上士幌町/2018.9.30
(昨日18時30分頃書いたブログです)
こんばんは。
今日はソーゴー印刷(株)第59期経営発表大会の日。午前8時45分から午後5時半まで。毎年、丸一日かけて行われます。といっても、堅苦しい話はほとんどなし。僕が担当する午前の部の「第59期経営計画」のところだけでしょう。ここはさすがに真面目に行わなければなりません。他の時間帯は「真面目+ユーモア」が基調となっています。
僕の出番は午後にもあります。1時間ほどのセミナー。ほぼ1時間しゃべりっぱなしとなりますが、反応は例年よりもよかったような気がします。一人ひとりの仕事人生に直結するような話だったからでしょうか? 最後のプログラムは「コミュニケーションゲーム」。よく練られたプログラム。自然にみんなのよい部分が引き出される内容。S氏とI氏の司会も抜群でした。
今は宴会までの休み時間。明日は早朝出発のため、1時間以内にブログを書き終えようと思います。
被写体を通じて自分に気づく
写真というものは「気づき」の表現という側面があります。その気づきには2通りあって、「被写体に気づく」か「自分に気づく」かのどちらか。カメラは被写体に向けられるのが普通ですから、「被写体に気づく」というのが常識的な捉え方。けれども、写真家はそのようには考えないのが常。全員とは言いませんが、被写体を通して自分を見ていることが多いのです。
インパクトのある被写体に出合うと、被写体の存在に嫌でも気づくことになります。そうして、被写体の力に依存して写真を撮ることになる。それはそれでラッキーなこと。いい被写体との出合いは、写真制作に不可欠。被写体の力なしには写真を撮ることはできません。
そうした写真表現の宿命を知りつつも、写真家は「自分に気づく」ために神経を集中しようと努力するものではないかと思います。ですから、同じ被写体を複数の人が同時に撮影したとしても、同じ写真にはなりません。その写真家独自のものの見方や被写体の解釈の仕方が作品に反映される。ここに写真表現のおもしろいところがある。みんながみんな同じ写真だったら、撮る側も見る側も写真に飽きてしまうのではないかと思います。
被写体に気づくと同時に、自分の感じ方、考え方、解釈の仕方に気づくことになるのです。
僕は「写真力=経営力」と定義づけています。まったくもって勝手な定義ではありますが、ある程度は的を射ているのではなかろうか? 被写体を発見しても、それをどのように解釈するのか、どう見るのかによって、作品の意味や価値が違ってくる。それが写真。
同じように、市場を発見しても、それをいかに見るか、どう解釈するのかによって、商品展開や営業の仕方が変わってくるに違いありません。
どこに気づくか。そして、気づきのレベルや深さ。気づいた後の行動の仕方によって、自分あるいは自社の成果が異なってくるのです。写真という表現活動は、僕にとって経営センスを磨いてくれるものでもある。ただ、18年近くソーゴー印刷の社長をやっていながらこの程度なのですから、僕の経営センスは大したものではありません。ただ、水面下では何かが花開こうとしている……。そんな予感もあります。今年の経営発表大会はとりわけその気配が漂っていました。
気づく力、解釈する力、形にする力
会社組織のおもしろいところは、ひとつの現象について複数の人が同時に気づくという点にあります。目立つものもあれば、目立たないものに気づくこともある。
潜在能力の存在に気づく。これはほとんど水面下での動きといえます。気づく人は非常に少ない。ただ、ある程度一緒に毎日仕事をしていると、何となく波長が合ってくるのではないかと思います。シンクロするようなことがある。気づくのが困難と思えることに同時に気づく。それでいて、別々な人間ですから、気づくポイントや解釈がちょっとずつ異なっている。意見交換すると、ひとつの物事を多面的に考えられるようになっていくんですね。
このあたりに我が社の近未来の組織力があるのではないかと僕は考えています。
今日の経営発表では我が社の強みや個性をいくつか挙げながら将来イメージについて語っていきました。ただ、多くの人が理解できるよう、具体的にイメージできる話が中心となったところがあります。どこか別な機会を捉えて、もう少し角度を変えて話してみたいところ。
それはどちらかというと、ビジュアル面からの話。もしかしたら、フォトグラファーやデザイナーにしか伝わらない話になってしまうかもしれません。僕はどうしても、企業経営を映像的に捉えようとする傾向がある。ですから、「美しいかどうか」「映像的に意味があるかどうか」を考えてしまいます。気づいた複数の人がそれぞれに映像表現、デザイン表現し、立体的、重層的に美しい会社をつくることができたらおもしろい……。そんなふうに考えることが多い。
それは経営者として正しいことなのかどうかわかりません。けれども、その欲求には抗しがたく、このあたりを理解してくれる人に次世代の経営陣を構成してほしいと願っています。幸い、印刷会社、出版社というのは「視覚的に何かを表現したい人」の集まりですから、人財は豊富に揃っていると考えていい。
あとは「気づく力」と「解釈する力」、そして「形にする力」が必要となる。この三拍子が揃っている人は、現段階では多いとはいえません。個々の仕事、プロジェクトにおいてはある程度できたとしても、経営レベルで三拍子揃えるのは難度が高い。今後10年間の我が社最大の課題といえます。
風景撮影のときに感じる「見えない力」。それが不思議なことに、今日の部門計画発表やコミュニケーションゲーム、そしてT氏の閉会あいさつなどの中で感じている自分がいました。僕のコア・バリューは「写真表現力」ですが、それは我が社のバリューのひとつになりつつあるのかもしれません。勝手ながら、そんなイメージが湧いてきました。