
こんばんは。
訳あって、この時間帯(23時)に書くこととなりました。今日は早朝に奇跡が起きた。何と、社内報の原稿2本を1時間半で仕上げてしまったのです。もちろん、これにはちょっとだけからくりがある。何もなければ、6000文字を1時間半で書くことはできない。だが、それにしてもこのスピードは奇跡のレベル。午後1時、中堅幹部学校第3講が我が社で行われました。15分会社見学。その後、事業内容や基本的考え方、そして情報発信力についての話。少し情報を詰め込みすぎただろうか? 僕としては、適切な情報発信を行うことで、地域経済循環率を高めることができるのではないかと考えている。そして、情報発信力の根底には理念とビジョンがなければならない。情報発信力は技術ではない。一貫性のあるメッセージが重要なのだと思う。
大変だ。どんどん残り時間が短くなっていく。追われている原稿はあとひとつ。午後3時過ぎからようやく取りかかる。ややスローペース。夕食後再開するが、まだペースは上がらない。
焙煎、現像、執筆準備
M氏語録にはいろいろあります。そのうち一冊にまとめてみたいと思っているのですが、今日もすごいひと言がありました。
「パソコンの前に座ったら何も考えなくても原稿ができている」
あれ? 少し言い回しが違っていたかな? 要するに、こういうことなのです。手書きの時代は頭を使わなければ原稿を書くことはできなかったが、パソコンを使うと自由自在に書くことができる。文章の順番を入れ替えたり、切り取ったり、いとも簡単。自動的に原稿ができてしまうとらしい。その結果、頭を使わなくなったというのです。
脳天から煙が出そうになるほど考えている僕とはえらい違いです。M氏によると、パソコンの前に辛抱して座っていられるかどうか……という問題があるだけ。何時間座っても書けないときは書けないという僕とは、いったいどこが違うのだろう?
しかし、この門外漢的苦しみが僕の文章に何らかの味付けをしているような気がする。そう信じたい。もうすでに半分意識が遠のきかけていますが、たぶん僕の文章には不自由感と眠気との葛藤が必要に違いない。ここを通過しなければ意味のある文章にならない。そう思っているのです。
今書いている原稿では、コーヒーの焙煎をメインテーマに設定しています。僕は取材中に焙煎とフィルム現像との共通項を発見していました。さらに言えば、原稿執筆前の頭の中での作業にもちょっと似ています。
いったいどのあたりに共通項があるのか? それは外からうかがい知ることはできず、大部分はブラックボックスの中で変化が起こっていると言うこと。フィルム現像の場合、現像タンクの中はまったくの暗闇。定着液を入れたあとでなければ、現像結果はわかりません。
これに比べると、焙煎の工程では小さな窓から色をチェックしたり、少量豆をすくって、色や香りを確認することができる。フィルム現像よりもある程度は自由。けれども、タイミングを計るのは難しそう。ほんの1、2秒の違いでも味が変わってくるそうです。
抽出、プリント、原稿執筆
自分の頭の中でも、現像タンクの中、あるいは焙煎機の中と同じような作業が行われています。「情報」という豆が焙煎されている。脳天から煙が出そうになるほど考え、情報をこんがり焼いていく。うまく焼けたら速やかにとりだし、冷却する。粗熱がとれたら、いよいよ原稿執筆というタイミングになる。
この一連の流れがスムースにいかないと、もっとも重要な「抽出」という作業ができなくなってしまいます。原稿執筆で言えば、パソコンに向かって原稿を書くという作業。写真にたとえるなら、フィルム現像の次の段階、プリント作業です。
プリントの場合、ネガが持っている情報をいかに最大限引き出すのかが腕の見せどころ。表現方法によっては、ネガの持つ情報の一部だけしか引き出さないという場合もあります。けれども、僕は最大限「抽出」するのが好きでした。だから、コーヒーにおいてもできる限り、うまみを引き出してあげたい。
同様に、頭の中からとりだした情報を最大限原稿という形で抽出したいといつも思っています。しかし、いつもうまくいくとは限らないんですね。コーヒーにさまざまな抽出法があるように、原稿執筆法にもさまざまなパターンがある。コーヒー店を取材すると、抽出するためのお湯の温度は94度とか90度とか、それぞれの考え方に基づく設定温度があります。
僕も原稿を書く際に、そのあたりを参考にする必要がある。沸騰したお湯をいきなりかけるようでは、余計な成分まで流れ出てしまいます。ちょっとだけさましてからコーヒー豆に注いでいく。何となくわかるような気がします。たぶん、暗室作業にも(今はすべてデジタルになりましたが)、そして原稿執筆にも通じる考え方でしょう。最適温度と最適な時間配分がある。
締め切りがあって原稿を書くわけですが、急いでいるからといって、沸騰したてのお湯をそのまま注ぎ込んではいけない。また、焦って抽出しようとしてもいけない。抽出作業には、そのときの自分の心の状態が現れるに違いありません。
あらゆる仕事に「抽出」という工程があるような気がしてきました。ですから、どんな仕事にも自分の心の状態が現れている。直接商品に現れることもあれば、周囲の人との会話の中にも現れ、それが間接的に商品の質に影響を及ぼすということもある。本当に気をつけなければなりません。
最高の一杯とくつろぎのひとときを味わうためには、相応の心構えと心の平和が求められるのではないかと思います。残り時間はどんどん短くなっていますが、今一度「抽出」作業に徹してみることにします。
