おはようございます。
昨日は経営指針研究会一泊研修会でした。といっても、僕は一泊はせず、研修終了後に帰宅。原稿執筆に向けて準備しなければなりません。
経営指針研究会はちょうど折り返し地点。昨日は3グループの研究生が集まり、経営理念、10年ビジョン検討シートの発表が行われました。経営理念も10年ビジョンも、つくったからすぐに会社がよくなるというものではありません。ほとんどの場合、即効性はない(ある会社もある)。けれども、5年後、10年後を考えると、あるとないとでは大違い。やり続ければ、何かが変わる。「今」ではなく、数年、数10年先を考えて、情熱を傾けることができるかどうか? そこが問われています。
次世代幹部の人たちにも、まったく同じことが当てはまります。自分の仕事人生においてどんな知識を身につけるべきなのか? すぐには役立たないが、20代、30代のうちに知っておくべきこと。それをできるだけ平易な言葉で伝えていこう……という目的で始めたのが「新版・次世代幹部養成塾」です。
前回は第19講「売上と利益」でした。今回はたぶんみんな苦手に違いないと思われる「決算書」についての話をしましょう。
決算書とはどんなものか?
苦手意識はあっても避けて通ることのできないもの。多くの経営者、幹部にとって「決算書を読む」ことは、そうした位置づけのものかもしれません。僕自身、得意とはいえない。数字が1円の狂いもなく揃っていて美しいな……。そう感じる程度。専門用語に困ることも多々あります。
ここでは極力専門用語を使用せず、しかも最低限必要と思われることのみ書いていこうと思います。しっかり学んでおきたい人は他の書物を頼りにしてください。ネット上にもわかりやすいものがいくつかあります。
本題に入りましょう。
決算書は大きく次の3つで成り立っています。
・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・キャッシュフロー計算書(C/F)
このうち、C/Fは上場企業に対しては作成義務がありますが、非上場企業にはそれがありません。一般には自社で財務分析を行う際につくられるケースが多いようです。
では、そもそも決算書とは何なのかというところから話を進めていきます。
決算書とは、ひと言でいえば企業の「成績表」のことです。B/Sは会社設立から今日(決算日)までの成績表、P/Lは当期1年間の成績表ということになります。C/Fでは、現金にどれだけ余裕があるか、増減がどのくらいかを読み取ることができます。
子供の頃の成績表と企業の決算書との違いはどこにあるのか? 企業の場合は自社の存続がかかっている……というところにあります。お金が回らなくなると倒産しますし、決算内容が悪ければ金融機関からの借り入れにも苦労します。借りられたとしても、一般より高い金利で借りなければならないこともあるでしょう。
金融機関は決算書等を資料として、企業の格付けを行っています。格付けは「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に分けられます。企業の成績表は実にシビアなものなのです。
では、B/S、P/L、C/Fをそれぞれ読み解いていきましょう。
「資金をどう集めてどう使っているか」がB/S
貸借対照表のB/Sとは「バランスシート」の略です。その名の通り、右と左に分かれている表の合計金額は必ず同じになっています。常にバランスがとれているからバランスシート。
表の右側は「負債・純資産の部」と呼ばれ、「お金をどのように調達したのか」を示しています。自己資金なのか、長期利益を積み重ねた内部留保なのか、それとも金融機関等からの借り入れなのか。それが一目瞭然、わかるようになっています。
表の左側は「資産の部」です。集めたお金をどのように使っているのか、その内訳が示されています。資産には大きく分けると「流動資産」と「固定資産」の2種類があります。流動資産は短期(1年以内)に現金化できるもの、固定資産は長期にわたって保有する資産のことをいいます。
つまり、ひと言でいうとB/Sは、「資金をどのように集めて(表の右側)、どのように使っているか(表の左側)がわかる資料」ということになります。
お金の集め方と使い方がわかれば、その会社が健全に経営されているのか把握することができます。単純にいえば、正しい集め方と正しい使い方をしているか? B/Sを見るポイントはここに尽きるでしょう。
もちろん、経営者はみな正しいお金の集め方をしたいと切望しています。それがうまくいきにくいのが現実の厳しいところ。ところが、B/Sをじっくり見ていくと、利益を生み出すことなく無駄に遊んでいる資産が見つかったり、不良資産が見つかったり、さまざまな改善点が見えてきます。専門家が見れば、その会社の社風や経営者の性格までわかるそうです。そう言われると、確かに我が社のB/Sには、社風が現れているような気がしてきます。
明日はもう少し詳しく、B/Sを見ていくことにしましょう。