おはようございます。
朝から「記憶の中の風景」に着手。一心不乱に進めたら、昼までに写真選び、画質調整、テキスト、レイアウトができた。ハイペースだ。午後は経営発表大会の準備。午後に行われるセミナーの資料作成。考えをまとめるのに2時間近くかかった。ホワイトボードに紙片を並べていく。まだ何か足りない気がする。あとはパワーポイントで作成しながら考えよう……。再び一心不乱に進める。が、眼精疲労が限界に達し、6時半頃ギブアップ。パソコンから離れ、料理づくりに参戦。僕のプレゼン内容が影響したのか、濃い味付けになってしまった。
パーソナルブランディング
昨日は「ブランディングとは思い込み力強化活動なのだ」という話をしました。では、何を思い込むのだ? そんな疑問も湧いてくることでしょう。
僕が次世代幹部の人たちに一番思い込んでほしいのは、「自社の理念と超長期的ビジョン」なんですね。こんな会社にしていく。こんな世の中をつくりたい。それは我が社の事業活動を通じて必ず実現できるはずだ……。そう信じ込んでほしいと思っているわけです。
リーダーとは「自社の理念、ビジョン、戦略を思い込ませる力を持った人」のことといってよいでしょう。自分自身思い込むだけではなく、周囲の人にも思い込ませる力を持った人。
人は理屈では動きません。人柄のよさでも動かないし、指示・命令で動くものでもありません(動くふりをすることはある)。本当に人が動くのは、「この人は信ずるに値する人物」だと思ったときではないでしょうか。「自分」という人間が理屈を超越してブランド化しているかどうかが重要なのです。自分をブランド化させることを「パーソナルブランディング」といいます。
また、同じように「この会社は信ずるに値するかどうか?」によって、社員のモチベーションや求心力はまったく違ったものとなっていきます。我が社は顧客に向けてブランディングを行うだけではなく、社員に対するブランディングにも力を注いでいくべきなのです。
これまで24講の中でさまざまなことを学んできました。その大部分は、自分及び自社のブランディングがテーマだったと言っても過言ではありません。
仕事をすることによって得られるものには、実にさまざまなものがあります。仕事=金銭を得ること、とだけ考えている人には「さまざまなもの」がいかに人生を豊かにするか、理解できないかもしれません。
仕事を通じて、我が社の人たちに獲得してほしいもの。それは「自信」なんですね。個人のコア・コンピタンスを作成する意義もここにあります。自分の成長していく方向性を定め、強みに集中するからこそ成果を生むことができる。そして、成果を得たことで自信がつき、仕事がより楽しくなっていくわけです。世の中に「楽しい仕事」と「つまらない仕事」の2種類があるのではない。テーマを絞って自分の能力を伸ばし、成果を生み出すからこそ、どんな仕事でも楽しくなっていく……。そこに社会人としての王道があるのではないでしょうか?
自信をつける。そしてもうひとつ、自社及び自社商品に深い愛着を持つ。この2つの思い込みがブランディングには欠かせないと僕は考えています。
経営には合理性と神秘性の両方が必要
「思い込み」という言葉にはどうしても危ういイメージがつきまとってしまいます。最後に、只管打坐(しかんたざ)という言葉を紹介しましょう。只管打坐とは「ただひたすら座禅すること=それになりきること」という意味。自分、自社の進んでいく道を疑ったり、迷ったり、後悔するのではなく、信じた道をただひたすら愚直に進んでいく。そんな生き方があってよいのではないかと僕は考えています。これは本来「信仰」という言葉で表すべきものですが、特定宗教を持った会社のように誤解されるかもしれませんので、僕は「思い込み力」という言葉を使っています。
いずれにしても、「我が社には得体の知れない魅力がある」「我が社には魅力的な人財が揃っている」「我が社はお客様に恵まれている」「我が社なぜかわからないがとてもツイている」……。そう信じている人が増えていけば、大きなエネルギーを手にすることができるに違いありません。迷いのない人は強いのです。
企業経営には合理性や科学性だけではなく、神秘性や非科学性が必要です。会社の売上・利益とはまったく関係ないイベントに異常なほど情熱を傾けてみたり、どう考えても利益を生み出しそうにない新規事業を本気で立ち上げてみたり……。我が社には非科学的な活動がいくつも存在することに気づいている人も多いでしょう。
また、意外な人物が重要な事業を動かしている、という事例もあります。一見地味に思える人物が、あるとき華々しく活躍する……。そんな会社になっていくとおもしろいことになりそうです。
これらは合理性、科学性に基づく経営計画やマーケティング戦略では表現することのできない部分。当然ながら、企業経営は闇雲に行うものでも、思い込みだけで行うものでもありません。しかし、言葉や図に表すことのできない神秘的で感覚的なものも、企業活動の中には存在します。それは夢、ロマンあふれる壮大なストーリーの中に散りばめられた、楽しいエピソードやなかなか解くことのできない謎なのです。
人は学びつづけていくと、必ず何らかの「変化」が起こります。その変化は好ましいものである場合もあるし、もしかすると好ましくない変化かもしれません。そして、現時点では好ましくないと思える変化であっても、長い目で見ると必要な変化だったと思えるようになるはず。極論すると、変化はすべてプラスであり、肯定的に解釈することができるものです。
僕も含め、ほとんどの人は「変化を待望する」と同時に「変化を恐れて」います。「まわりには変わってほしいけれど、自分は変わりたくない」という人もいるでしょう。会社をよくする、家庭をよくする、人間関係をよくする、世界をよくするためには、自分と自社が変わっていく必要があります。微力ではあっても、世の中をよりよく変えていくことが我が社の使命です。そのために、自分の能力をどのように使うことができるのかについて、これからも一緒に考えていきましょう。
「新版・次世代幹部養成塾」の第1部は今回で最終回とします。第1部の作成にあたって、第1期(2009年11月~2010年9月)、第2期(2010年10月~2011年9月)のテキストを加筆修正しました。今日の経営環境に合わせて、一部記述を変更した部分もありますが、当時も今も基本的考えはほとんど変わっていません。
第2部は態勢を整えた後、スタートすることにします。年末か年明けになると思います。
※「新版・次世代幹部養成塾」はソーゴー印刷若手社員向けに作成しているものです。異業種、他社の方には当てはまらない考え方も含まれていることを、あらかじめご承知おきください。