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第24講 中期経営計画の策定 1

第24講 中期経営計画の策定 1

おはようございます。
 半分仕事、半分休日といった過ごし方。仕事は写真の画質調整。一部の写真を選び直していたら、予定よりも時間がかかってしまった。原稿執筆準備までたどり着かず仕事を終える。今朝は早朝取材予定のため、ふだんよりも早起き。目覚まし時計の設定より30分早く起きた。

経営計画書の構成要素

前回テーマは「コア・コンピタンス」でした。今回は「中期経営計画の策定」について、話を進めていきたいと思います。
 我が社では2002年(第43期)から「中期ビジョン及び第○○期経営計画」と題した冊子を作成しています。これが中期経営計画書。こうした経営計画書(経営指針書)はどの会社も同じようにつくっている……というわけではありません。まったくつくっていないという会社もあります。
 つくりかたもまちまち。売上・利益計画だけの経営計画もありますし、創業から今日までのストーリーに重点を置いたものもあります。また、マーケティング戦略を詳細に述べた経営計画書を見たこともあります。それぞれの経営者の考え方を垣間見ることができ、大変興味深いものですね。経営計画書を読むと、その会社の価値観や社風までもが手に取るようにわかります。もっとも、他社の経営計画書を目にする機会はそれほど多いとはいえませんが……。
 我が社の経営計画書は大きく5つの要素から成り立っています。
1.我が社の理念・価値観を表す普遍的なもの
2.中長期的ビジョンとその達成に向けての考え方を示すもの
3.本年度の目標・計画に関するもの
4.本年度の部門計画
5.個人のスキルアップに関するもの
 2017年(第58期)からは「危機管理ブック」と「就業規則」も経営計画書に合冊されることになりました。ただ、両者は経営計画そのものとは異なりますから、ここでは言及しないことにします。
 今では150ページに及ぶ経営計画書(危機管理ブック、就業規則を除く)ですが、最初からこのように作成してきたわけではありません。作り始めた最初の頃(2002年~)は「中期ビジョンとその達成に向けての考え方」に重点が置かれていました。
 ところが、これは戦略面での話が中心となりますから、少しわかりにくいものになってしまうんですね。経営計画書がわかりにくいと、数多くの誤解を生むことになってしまい、その結果、社内の力が分散されることになる……。そう気づき、あるときから「我が社の理念・価値観」を中心に経営計画書をつくるように変えていきました。各部門の朝礼で経営計画書の一節を唱和するようになったのは、その頃からのことです。
 同時に、「人生年表」「私のコア・コンピタンス」「キャリアプラン」「ビジュアリゼーション」「アファーメーション」といった、個人に関する項目も増やしていきました。我が社の経営と自分の人生とがどのようにつながっているのか、どのように関連づけるべきなのかを考えてもらうためです。

経営計画書策定にあたっての諸問題

こうして、毎年改良を重ねて策定している経営計画書ですが、まだまだ十分なものとはいえません。毎年悩み続けています。
・我が社の経営理念が浸透するものとなっているか
・経営目的、ビジョン、目標は共有できるものとなっているか
・ビジョンや目標に到達するための道筋は明確か
・自社の現状分析や外部環境分析は適切なものか
・利益計画が単なる数字の羅列になっていないか
・個人のスキルアップに関する項目がちゃんと活用できるものとなっているか
 ここに挙げた問題はどれひとつとっても僕には不満足であって、これまで作り上げてきた経営計画書はどれも合格点とはいえないものです。
 「経営計画書を一読するだけで、仕事に対する情熱、意欲が湧いてくる」「頭の中が整理されて、何をどうすればよいのか明確にわかる」「会社の成長と自分の成長とを重ね合わせて考えることができる」……。そんな経営計画書の策定を目指していかねばなりません。
 経営計画書の質的向上を図るには、できるだけ多くの社員が関わって策定していくのが理想といえます。現実には全員参加は困難なので、経営マインドを持った人を中心とする「役職に関係のない、自主的に集まったグループ」によってつくられるのが望ましいでしょう。現時点では、我が社の場合、コア・コンピタンス委員会または次世代幹部養成塾受講生が経営計画策定に関わるのがよいと思います。
 経営計画策定でもっとも注意を要するのは、「整合性」という問題です。経営理念とビジョンとの整合性、ビジョンと年度目標との整合性、年度目標・方針と部門計画との整合性……。すべてがつながっていなければなりません。
 会社の目標・方針と無関係な、あるいは方針に反するような部門計画があると、我が社の能力が正しく発揮されないばかりか、全社的に著しくエネルギーをロスすることとなってしまいます。経営計画の最上位概念である経営理念に基づいて、ぶれることなく策定していくことが大切です。
 このため、実際の策定作業にあたるのは若手や中堅幹部であったとしても、最終的に決定権を持つのは会社の最高責任者ということになります。たとえボトムアップ型の組織であったとしても、経営計画の策定という点ではトップダウン型になるものです。
 理想としては、トップと幹部と若手が、能力的にも知識的にも人格的にも拮抗した力を持っていることですね。そうした組織になると、経営計画のレベルは格段に上がっていくに違いありません。

※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。

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