?
一番単純な方法は、「自分がユーザーになったつもりで、いくらだったら買いたいと思うか」自問することです。けれども、自社商品の場合は判断しづらいもの。自社商品には愛着がありますし、同時に自信のなさや商品の弱点も知っているからです。
そこで、PSM分析と呼ばれる手法が登場します。PSM分析の質問項目はたった4つです。
1.あなたはこの商品がいくらくらいから「高い」と感じ始めますか?
2.あなたはこの商品がいくらくらいから「安い」と感じ始めますか?
3.あなたはこの商品がいくらくらいから「高すぎて買えない」と感じ始めますか?
4.あなたはこの商品がいくらくらいから「安すぎて品質に問題があるのではないか」と感じ始めますか?
この4つの質問をモニターとなる消費者に問い、グラフ化するのです。
適正で理想的な価格を見つける
そのグラフから何がわかるのか? なんと、次の4種類の価格が見つかるのです。
1.最高価格(上限価格)
2.最低品質保証価格(下限価格)
3.妥協価格
4.理想価格
最高価格とは、「これ以上高くすると誰も買わない」という価格。高級品やプロ用として、あえて数量を追わない商品の場合は、最高価格の金額が値付けの参考となります。
その逆に、最低品質保証価格は「これ以上安いと顧客から品質を疑われ始める」という価格です。スーパーの特売などがこれに相当するでしょうか。
次は妥協価格。これは心理的な価格基準に基づいたもの。「このジャンルの商品であればこのくらいの値段が妥当だ」というものです。価格戦略ではひとつの基準となる値段のつけ方でしょう。
最後の理想価格。これは「本当の意味で消費者が望んでいる理想的な価格」のこと。この価格を設定することができれば、販売数量を大きく伸ばすことが可能となります。しかし、一般には妥協価格よりも低い金額になることが多く、十分な利益が確保できるかどうかは微妙なところ。妥協価格と理想価格のギャップが少ないこと。それが我が社にとっての理想といえます。
まれに、理想価格のほうが妥協価格よりも高いというケースもあるでしょう。それは「この商品はもっと高くてよい」という消費者からのメッセージ。商品が高い評価を得ているということでもありますし、消費者はより高い付加価値を求めているというシグナルでもあります。有望な市場を発掘するという意味でも、PSM分析は役立ちそうです。
PSM分析などの手法を使って顧客視点を考慮する。ただ、最終的な値決めには自社の価格戦略が反映されていなければなりません。次に、高価格政策(上澄み吸収価格)と最低価格政策(市場浸透価格)について考えてみましょう。
昨日、「価格とは商品の価値を顧客に伝えるコミュニケーションツール」と書きました。これはどういうことか? そう、安すぎる値段をつけてしまうと、「我が社にはこれだけの価値しかないんですよ」といった誤ったメッセージが伝わってしまう可能性があるのです。低価格を打ち出すには、必然性と納得性が必要となります。
高価格政策とは、文字通り高い価格設定を行うというもの。この場合、原価は関係ありません。強気の価格設定ということですね。当然ながら、高いものを買うことに抵抗感の少ないユーザーがターゲット顧客ということになります。利益率が高く、開発コストをいち早く吸収でき、市場の上のほう(高所得層)から利益をすくい上げるので、「上澄み吸収価格」とも呼ばれます。
真っ先に思い浮かぶのは、趣味やファッションアイテムに関するもの。ユーザーがステイタスに感じるような商品。圧倒的な高機能だったり、希少性のあるもの、ブランド品といったものは高価格政策に適している商品といえます。
明日はその反対。低価格政策を採用するケースについて考えてみましょう。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。