おはようございます。
午前中は校正と追加原稿作成。午後は取材準備と事務的作業。あっという間に時間が過ぎていく。4時、中小企業家同友会とかち支部四役会。続いて幹事会。
今週はさまざまな予定が消えては浮かぶ。会議、行事が3つ中止・延期となり、新たに中川、せたなへの出張が浮上。これも地震、停電の影響。一時的とは思うが、札幌の宿の宿泊料は以前の相場に戻っていた。
クロスSWOT分析とポートフォリオ分析
さて、このようにして行ってきたSWOT分析をどのように生かしていくのか? 当然ながら、自社の商品戦略、人材育成戦略、財務戦略、ブランド戦略、広告戦略などにつなげていくこととなります。
これまで話を進めてきた内部資源分析と外部環境分析。これを一枚の表(クロスSWOT分析)にまとめていきます。すると、4つのスペースができることに気づくはずです。
1.強み+機会→「成長戦略」
2.強み+脅威→「回避戦略」
3.弱み+機会→「改善戦略」
4.弱み+脅威→「撤退戦略」
4つの戦略が浮かび上がってきたら、優先順位(何から先にやるか)と後先順位(何をやらないか)を決めていきます。一般的には真っ先に成長戦略に取り組むこととなるでしょうが、僕は必ずしも一番先とは考えていません。あくまでも、その時点での経営判断となるでしょう。回避戦略かもしれないし、撤退戦略が優先される場合もあります。
クロスSWOT分析の次のステップとしてよく使われるものに、「ポートフォリオ分析」があります。ポートフォリオの構造はきわめて単純。「育てる」「攻める」「守る」「捨てる」の4つに分類するだけです。
もっともわかりやすいものとして、商品のポートフォリオをイメージしてみてください。縦軸は市場成長性です。上半分に位置する「育てる」「攻める」は市場成長性が高いということになります。横軸は収益性を示しています。「攻める」「守る」に位置する商品は、現在の自社の収益に貢献している商品といえるでしょう。
自社のさまざまな商品がどの位置にあるのか? これを図の中にできる限り数多く書き込んでいきます。
ひと通りできあがったら、全体を眺めてみましょう。「捨てる」にはどんな商品が記入されているでしょうか? 多くの人が「捨てる」の欄になかなか記入できずにいます。僕も捨てることには躊躇します。
捨てるべき商品を捨てられずにいると、育てる・攻める商品に対して十分なネルギーを注ぎ込むことができなくなってしまいます。経営資源が分散してしまうのです。ポートフォリオ分析では「捨てる」を決めること。これが重要な選択となります。
次に、「育てる」が十分にあるかどうかをチェックしましょう。ひとまず「攻める」商品が十分にあれば、会社は利益を上げることができます。けれども、攻める商品もいずれは「守る」にシフトし、やがて「捨てる」に移行します。中長期的視点に立てば、「育てる」商品を拡充していかなければなりません。攻める商品が不足し、「守る」ばかりになった会社は苦しいものです。自社には常に育てる商品のストックを十分に用意しておく必要があるのです。
生かす方法を考える
ポートフォリオ分析ができあがったら、クロスSWOT分析と見比べてみましょう。ここで改めて「成長戦略」「回避戦略」「改善戦略」「撤退戦略」を練っていきます。想像力と創造力を発揮することが重要です。
自社の商品を組み合わせるという発想が必要ではないか、と僕は考えています。たとえば、守るべきA商品は育てるのB商品と組み合わせると、攻める商品になるのではないか……。そんなふうにイメージしてみるのです。あるいは、捨てる商品のはずだったC商品も、攻めるのD商品の入口商品として使うことができるかもしれない。さまざまな組み合わせが考えられることになるでしょう。
ひとつの商品を開発するには、ものにもよりますが、莫大なコストと気の遠くなるような労力がかかっています。時代が変わったからといって簡単に捨ててしまってよいのだろうか……。僕はいつもそう考えてしまいます。「捨てる」を決めないと経営資源が分散する……と書きましたが、ただ捨てるだけではもったいない。何か生かす道はないのか考えることも、幹部には求められるのです。実際、捨てる商品をリフレーミングした結果、「育てる」に転じた商品もあるのです。
商品にはライフサイクルがあり、必ず寿命というものがやってきます。けれども、的確な販売戦略や商品改良によって、その寿命を何倍にも延ばすことは可能であるはずです。そうしたひと手間を惜しんで、自社に長年貢献してきた商品を安易に使い捨てにすべきではない。僕らは先人が築き上げてきた商品を今の時代に合うよう磨き上げて、新しい商品にリメイクするという視点を持つべきではないかと思います。
今回は商品に限って、クロスSWOT分析とポートフォリオ分析を考えてみました。分析すべき対象は商品ばかりではありません。人材、顧客、販売エリア……。さまざまるでしょう。人材のポートフォリオはシビアですね。僕は人材に限って言えば、「捨てる」の欄は空白にして、3つに限定すべきだと考えています。自分が「捨てる人材」に分類されたら目も当てられませんから……。それに、人間は死の直前まで成長できるものだ、と僕は信じています。
こうした分析は経営者だけが行うべきものではなく、できるだけ若手を交え複数の視点で行ったほうがよいと思っています。特に商品ミックスには若手の視点が欠かせません。さまざまな意見を出し合い、認識を共有することが何よりも大切です。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。