![第20講 決算書を読む 2](https://www.sogo-printing.com/blog/cms/wp-content/uploads/2018/09/IMG_9884-1000x666.jpg)
音更町/2018.9.3
おはようございます。
9月です。我が社にとっては決算月。この1ヵ月間、気を引き締めていかねばなりません。今年は経営発表大会を例年より1週間早く設定している。僕もスピード重視で仕事を進めていかねば……。
昨日は午前中、音更での取材。子供頃からよく知っている場所の知らない歴史に触れることができました。午後は大樹。初めて訪れるところ。意外な場所にいい雰囲気のカフェができていました。6時半から、中小企業家同友会とかち支部四役会。
今朝は5時半までたっぷり眠りました。睡眠不足はほぼ解消。今回は「新版・次世代幹部養成塾」の続きです。
B/S「負債・純資産の部」
まずは、B/Sの右側、「負債・純資産の部」を見ていきましょう。
上が「負債の部」です。つまり、借りているお金のこと。負債には流動負債と固定負債の2種類があります。流動負債とは1年以内に返済しなければならない債務。一方、固定負債は1年を超えて返済すればよいもの。ですから、同じ負債金額であっても、固定負債の割合が多いほうが資金繰りの上では助かります。一方、流動負債が多いとスリル満点(?)の経営を行うことになるわけです。この種のスリルは、できれば味わいたくないですね。
流動負債にしろ、固定負債にしろ、健全な経営を行うためには負債の部の金額をいかに少なくしていくかがポイントとなります。ただし、負債ゼロのほうがよいというわけではありません。自社の成長や事業の発展のためには、自己資本を超える資金が必要なもの。また、必要なときに資金を調達できるよう、金融機関との関係づくりも欠かせません。
B/Sの右下には「純資産の部」(以前は「資本の部」と呼ばれていました)があります。資本金は株主が出資したお金で、社内に維持すべき目安となる金額のこと。ちなみに、資本金の大小は企業規模を示すものではありません。
純資産の部で重要なのは、「利益剰余金」の金額です。この金額が大きければ内部留保がたっぷりあることを示しています。逆に、利益剰余金がマイナスになっているケースもあります。この場合は資金繰りが苦しいと考えて間違いないでしょう。
利益剰余金は、創立(第1期)から当期まで、利益をどれだけ積み上げてきたのかを表しています。赤字が続けばマイナスになり、黒字を続けていれば金額が積み重なっていきます。B/Sを見るとき、真っ先に注目すべき数字といえます。
よく企業の安全性を示す指標として「自己資本比率」という言葉が使われます。これは「負債純資産合計」(負債の部+純資産の部)のうち、純資産の金額がどれだけ占めているかを%で表したものです。数値が高いほうが安全性が高いことになります。目安としては自己資本比率30%以上が安全性の高い企業であるといわれることが多いようです。
B/S「資産の部」
今度は左側の「資産の部」を見てください。ここにも「流動」「固定」という言葉が並んでいます。流動資産とは、1年以内に現金か可能な資産のこと。逆に、長期にわたって保有する資産を固定資産といいます。B/Sには、上から順番に現金化しやすい項目が並んでいます。
さて、1年以内に現金化できるとされる流動資産ですが、ここに若干の落とし穴があることを知っておかねばなりません。我が社の流動資産は本当に現金化可能な流動資産なのかどうか、ということです。
まず、現金・預金。これは大丈夫ですね。次に記載されている受取手形。これは不渡り手形にならないかどうか、注意が必要となるケースがあります。
その下の売掛金。この数字は要注意です。売上に計上されていても、ちゃんと集金しなければ我が社のお金にはならないわけです。売掛金が滞留したままで回収の見込みの薄いものは「不良資産」(不良債権)と呼ばれます。せっかくの売上が無に帰してしまうのでは、何のために苦労したのかわからなくなってしまいます。営業職の人は、回収までが自分の仕事であると肝に銘じておかねばなりません。与信管理も重要となってきます。
その下には、製品、仕掛品、原材料、貯蔵品と続きます。ここにも実は落とし穴となるケースがあります。顧客に納品される前の製品、または製造中・製造前のもの。これらは無事納品されて初めて売上となるものです。ところが、ここに計上されている金額がすべて売上につながるとは限りません。原材料の中には使うに使えないものが含まれていることがあります。仕掛品、貯蔵品の中にも破棄せざるを得ないものがあったりします。いわゆる不良在庫。棚卸資産の中身は要チェック項目といえます。
流動資産とはいっても、こうした「1年以内に現金化できないもの」が混じっている可能性があるのです。健全な経営を行うにあたっては、数字の中身をクリーンな状態に保たなければなりません。
次は固定資産。土地、建物、機械、車といった形の見えるものが「有形固定資産」。ソフトウエアや電話加入権といった形に見えないものは「無形固定資産」とされています。このほか、投資や長期貸付金も固定資産に含まれます。
固定資産のチェックすべきポイントは、無駄に遊んでいる資産がないかどうかというところ。今はキャッシュフロー経営の時代ですので、活用されていない固定資産は可能な限り現金化すべきでしょう。B/Sを見ると、案外お宝が眠っているケースもあるものです。