おはようございます。
ニュースで厚真の映像を見るたびに、今回の地震による被害の大きさを思い知らされます。厚真には取材でお世話になった方々が多い。気になります。
ここ帯広は見かけ上、ほぼ平常通りに戻りました。ただ、藤丸でもスーパーでも品切れのものが多い。こんなガランとした陳列棚を見たのは初めて。
そんな中、緑ヶ丘公園では十勝ファーマーズマーケット出店者による緊急販売会が開催されていました。僕は10時40分頃会場に到着したのですが、オープン時はすごい人だったとのこと。すぐに売り切れてしまい、野菜類は途中で追加したところもありました。我が家では地震の前日、食事会用に食材を大量備蓄していました。食材がないというのは、確かに不安なものですね。
さて、4日ぶりになりましたが、「新版・次世代養成塾」の第20講、「決算書を読む」の4回目です。
営業キャッシュフローとは?
ここまでB/S、P/Lの説明をしてきましたが、理解してもらえたでしょうか? 実際の我が社の決算書と照らし合わせてみると、わかってもらえると思います。ただ、すべてをわかろうとするのは無理な話。最初はポイントを絞って理解するようにしましょう。
決算書は年に一度作成するものですが、我が社の場合、月次の利益計算書(変動損益計算書)も作成されています。なぜわざわざ利益計算書を作成する必要があるのか、まだよくわかってない人もいると思います。
決算書の中にある「販売費及び一般管理費」と「製造原価報告書」を見比べてみてほしいと思います。同じような意味合いの項目が並んでいると思いませんか? 前者は営業・総務部門、後者は製造部門。部署が違うというだけで別々に集計されている。そして、製造原価には変動費も固定費も同列に並べられているのです。これでは、どのようにコストをコントロールしたらよいのか見えてきません。変動費と固定費を分類し直すことで、ようやく打つべき手がわかってくるのです。
B/S、P/Lに続いて、最後はC/Fについて説明していきます。我が社のような非上場企業では、キャッシュフロー計算書(C/F)を作成する義務はありません。ただ、実際のお金の流れがわかるC/Fは知っておいた方がいい数字です。
「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」。C/Fには3種類の金額があります。このうち、僕らが一番注目すべき数字は営業活動によるキャッシュフローです。
ただ、正確な金額を出すのはちょっと面倒。財務担当以外の人は、おおまかな把握の仕方でよいでしょう。「当期純利益+減価償却費」。これなら誰でも簡単に計算できますね。減価償却費とは、「建物や機械設備など、長期間にわたって利用する資産を購入した場合、購入価額をいったん資産として計上した後、資産の耐用年数合わせ規則的に費用として配分する金額」のこと。つまり、支払い済みであっても毎年固定費として計上される。実際には外には出て行かないお金。純利益と同じように、自社の自由に使えるお金と考えてよいのです。
営業C/Fは健全な会社であれば、当然プラスになっていなければなりません。これがマイナスなら、資金繰りは悪化していると判断することができます。
覚えておきたい財務指標
経営者や経営幹部は決算書をもとに、財務分析を行う必要があります。ただ、すべての数字を把握し、分析するのは困難。ここでは、必要最低限と思われる項目に絞って説明します。もちろん、他にも重要な指標がありますから、他のテキスト類を読んで学んでほしいと思います。
◎限界利益率(限界利益÷売上高)
企業の付加価値競争力を測る指標。業界によって目安となる数字は大きく異なります。印刷会社の場合50%前後。限界利益率が低下する要因は、原材料費が上がっているか、外注費が増えているか。また、値引き販売が常態化すると限界利益は減少します。商品の魅力度が高まれば適正利益を確保しながら販売できる。つまり、自社の商品力を示す数字と捉えるべきでしょう。
◎売上高経常利益率(経常利益÷売上高)
企業の収益力を示す指標。金融機関がもっとも注目する数字のひとつ。優良企業の目安は10%といわれています。ちょっとハードルが高いですね。
◎自己資本比率(自己資本(純資産)÷総資産)
一般に自己資本比率が高いほど安全性の高い会社であるといわれています。けれども、自己資本が高ければよいと一概に言い切れない面もあります。安全性を重視するあまり、将来性、発展性を犠牲にする企業もあるからです。率に目を奪われるよりも、自己資本額を増やすべきだという考え方もあります。なお、自己資本比率を増やすには次の3つの方法があります。
1.利益剰余金を増やす(もっとも理想的)
2.総資産を圧縮する(遊休資産を処分するなど)
3.増資をする
◎借入金月商倍率(借入金総額÷月商)
借入金額が1ヵ月の売上の何倍にあたるか? 企業規模に見合った借入額なのかを判断する指標です。業種によって異なりますが、一般には3倍以内が安全圏といわれています。
◎労働生産性(限界利益÷人員)
ひとりあたりどれだけの付加価値を生み出したのかを知る数字。この数字が高ければ個人の能力は高く、低ければ能力が低いということになります。
◎労働分配率(人件費÷限界利益)
限界利益に占める人件費の割合。労働分配率が高ければ、限界利益の多くが人件費に回っていて、他の固定費や営業利益にまわすことができないということになります。ひとりあたり人件費の金額を高めながら、労働分配率そのものは低めに抑えるのが理想的。印刷業の場合、黒字企業の平均値は55%前後となっています。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。